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日本の防衛白書、「中国の脅威」を再び誇張
2011年 8月 3日16:51 / 提供:「人民網日本語版」

 日本の北沢俊美防衛相は2日の閣議で2011年版防衛白書を報告し、了承された。去年同様、「中国の脅威」を大げさに書き立てる内容だ。新防衛白書は中国についていわゆる4大「不安」をでっち上げようとしている。その目的はただ1つ。中国の軍事力とその動向を大きな「脅威」、または実際以上の「脅威」と誇張することだ。日本メディアは「新防衛白書には中国への警戒感が随所に見られる。だが軍事、経済両面で影響力を高める中国を抑え込むのは決して容易なことではない」と指摘する。専門家は「『隣国を災いとなす』日本の心理と措置は、根本的に日本の安全を確保する『防衛の道』ではない」と指摘する。  

■「中国は高圧的姿勢」と妄言

  昨年の防衛白書は中国をにらんだ「動的防衛力」の強化を強調した。今年の防衛白書は昨年の日中船舶衝突事件などについて、中国が周辺各国との対立で「高圧的姿勢」を示していると指摘している。  

  白書は「中国は現在、海軍、空軍の近代化を急速に推し進め、周辺海域での活動を拡大している」と分析。そのいわゆる事例の1つ目として「中国艦隊が沖縄本島と宮古島の間を通り太平洋へ抜けた」ことを挙げている。周知の通り、中国艦隊の太平洋進入は例年行っている通常の訓練であり、日本進攻の姿勢や意図は少しもなく、通過航路も国際法に違反していない。  

  いわゆる事例の2つ目は「中国国家海洋局の航空機が海上自衛隊護衛艦に異常接近した」だ。周知の通り、日本の護衛艦が中国国家海洋局調査船を繰り返し尾行、追跡していたのであり、それ自体が意図的な挑発だ。軍用艦艇への民間機の接近も「威嚇」と見なすというのなら、名実ともに「針小棒大」だ。  

  いわゆる事例の3つ目は「中国とASEAN諸国が南中国海で主権紛争を抱える」ことだ。周知の通り、これは中国と一部ASEAN諸国間の問題であり、第三国が火に油を注ぐ必要はないし、日本にとっても少しも「脅威」でない。日本がこの問題を何の目的に利用したいのかわからない。  

  ■「中国の脅威」の自己矛盾   

  中国社会科学院日本研究所の呉懐中研究員は、新防衛白書は中国に対する4大「不安」をでっち上げていると指摘する。第1に、「拡大」「常態化」などの新しい表現を初めて用い、東中国海や南中国海における中国の活動を大げさに書き立てている。第2に、昨年の中日船舶衝突事件を筆頭に、中国のいわゆる「高圧的対立」姿勢を際立たせている。第3に、中国の国防政策と軍事動向を絡め合わせ、中国が「国際規範を遵守すること」が重要だと初めて指摘している。第4に、「南中国海の動向」という項目を新たに設けている。これらには中国の軍事力およびその動向を大きな「脅威」、または実際以上の「脅威」と誇張する狙いがある。   

  呉氏は「これは第1に日本の安保政策調整と軍事計画の必要性によるものだ。日本は昨年の新防衛大綱で、防衛力の重点を南西諸島にシフトする方針を打ち出した。もし南西方向に『脅威の源』がなければ、こうしたシフトは不必要に映ってしまう。第2に、日本政府は財政難にある。防衛族は予算を獲得するため、絶えず中国などの隣国を口実にする必要がある。第3に、苦境に陥った日米同盟を強化する必要があるが、『米国の抑止力』によって『中国の脅威』に対応することがその最良の理由となっている」と指摘する。   

  昨年と今年の防衛白書は菅直人内閣が了承したもので、いずれも「中国の脅威」を余すところなく誇張しているが、これは民主党の政権獲得前後の自己矛盾をはっきりと示すものでもある。総選挙時に有権者に約束した「アジア重視」、「東アジア共同体」推進などの方針は白書には見られず、代わりに「中国の脅威」を大げさに書き立てている。菅内閣支持率が最近20%以下に落ち込んでいるのは、政権公約を果たしていないことが大きい。これは内政だけでなく、外交も然りだ。   

  民主党政権は現在も自己矛盾を呈している。日本経済振興のため中国市場を重視し、観光業促進のため中国人観光客の増加を歓迎すると表明する一方で、自国の最大の貿易相手国を「脅威」と見なす。これは「利益を得るだけ得ると、すぐに相手を罵る」行為にほかならない。 

■日本メディア「中国を抑え込むのは容易ではない」   

  日本の今回の挙動について突き詰めると、その深層の原因は中国の急速な発展に対する不適応、中国の正常な国防活動に対する一層の不適応にある。呉氏は「日本は『ゼロサム競争』思考のために心のバランスを崩し、焦慮を抱いている。こうした心理状況は中国の国力と軍事力のさらなる台頭に伴い、一層明らかになっている。釣魚島、東中国海の大陸棚、軍事力整備、資源獲得など、利用できる話題は、ほぼ全てが騒動を仕立て上げ、脅威を誇張することに用いられる。原因がこうだから、米国を巻き込むだけでは足らず、周辺国も巻き込み、『南中国海問題』に便乗して中国を防ぎ止めるという異常な外交行動に出るのだ」と指摘する。   

  日本の共同通信は論説で「2011年版防衛白書には、中国の急速な軍備拡充に対する警戒感が随所に見られる。白書は中国と一部ASEAN諸国が主権を争う南中国海問題についても詳しく記述している。日米同盟を基礎にASEANと連携して対中包囲網を築こうとする意図は明らかだ。だが軍事、経済両面で影響力を高める中国を抑え込むのは決して容易なことではない」と指摘している。   

  「隣国を災いとなす」こうした日本の心理と措置は、根本的に日本の安全を確保する『防衛の道』ではない。呉氏は「第二次大戦以降、日本はどの国からも侵略や損害を受けたことがない。一方で、頻発する自然災害によって甚大な損害を繰り返し蒙っている。こうした『脅威』への正しい認識を確立すれば、日本はその最大の安全保障戦略、防衛政策が隣国に善意をもって接し、隣国をパートナーとし、自然災害のもたらす安全および生存の問題の解決に力を集中することであることを理解するはずだ」と指摘する。 

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