日本観光とは、これまで多くの中国人にとって東京、大阪、京都、北海道などに馴染みがある。特に北海道を描いた映画 「非誠勿擾」(邦題:冷やかしお断り=馮小剛監督)が上映されて以来、北海道へ行く中国人観光客が急増したという。長崎に対し、脳裏に焼き付いているのは第二次世界大戦終戦直前の原爆の被害を受けた土地ということだった。
長崎県に足を運んでみると、日本の他の観光地区に劣らないことが分かった。まず、中国訪問団は約4時間ハウステンボスを見学した。
ハウステンボス(Huis Ten Bosch - 森の家の意)は、オランダの街並みを再現したテーマパークである。大村湾北端に面した佐世保市にあり、総開発面積は152ヘクタールだ。現在の東京ディズニーリゾート(ディズニーランド+ディズニーシー)と、ほぼ同規模である。
ハウステンボス
単独テーマパークとして、連続した敷地面積では、群を抜いて日本最大だ。計画の設計は、オランダ400年の国づくりに学びながら、現在の時代を先取りする環境都市となっていく生活ストーリーを作り、「人と自然が共存する新しい街」「自然の息づかいを肌で感じることのできる新しい空間」を目指して作られた。
ポーズをとる日本の女の子=ハウステンボスで
ハウステンボスのハイライトは、人気アニメ「ONE PIECE(ワンピース)」の主人公が乗る海賊船を模したクルーザー「サウザンド・サニー号」だ。日本最大級の専門グッズショップなどが開店し、大村湾クルーズ就航に向けた関連イベントもスタートしている。美しい海を観賞しながら、「皆、海賊王になるぞー」と観客を沸かせた。
海賊船を模したクルーザー「サウザンド・サニー号」
ハウステンボス国際営業部の劉厚志部長は、今年の近いうちに、「光と闇の王国」が登場すると明らかにした。
小浜(おばま)温泉足場にある看板
その後、車は島原半島の小浜(おばま)温泉足場へ移動した。地元の人々によると、2年前には小浜市民7万人がアメリカ大統領選で民主党の有力候補だったオバマ氏を応援した。島原半島の小浜(おばま)とアメリカのAOBAMA(オバマ)との日本語の発音がまったく同じだったからだ。そのほか、福井県小浜(おばま)市もアメリカのオバマ大統領選の日本での勝手な応援合戦を行っていたという。
生卵を源泉に入れて7分間で食べられる
小浜温泉は源泉(げんせん)の温度105度という熱さが特徴だ。生卵を源泉に入れて7分間で食べられる。06年の宿泊者数は約21万人と雲仙普賢岳の噴火前の半分に減っている。知名度アップが今の課題だ。
足湯を楽しむ福岡から来たおばあちゃんら
足湯を体験し、温泉卵を食べてから南高来郡口之津町へイルカを見に行ってきた。島原半島の最南端、有明海の入口に面した港町「口之津」は、対岸の熊本県天草市五和町との距離はわずか5km。この早崎瀬戸に、野生のバンドウイルカが生息しており、約300頭の群れをなし、エサを求めて回遊している。
海面を泳ぐイルカの群れ
このイルカの群れが海面を泳ぐ様子やジャンプなどを観賞し、満喫できた。その後、雲仙温泉で地獄(噴気帯を囲むように存在し、地獄めぐりが出来る)や路地裏、外湯を歩いてみた。
「お糸地獄」
雲仙温泉は、キリシタン殉教悲史の舞台で世界的に有名な温泉である。日本初の国立公園(雲仙天草国立公園)に指定された温泉保養地でもある。聞くところによると、日本の明治・大正期には在上海の欧米人の保養地として繁栄したという。当時、長崎は上海の蒸気船などに対する石炭供給地であり、雲仙温泉やふもとの小浜温泉と共に上海の後背地を形成していたのである。なお、ノーベル文学賞のパール・S・バックが一時滞在していたという。
露天風呂の看板
雲仙ガイドの佐々木雅久氏は、「雲仙温泉の地獄で噴気帯に囲まれていて、春にウンゼンツツジ(ミヤマキリシマ=満天星)を楽しむことができるのは、日本各地の温泉でここだけ!」と自慢話を漏らした。
島原半島
雲仙温泉の源泉は、泉質な温泉が湧出する雲仙地獄「お糸地獄」で、雲仙温泉の主な泉質は硫黄泉だ。施設によって源泉が異なり、同じ硫黄泉でも白濁、クリーム色、灰色などがあり、湯の華や鉱泥が沈殿している場合もある。泉質の最高なのが福田屋だ。濃厚なクリーム色の湯が満たされた露天風呂の泉質は、雲仙屈指といえそう。小規模な宿で泉質の良さで知られおり、部屋の窓から湯気が立ち上るのを見ると、温泉気分が盛り上がっている。
噴火の痕が残したままの雲仙
浴場に行くと、お湯が純白で驚く。白濁の硫黄泉が多い雲仙だが、お湯は、ややクリーム色をしている。入ってから15分間すると、汗びしょびしょになり、爽快だ・・・。ホテルで、好きな浴衣と下駄を選ぶことができ、浴衣を着て、下駄を履いて街を散歩すると、日本の雰囲気を味わうことができて、非常におもしろい。
観光客に近寄るカモメの群れ=長崎県から熊本へ行く途中
長崎南部の旅がいよいよ終わり、フェリーで熊本港に到着する前に、カモメの群れが、観光客らの手に握られた餌をとるシーンは、なかなか忘れがたい。同行案内の長崎県企画振興部海外企画戦略班の筒井竜介・主任主事が、「より多くの中国の方々に、長崎の海洋などの魅力を知ってもらいたい」とアピールした。
長崎歴史文化博物館にあるポスター
「百聞は一見にしかず」ということわざがあるが、「夢見て上海 恋して長崎」。長崎歴史文化博物館にあるポスターに書かれるこの言葉が、上海と長崎のユニークな見どころを記述している。
(章坤良 写真:曹 俊)