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出稼ぎ労働力不足を心理的角度から分析
2006 -10 - 26 15:08

董晨悦

 

多数の学者の分析によれば、出稼ぎ労働者不足の問題とは、実は需要と供給の狭間で起きる食い違いであるため、労働力の供給構成と待遇の方面から解決すべきだとされている。しかし、この食い違いが生じるのには、出稼ぎ労働者の深刻な社会的心理問題も存在する。そのため、ただ供給構成や待遇を改善するだけでは根本的にこの問題が解決されるとは言えない。そこで本文は心理的角度から出稼ぎ労働力不足問題を分析してみる。

 

出稼ぎ労働者の出稼ぎ動機について

 

 中国は何千年来の農業社会であり、労働力といえば主に「農民」というかたちで存在している。そして、中国農村社会経済文化の特徴から言えば、農民の主な需要とは、結婚と教育に対するものである。この需要を満たしてしまえば、農民の出稼ぎへの動機はほとんど失われてしまう。その他の需要といえば、都市を見に行きたい、視野を広めたいなどといったものである。これらの需要が出稼ぎ労働力の出稼ぎを短期的なものにしたのである。

 

労資の心理的矛盾について

 

現段階において、出稼ぎ労働者は資本の安定性が要求される労働力に対して、需要を満たすことができていない。なぜなら、出稼ぎ労働者は現代の大型工業に要求されるほどの紀律がなく、その上、心理需要が一時的なものであり、出稼ぎ労働者の供給が短期的なものになっているからである。企業は今まで法律上の契約というかたちで労働力供給の安定性を図っていたが、中国社会は普遍的に信用が欠乏しており、出稼ぎ労働者の紀律や契約に対する意識が低いため、彼らの行為に強い随意性がみられる。それが企業の安定に損害を及ぼし、企業の利潤に影響を与えているのである。

                                                                                                                                                                                    

また、出稼ぎ労働者は企業の「素質」への需要も満たすことができていない。これに対して人々は、本来なら企業が人材資本に対する投入強化を通じてこの問題を解決できると考えているが、しかし実はこれは中国において、あまり効果的な方法とは言えない。なぜなら、出稼ぎ労働者側には長期的な計画がなく、そして企業側は彼らとの間でただ短期的な契約を交わしているだけであるため、人材資本に対する投資の収益が得られなくなってしまっている。これらが、労資両者が人材資本に対する投資の動機がないということを指し示し、この「素質」問題がずっと解決できないままになっている原因なのである。

 

出稼ぎ労働力不足の根本的な原因について

 

出稼ぎ労働力不足問題は、労働力総量の不足と調和の取れていない構成にあるといえる。それを引き起こすのには、出稼ぎ労働力の短期性と紀律性の欠乏があるといえる。もっと深く言えば、中国の戸籍制度や都市と農村の二元構成及び社会信用の欠乏が根本的な要因である。

 

 総体的に言えば、出稼ぎ労働力不足の現状には強い歴史の段階性があり、中国経済の発展に伴い、資本の分布と労働力の分布が一致した後、出稼ぎという現象は失われ、出稼ぎ労働力不足問題も存在しなくなるであろう。

 

そこで、企業は労働者賃金の引上げ、労働環境の改善及び工場所在地の移転などによって一時的に出稼ぎ労働力不足の問題を緩和することはできるが、根本的な原因の改善にはならないため、中国の制度と体制が変わるまでは、問題を完全に解決することは難しいであろう。

 

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