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上海宝鋼日本子会社:中日友好の実践者
2013年 8月 23日15:10 / 提供:人民網日本語版

 改革開放政策の深まりと経済力の強まりに伴い、中国と世界の関係はますます縮まり、ますます多くの中国企業が国境を越え、世界各地で奮闘するようになっている。中国企業の海外での発展は高い注目を浴びている。とりわけ日本のような成熟した市場においては、激しい競争に勝ち抜くための努力がなされていることは想像に難くない。人民網はこのほど、インタビューシリーズ「日本で活躍する中国企業・機構」を開設した。日本にある中国企業・機構の代表者へのインタビューを通じて、その企業・機構の発展の歩みを紹介し、直面しているチャンスやチャレンジについて考えるシリーズだ。

 今回のゲストは、宝鋼集団の日本にある完全子会社「宝和通商株式会社」の趙方林社長(宝鋼集団有限公司東北アジア・豪州大区総代表)。宝和通商は、宝鋼集団の海外初の単独投資企業として1993年に設立され、鋼材の貿易や設備・部品・資材の貿易、鋼鉄原料・鋼鉄高付加価値加工製品の貿易などに従事してきた。宝和通商の業務は、日本を始め、韓国やニュージーランド、オーストラリア、台湾地区などもカバーし、2012年の販売収入は962億4900万円(約59億元)、累計鋼材貿易量128.9万トン、このうち宝鋼の鋼材販売は81.66万トンに達している。

 趙方林社長によると、日本市場の特徴として挙げられるのが、製品の品質とサービスに対する要求の世界最高とも言える高さ。さらに日本市場は持続性が高く、クライアントは「長期的で安定した協力」を求める傾向にあるという。もう一つの特徴は、日本の産業の海外移転が始まっており、需要が徐々に縮小しているということ。この趨勢に対応するため、宝鋼は、今後の日本市場の主要戦略を「日本市場を通じて製品のクオリティーとサービスを検査し、宝鋼の生産・販売・研究の各方面の総合力を高めること」と位置づけている。

 日本市場に対し、宝和通商は次のような強みを持っている。第一に、市場を熟知しており、ターゲット市場に細分化と焦点化を行っていること。中国のほかの製鋼所に比べて群を抜いて品質が高いという宝鋼製品のメリットを十分に生かし、ターゲットとなる市場をしぼり、確定している。第二に、サービス意識が強く、現地化されたサービスのクライアントへの提供に尽くしていること。ビジネスにおいても技術サービスにおいても、「お客様を中心」として、クライアントのリクエストにすばやく、効率よく、しっかりと応えることができる。第三に、業務員の経験が豊富で、総合的な能力が高いこと。市場とサービスへの意識、業務経験、製品知識の把握、さらにコミュニケーションや協調能力にいたるまで、能力の高い販売チームを有している。これに加え、宝和通商の長年にわたる市場開拓と周到なサービスを通じて、宝鋼の製品と宝和のサービスを信頼している一群の安定した取引相手を育ててきたことも、大きな強みと言える。

 趙方林社長によると、宝鋼は、中日両国の当時の政治家らの先見の明と友好協力の結晶である。宝鋼と日本企業との協力は、改革開放の初期にまでさかのぼる。宝鋼の建設と発展は、新日鉄(現新日鉄住金、以下同様)を始めとした多くの日本メーカーとの協力精神を体現したものであり、中日友好の証であり、中国による外資導入と改革開放の早期における重要な成果の一つである。宝和通商は、宝鋼の日本における窓口として、鋼鉄の販売と資材部品の調達を行うという親会社に対する義務だけではなく、中日友好を促進し、民間大使となるという責任も負っている。

 「2007年日本中華年」においては、中日友好促進のための一連の活動が行われた。2006年9月に横浜で開催された“和”をテーマとした「中華年記念音楽祭」には、宝和通商も共催単位の一つとして積極的に参加し、まとまった額の寄付を行い、中日間の友好関係の促進にささやかな貢献をした。2011年3月11日の東日本大震災の発生後、宝和通商は、従業員の通常の生活・業務の秩序を維持し、中日双方の従業員の生命財産の安全を確保するという自らの課題を克服すると同時に、日本・韓国・オーストラリア・中国の宝和通商の中国人従業員に呼びかけ、福島の被災地への募金を行った。こうした行為は、宝和通商で仕事をする日本人従業員に感動を与え、中国企業の従業員の思いやりと苦しい時には助け合うという精神を体現するものとなった。

 2012年、日本に住む華僑・華人と在日の中国企業との共催による「2012年東京中国文化祭」が行われた。宝和通商は、「在日中国企業協会」の代表として、中国投資企業による賛助と展示活動への参加を準備・組織した。文化祭で展示された中国の伝統文化と中国企業の姿は、日本の庶民が中国に親しみ中国を理解するプラットホームとなり、両国民の相互理解と友好を一層深めた。同社は、このような活動を通じて、中国企業のイメージを上げ、中日両国の民間関係を改善し、民間の友好によって政府を動かし、中日友好の橋梁・実践者となり、中国企業の日本での業務開拓により良い経営環境を作り出した。

 趙方林社長は、中国投資企業は日本市場に入ったら、どのような種類の企業であっても“郷に入っては郷に従え”を実践し、日本の現地のビジネス習慣と文化の特徴とに適応しなければならないと主張する。現地化された管理に加え、宝和通商は、同社ならではのメソッドを持っている。宝和通商東京本社の従業員は31人いるが、そのうち17人は日本人従業員。これらの日本人従業員は、仕事を通じて、人間中心主義に根ざした中国の企業文化を知ることができるという。日本人従業員は入社後、宝鋼への研修活動に参加し、中国の伝統文化と宝鋼の企業文化への理解を深めることができる。上海万博が行われた2010年には、日本人従業員全体の上海への万博見学を実施。日本人従業員の宝和通商への帰属意識をぐっと高めるイベントとなった。