もしここ10年来に台頭した電子情報など６つの新興産業がなければ、蘇州市の国内総生産、財政収入はそれぞれ1760億元、209億元に達し、全国の大中都市の中でそれぞれ6位、7位を占めるようになることは想像し難いことであろう。
主な経済指標は中国の都市の中で上位を占め、こうした地位は歴史におけるかつて蘇州の最高の地位に近付いているものと言えよう。南宋から清朝前期までの800年間、蘇州の経済はずっと全国の各大州・府の上位にあり、農産物、絹織物、アパレル、工芸品の生産は全国をリードするものであった、当時は、「上には天国があり,下には蘇州・杭州がある」という言い方があったが、これは国内ではだれでも知っていることであった。
輝きを再現する夢
連年にわたる戦乱の影響で、蘇州の経済レベルは約150年前から低下しつづけ、中国東部の最も大きい商工業都市の一つから中程度の都市に落ちてしまった。20世紀80年代になると、蘇州は「水産物や米の里」、「水郷観光の町」と呼ばれるようになった。かつての輝きを取り戻すことは、蘇州の人々にとっては一世紀半の夢となっている。
20世紀80年代に入ると、蘇州の経済は改革・開放の中で急速な発展をとげ、一万にのぼる中小型の郷鎮企業が現われ、工業生産額が農業生産額を上回り、工業都市となっている。でも、当時の支柱産業は依然として在来の軽工業・紡績業であり、最も有名な工業製品はシルク、刺しゅう、芝居の衣装と道具などであった。かつて名を馳せた春花ブランドのクリーナー、長城ブランドの扇風機、香雪海ブランドの冷蔵庫、孔雀ブランドのテレビは、そのスケール、レベルも長虹、ハイヤルなど国内の家電大企業とのギャップは非常に大きかった。一般の中程度の都市としての蘇州の地位は変わってはいなかった。
1992年から突如変化
1992年から、蘇州の経済には突如変化が起こった。この年に、蘇州は外資を大々的に利用し、全力あげて開発区をつくり始め、わずか10年間に、大きな成果をあげた。現在、市全体の実質的な外資利用額は累計で260余億元に達し、操業に入った外国投資企業は5000余社となり、国家クラスの開発区５、省クラスの開発区を11もつくり、二級開発区の開発面積は190平方キロに達し、外資企業、開発区進出企業の約70％はハイテク産業に属し、電子情報、機械・電子一体化、新しいタイプの家電、ファインケミカル工業、石油化学工業、新材料、基礎原材料、自動車、自動車部品など6つの産業に集中している。この6つの産業の多くは蘇州の歴史の中でかつて見られなかった新興産業である。
昨年、この6つの新興産業の製品売上収入は1184億元に達し、市全体の資本金500万元以上企業の製品売上総額の42.3％を占めた。現在、蘇州市の約50％の固定資産への資金投下、50％の工業製品の輸出、50万人の就職口の創出、30％の財政収入はいずれもこれらの新興産業によってもたらされたものである。
6つの新興産業の台頭により、今日の蘇州では、コンピュータのディスプレー、スキャナー、水晶バイブレーターがいずれも世界の市場シェアの20％以上を占め、コンピュータのマウスの生産量は世界の65％を占め、ノート型コンピュータ、コンピュータのマザーボードの生産量も世界で重要な地位を占めている。例えばフィリップスのカラーテレビ、サムスンの冷蔵庫、谷輪エアコンコンプレッサー、ノキアの携帯電話、アルカテルの携帯電話、ＡＭＤチップ、富士通のデジタルカメラなど数多くの著名ブランドの製品は蘇州から国内外の市場に出荷あるいは輸出されている。
全国で6位を占める蘇州の経済
現在、蘇州市の総合的経済力は上海、北京、広州、深?、天津に次ぎ、国内の経済全体において重要な位置を占めている。
蘇州市市長の楊衛沢氏は記者に「全力あげて新興産業を発展させることは約10年しか経ていないが、蘇州の経済には大きな変化が生じ、100余年間も続いた平凡なイメージを一挙に改め、国内の都市で一頭抜き出るようになった。これは先進的な生産力の偉大な力である」と語った。
なお、改革・開放以来、蘇州市は都市改造建設の中で古城としての本来の歴史的文化的姿を保つことを重視し、古城の「町のそばに川があり、小さな橋と流れる水を目にすることができる」という在来の姿を保ち、石の橋、石でつくった川岸などの伝統的な構築物がよく保存され、広大な面積の緑地を増やし、古城の姿を現代的な息吹きと完璧な形で結び付けている。
