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【中日双语专栏】「内装設備は日本ブランド」を強調したマンションが上海で大人気

2016年 3月 17日15:59 編集者:兪静斐

作者 莫邦富

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 昨年最後の日、上海の中心区にある人民広場から、地下鉄の移動で45分間かかる地下鉄11号線「馬陸」駅前に完成したばかりの数棟のタワーマンションに、家族連れの人々が流れ込んでいた。駅直結のこの高層マンション群はその日から部屋の引き渡し作業が行われることになったからだ。

 実は、これらの建物は住宅、オフィス、商業を一体化した複合開発プロジェクトで、約500戸の住民が入居する大型物件だけではなく、商業施設も4万平米に及んでいる。馬陸エリアではランドマーク的な存在として注目を浴びている。

 販売担当者との引き渡し作業の順番が来るのを、辛抱強く待っていた人々には笑顔があふれていた。笑い声も絶えなかった。内装、設備を含む住宅の品質が大きく評価されたため、それほど苦労せずに完売できた物件とは言え、その日の雰囲気の良さには、もう一つの理由がある。

 これらの不動産の販売価格は購入を契約した時点のそれよりも、引き渡し作業が行われる日の方が高い。だから、分譲住宅の購入者たちはこの物件をお買い得だったと思い、喜んでいるのだ。室内の空気を確認した現場のプロジェクトの担当者も「もし、逆の場合は大変だ」と思わず胸をなで下ろしている。なぜかというと、部屋の引き渡し作業時は一番、トラブルが起きやすいからだ。

 お祝い品の日本語表記に

 目を輝かせる購入者たち

 販売担当者たちは、引き渡し作業の手続きが終わった購入者に、住宅のカギや資料などを詰めた特製のオリジナルカバンを丁重に手渡した。買い物など日常生活に使ってもらえるように、その特製のカバンもデザインやカラーをはじめ、素材などにも凝っている。そして、その中にやや意外なお祝いのものも忍ばせている。

 透明なケースにホタテ貝殻を原料にしたホタテ貝洗浄剤を3本まとめたのがそのお祝いの品だ。錦商ブランド、日本特許取得号、野菜や果物に付着している残留農薬を効果的に洗浄できるなどのことを謳っている日本語の文字に、購入者たちは一様に目を輝かせた。

 住宅の引き渡し現場の風景を取材に来た撮影クールのインタビュー要請に、購入者たちは帆立貝洗浄剤を見せながら、「その心遣いに感動しました」、「意外なプレゼントでした。これから愛用していきます」と感激した気持ちを述べていた。

 食品の安全問題が大きな課題となった中国では、食品の安全と安心が人々の心の琴線に触れる2つのキーワードになっている。だから、このプレゼントが購入者たちを感動させたのだろうと思う。

 内装に日本製品を使うことで

 マンション購入者に満足感

 馬陸駅が上海市内の北西部の嘉定区にある。その辺りは「嘉定新城(ニュータウン)」の一部となっている。これらの建物群の建設主は丸紅株式会社が出資する合弁会社、上海好世置業有限公司と三井不動産レジデンシャル株式会社だ。

 駅に直結したこの複合開発プロジェクトは、住民と利用者の便利さを最大限に配慮する日本の開発理念がそのまま導入されている不動産開発として話題を集めている。

 同じ嘉定新城にある南翔にも、丸紅、三井不動産レジデンシャル、三菱地所が手掛ける物件がある。その規模がもっと大きい。21棟のタワーマンションに、約1500戸が入居する。2期に分けて開発することになっている。1期目は約750戸の10棟だ。住宅は全て内装付きで、外断熱工法、断熱防音サッシを採用する等、環境に配慮した省エネ住宅とアピールしている。

 実際、モデルルームを見ると、内装の品質の良さが印象的だ。そして導入されている設備にも、建設主のこだわりをはっきりと感じることができる。

  「爆買い」で知られる中国人の日本製品への人気ぶりに驚いた日本企業はいまや、上海の不動産内装現場にもそのような中国人消費者の需要を満たすように求めている。売り出されている別の物件、南翔にあるタワーマンション群を見ると、いろいろなところに日本製品へのこだわりが現れている。丸紅と三井不動産レジデンシャル、三菱地所がその開発にかかわっている。

 水道の水を安心して飲める水にする浄水器は三菱レイヨン·クリンスイ株式会社の製品を採用している。

 室内のカビやホルムアルデヒド、またはペットの臭いを減らす効果があるとされる「呼吸煉瓦」と訳されているインテリア壁材はLIXIL製だ。日本では、エアクリーニングウォール「エコカラット」と呼ばれている。

 浴槽、トイレ関係は中国で信頼されているTOTOのブランドで統一している。

 床暖房に使われるボイラとキッチン設備は、リンナイの製品だ。

 中央空調は三菱電機の製品を採用している。

 もうひとつ、感心するのは、商品の特徴を正直に消費者、つまり購入者に説明しているところだ。たとえば、リンナイの床暖房については、ドイツのVaillant、Viessmannなどの製品と比べると、まだ差があるが、上海現地で製造されたものなので、価格的には一番、競争力をもっており、アフターサービスにおいてはもっとも迅速だ、というように、説明している。

 もちろん、大いに自慢できるところもしっかりと自慢している。たとえば、三菱電機の中央空調の省エネの特徴なども強調されている。

 背景にあるのは「安心·安全」

 という日本製への信頼感

 こうした動きは、別に丸紅や三井不動産レジデンシャル、三菱地所の物件に限った現象ではない。青浦新城(青浦ニュータウン)にある龍湖紫都という大型物件は、パナソニックの収納設備を導入している。宝山の遠東君越庭という大型物件もパナソニックの空調とリンナイの湯沸かし器などの設備を使っている。

 その意味では、丸紅や三井不動産レジデンシャル、三菱地所の物件の方はさらに一歩、先を進んでいると思う。空調や床暖房などのハード的な設備だけではなく、ホタテ貝洗浄剤のプレゼントはまさに購入者の日常生活の安全と安心というソフト的な領域にも一歩入った象徴的な出来事だと思う。

 爆買いという現象が巻き起こった背景には、中国人の海外観光ブーム、元高円安など、いろいろな要素があるが、もっとも根本的な要素は日本製品に対する信頼感だ。

 「日本の空気や水の水質まで、中国の消費者の皆さんの手まで届けることができないが、すこしでも日本並みの安全さと安心さに近づこうとする努力は絶対、怠らない」という馬陸の物件販売現場の関係者の発言に好感を覚えた。