Home > 特集 > 新年展望  > 中日国民の間の流れは力強い暖流 ―泉裕泰在上海日本国総領事インタビュー
中日国民の間の流れは力強い暖流 ―泉裕泰在上海日本国総領事インタビュー
2011年 11月 25日17:29 / 提供:

 最近のAPECで、中国の胡錦濤国家主席と日本の野田佳彦首相が会談を行い、来年の中日国交正常化40周年を契機にして、両国間の交流を増進することで一致した。そこで、まもなく来る2012年を前に、在上海日本国総領事館の泉裕泰総領事に、中日間の交流について、インタビューをした。

Q:現在、上海には日本人はどれくらいいますか?

A:上海には大きな日本人社会があります。6カ月以上滞在している日本人の数は5万人を超えますが、短期滞在の人数も含めると10〜15万人と言われており、海外で最大の日本人コミュニティーと言えます。そして、日系企業が8155社、日本人学校が虹橋に小学校、浦東に小中高学校があり、児童・生徒数は2900人を超えます。急成長を遂げる中国経済の中心地である上海の雰囲気は日本人社会にも影響し、上海の日本人社会は特に活発で、活気に溢れています。

Q:上海に着任されて1年になりますが、どのようなことが印象に残っていますか?

A:今年3月、東日本大震災が起きてから、在上海日系企業の社員、国際学校の生徒もそうなのですが、それよりも大変多くの上海の市民の皆さんが、朝の開館から夜の閉館まで在上海日本総領事館の前に何日も何日も長い列を作って、義捐金を持ってきてくれました。これまでに、義捐金の総額は、2700万元人民元相当に達しています。気が付いたのは、彼らは元々、日本と関係がある方々でした。日本に留学をしたり、経営者や上司がいい日本人だったり、日本語を勉強したり、あるいはアニメなどの日本文化が大好きな人達でした。そして、彼らの口から出た言葉は、一様に「がんばれ、日本」という言葉でした。街でタクシーに乗っても、「日本は大変でしたね」との声がかかりましたし、レストランに行っても、ウエイトレスから「日本の被災地が早く立ち直りますように」との言葉をかけられました。本当に、若い人も老人も、お金持ちもそうでない人も、日本のことを気にかけてくれて、本当に心配してくださっている方々の多さに感動させられました。

00042327.jpg

Q:それは国民と国民の間の交流と言えますね。

A:そうですね。私が思ったのは、今回、「日本がんばれ」と言ってくれた人々は、これまで日中両国政府の間で矛盾や衝突が生まれたときに、下を向いて黙りこくってしまった人たちではないかということです。日本も好きだし、中国も自分の祖国だし、両国の間に隙間風が吹いてしまうと、悲しく思って黙ってしまった人々です。その彼らが、連日の津波被害の報道を見て、ついに声を上げたのですね。「日本がんばれ!」と。私は30年間、日中関係に携わってきましたが、初めて聞きました。そして思いました。これまで日中間で行われてきた交流は、確かに意味のあるものだったと。交流の効果は見えにくいですが、日本の中国改革開放支援、対中経済協力の実施、文化交流、観光交流、青年交流、その他様々な交流の効果は中国の中に日本のことが好きな流れを生んでいました。今回の東日本大震災を通じて、そのような中国人の人々の気持ちがよく表されたと思います。そして、国民間の交流が多くなればなるほど、そのような絆はより強くなっていくものだと思います。日中両国は一衣帯水といいますが、中国と日本の両国民の間に流れる底流は暖流だと思います。それも交流を重ねることによって、ますます力強く流れる暖流です。

Q:来年、どんなイベントが開催される予定ですか?

A:まず、来年の2月、北京そして上海、香港で、国交正常化40周年の関連行事が行われる予定です。3月には、南京ジャパンウイーク、夏か秋には、上海でジャパンEXPOとして、2011年の上海ジャパンウイークの規模を拡大し、日本のポップカルチャーや伝統文化の交流を行っていく計画です。

Q:観光については、どのようなイベントがありますか?

A:日本の都道府県にはすばらしい景色があり、いろいろな魅力があるので、PRを強化する計画です。中国の皆様にも来てもらって、実感してほしいと思います。来年は、日本の魅力を再発見する1年にしたい。例えば、1月、長崎と上海間の定期クルーズ船が就航する予定です。時間的にゆとりのある若い人や退職した人にも乗ってもらい、海上で日の出、日の沈みを見てほしいですと考えています。

Q:ええ、日本に行きたい人が本当に多いですが、日本の物が好きな人も多いです。

A:そうですね。電気炊飯器などの家電製品、和牛、刺身など日本の食品、渋谷や原宿のファッション、アニメ、音楽などいろいろあります。そして、日本の各方面の魅力を中国の人々にアピールしたいです。

Q:最後に、中日の懸け橋の一つとして、18日に開設された『東方毎天』速報に対して、メッセージをいただきたいのですが。

A:上海の経済情報は豊かです。より多くの日系企業が中国で成功するように、成功した日系企業の経験を紹介するなどニーズに合致した、質の高い情報を発信してくださることを期待しています。

(曹 俊 写真も)

関連記事