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健康長寿とヘルスケアが中日民間交流の新たな注目点に

2021年 6月 22日18:16 提供:中国国際放送局

高齢化社会の進行にあわせて、中国でも日本でも「健康寿命」への関心が高まりつつあります。ただ長生きするのではない「健康長寿」の考え方と、そのための先進医療やヘルスケアなどが、中日民間交流の新たな注目点になりつつあります。

今月17日、中日両国の医学専門家をオンラインでつなぐ「中日大健康医療フォーラム」が開かれました。その様子は中日両国の医療関係者および一般参加者向けに逐次通訳付きでライブ配信され、視聴者数は延べ4600人に上りました。

このフォーラムは中国の民間企業と日本の医療団体の共同主催によるもので、今後はシリーズ企画としての定期開催を目指し、ゲノム医療、AI分析による生活習慣の指導、低侵襲手術(身体へのダメージが少ない手術)、終末期医療など医療界の最新の動向にフォーカスし、中日の医療関係者や一般人の交流の場の構築を目指すとしています。

フォーラムの日本側会場の様子

第1回のゲストとして、日本からは静岡県立静岡がんセンター参与で日中医学協会副会長の安達勇氏が、中国からは検診や先進医療を提供する愛康国賓グループ副社長で、中日友好医院元外来部長を務める李秀池氏が迎えられました。

安達氏は講演の中で「遺伝、腸内細菌、生活習慣」の視点から話を展開し、医療データの管理を「見える化」することで、未来を見据えた健康的な生活の処方箋を出していくべきだと呼びかけました。

李氏は中日の健康管理と健康診断後のアフターケアについて講演し、「健康診断は中国では雇用先の福祉として実施されるもので、個人が自発的に受ける健診は全体のわずか15%~20%しかない」という現状を明らかにしました。

フォーラムは2時間余りにわたって続き、終了後に中国人参加者を対象に行ったアンケート調査では、日本の医療について最も関心があるのは、ガンや循環器疾患(心疾患・脳血管疾患)、認知症、生活習慣病の予防治療および終末期ケア、介護などの分野における経験だということが分かりました。

世界保健機関(WHO)が公開した最新の調査結果では、2019年の中国人の平均寿命は77.4歳(うち男性74.7歳、女性80.5歳)、健康寿命は68.5歳(うち、男性67.2歳、女性70.0歳)となっています。これに対して、日本厚生労働省のまとめでは、日本人の平均寿命(2019年)は女性87.45歳、男性81.41歳となり、健康寿命(2016年)は男性72.14歳、女性74.79歳となっています。

人々の平均寿命が伸び続けてきた中国は全面的な「小康社会(いくらかゆとりのある社会)」の実現を目指すうえで、「健康」をその内容の重点に位置づけてきました。また、中国の「第13次五カ年計画」(2016〜2020年)では「病気の予防」が重視され、健康管理意識の向上を目指す「大健康」というコンセプトが初めて打ち出されました。これにより、国民の健康管理が国家戦略のレベルにまで引き上げられたことが、今回の企画の大きな背景と言えます。

フォーラムの日本側主催者である国際医療健康交流機構(IMH)の山本行俊代表理事は、「単に寿命を伸ばすのではなく、一日でも長く健康で過ごすことのできる『健康長寿』の実現が、医療の大きな課題となっている」と企画の背景を紹介し、中国側の主催者である「北京華益日盛健康」社の楊明月総経理は、「医療に国境はない。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが続く中で、中日双方がヘルスケアの面でより幅広い交流と協力を行うことが、両国の福祉につながる」と開催に込めた思いを示しました。同社は2020年から、これまで十数回にわたって中日の医療関係者のオンライン交流会を企画・開催してきました。今回のフォーラムはこれらの実績を踏まえた上での実施となっています。双方の主催側は、次回の「中日大健康医療フォーラム」の9月開催を目指して準備を始めているということです。

中日両国の医療界では、コロナ後の対面での交流やビジネス展開を視野に入れて、多くの関係者が動き始めています。

(取材・記事:王小燕、梅田謙写真提供:孟華川)