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トヨタに巨額罰金 大企業は我が身を振り返れ
2014年 3月 26日16:46 / 提供:人民網日本語版

  米国司法省は19日、日本のトヨタ自動車が2009年秋から10年初めにかけて、自動車が突然加速する問題で真相を隠し、詐欺的な説明を行い、米国の消費者と管理監督機関を誤解させたことについて、12億ドル(約1227億円)の罰金を科すことを明らかにした。人民日報が伝えた。

  12億ドルは米国における自動車メーカーに対する罰金としては過去最高額になる。トヨタにとって、世界2位の市場である米国での安全をめぐる事故はこれ1件だけではない。最も深刻なケースは09年8月に起きたレクサスES350の事故で、運転席に置かれたフロアマットが原因で自動車が暴走し、時速160キロメートルに達してブレーキが利かなくなり、4人が死亡したというものだ。米国監督管理部門はトヨタが事実と真相を明らかにしなかったとして、巨額の罰金を科した。これはトヨタに対する厳しい制裁であると同時に、業界に対する見せしめの意図もあった。米国運輸省のアンソニー・フォックス長官は、「12億ドルの罰金はすべてのメーカーに対する強いシグナルだ。製品のリコール(回収)要求を厳格に遵守するか、重大な結果に直面するかだ」と述べた。

 米国の力強い法執行(エンフォースメント)措置は消費者の権利保護制度を充実させ、企業の社会的責任を強化する上で、大いに参考にする価値がある。

 第一に、対外開放とは多国籍企業が消費者の権利を侵害するのを放任するということではない。米国は経済の対外開放レベルは高いが、消費者の権利侵害については絶対に認めないという態度をこれまでずっと貫いてきた。これは経済グローバル化への対応における米国の成功体験であり、中国の対外開放政策のグレードアップ・バージョンアップにおける必然的な選択でもある。

 第二に、市場が柔軟性を失い、企業が慎重に自らを律することができなくなった時、政府も柔軟性を失う。消費者は経営者よりも弱い立場にいるのが一般的だ。消費者の権利を侵害する行為が大規模に発生した場合、砂のように散らばった消費者が徒手空拳で立ち上がり、それぞれが自分の権利を守るために戦うというのは、現実的ではないし、公平でもない。こうした場合は政府が乗り出し、旗幟を鮮明にして消費者の権利を保護し、公平な市場取引と競争の秩序を守らなくてはならない。米国がトヨタを厳罰に処したのは、自国の納税者を守ろうとする米国政府の決意の現れだ。

 第三に、消費者に対する企業の社会的責任は、道徳によって強化し良心を発揮させることが必要で、政府の法執行や刑事司法によって責任の履行を迫るシステムも必要だ。米国が巨額の罰金をうち出した背後には巨大な市場があり、厳格な刑事司法システムがある。トヨタは11ページに及ぶ義務履行リストをすべて受け入れた。リストを受け入れなかった場合には刑事罰が下る可能性があること、集団訴訟や懲罰的な賠償が次々に押し寄せる可能性があり、最終的に倒産の可能性があることをよくわかっていたからだ。米国側は市場の秩序を規範化するため、重い処分で混乱を収め、法律を中心とし道徳でこれを補完しなければならず、これ以外に選択肢はなかった。

 米国がトヨタに厳罰を科した。このことの意義はよく考えた方がいい。現在、一連の多国籍企業が中国の消費者の権利保護のレベルは他国よりも低いといい、中国とそれ以外の消費者とに対し公然と態度を使い分け、ダブルスタンダードを取って中国の消費者を差別している。こうして多くの消費者が権利を保護するために「トリを追いかけてウシを殺す」という苦境に陥っている。

 市場には目があり、法律には牙がある。3月15日に施行された「消費者権利保護法」の修訂版は、公平さと効率が両立する新たな構想をうち出し、とりわけ多国籍企業が「不公平で不合理な取引条件を設定すること」を禁じている。全ての企業が、とりわけ多国籍企業が、米国における巨額の罰金の事例から我が身を省み、慎重に自らを律することを願う。自覚的に誠実に消費者に向き合った者しか、消費者とともに多くの利益を共有するという輝かしい道を歩むことはできない。

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