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日本企業の対中投資が減少、利益の収穫期を迎える(一)
2014年 7月 3日9:59 / 提供:

澤田真治郎氏は中国日本商会の会長、日本最大の商社の一つである三井物産の中国総代表だ。澤田氏は6月18日に、中国日本商会が取りまとめた「中国経済と日本企業白書」(2014年版)と題した意見書を発表した。中国日本商会は2010年から同意見書を毎年作成しており、中国経済の他に、中国各地の日本企業が直面している問題、これらの問題の解決に向けた提案が中心的な内容になっている。中国新聞週刊が伝えた。

安倍晋三首相は就任後、中国を積極的に包囲・けん制する「価値観外交」を推進しており、両国関係が急転直下した。これとほぼ同時に、日本企業の対中投資も前年同期比で激減した。これは日本企業が「価値観外交」の影響を受け、対中投資を大幅に減らし始めたことを意味するのだろうか?日本企業は中国から撤退するのだろうか?

◆日本企業の投資の変化、政治との関連性は低い

この問題について、中国日本商会副会長兼調査委員会委員長の田端祥久氏は、「国際協力銀行(JBIC)の企業の対外投資に関する調査は1992年より、投資先国の項目を設けている。その時から2013年まで、中国は常に日本の製造業にとって最大の投資先国となっている。少なくとも国際協力銀行のデータでは、日本の製造業は20数年に渡り中国を最優先の投資先国としてきた。この20年の間に、中国に進出できる企業のほとんどが進出した」と指摘した。

日本の対中投資は、いくつかのピークを迎えた。田端氏は中国商務部(省)の調査データを使い、1997年、2005年、2012年のピーク値を導き出した。

澤田氏は、「日本の対中投資には、一つのピークを過ぎると減少するという傾向がある。他にも、中国の投資環境の問題がある。より良い投資先があれば、日本企業は自ずとそちらに投資を向ける」と語った。

田端氏はまた、別のデータにより、日本企業の中国における現状を示した。「日本貿易振興機構(ジェトロ)は2014年、日本企業を対象とする調査を実施した。そのうち54.2%の企業は中国事業を拡大すると回答し、39.5%は現状維持と回答した。一方、中国事業を縮小すると回答した企業は5%、中国から撤退しその他の国に移転すると回答した企業は1.2%だった」。

田端氏は記者の質問に答え、「(撤退したのは)主に電機メーカー、紡績業、中国製品を外国に輸出する企業だ」と述べた。

日本の電機メーカーは近年経営不振に陥っており、中国撤退も理解できる。紡績業を見ると、中国企業も積極的に海外に生産拠点を建設しているが、日本企業ならなおさらだ。元高に伴い、中国で生産し世界に輸出するという経営モデルにも限界が見えている。これらは政治とは直接的な関係を持たない。