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中日両国で活躍する俳優・矢野浩二「善人であろうと悪人であろうと役を演じきる」

2019年 5月 15日15:53 提供:中国国際放送局

5月某日、東京都内にある芸能事務所オスカープロモーションで俳優・矢野浩二さんにインタビューしました。矢野さんをインタビューしたのは、2005年の北京以来、14年ぶりです。その間にも一度お会いしたことがありますが、気さくで、明るく、大きな声、そしてポジティブな印象は少しも変わっていません。

中国と縁を結ぶようになったのは、今から19年前の2000年4月。当時、日本でまだ無名だった矢野さんは、ひょんなきっかけで中国の恋愛ドラマ「永遠の恋人(永恒恋人)」の日本人留学生役に抜擢されました。当時の矢野さんは中国に関する知識を全く持たず、「ニーハオ」と「シェイシェイ」しか喋れませんでした。食べ物などにも慣れず、一番慣れなかったのは撮影のやり方でした。日本では1話ずつ順番に進めるのが普通で、1話を撮影するのにだいたい1ヵ月かかりますが、中国では1話の撮影をわずか3日で完成させます。また、場面ごとに撮影を進めることが多く、おそらくセット設営などの要素を考えて、効率を求めているからでしょうか、同じ場面で発生したシーンをまとめて短期間に全部終わらせる傾向があります。このような効率重視のやり方に慣れない日本人役者にとっては、相当辛い体験でした。しかし、仕事への情熱で、撮影期間の3カ月を何とか乗り越えました。

2002年にドラマ「記憶の証(记忆的证明)」に出演し、旧日本軍の軍人役を演じ切りました。その素晴らしい演技力が評価され、その後の数年間は多数の抗日ドラマに出演し、中国で「旧日本軍軍人役専門(鬼子専業戸)」というあだ名もつけられました。しかし、日本国内では「日本人として日本を裏切った」など、一部の人から心無い言葉でバッシングされました。これについて矢野さんは、「いい人であろうと悪い人であろうと、役者として、とにかく与えられた一つ一つの役をしっかりと演じきることが一番大事だ」と考え、そんな言葉はすっかりと吹き飛ばしたようです。

このようなコツコツした努力が実り、2010年に人民日報社傘下の『環球時報』から最優秀外国芸能人賞を受賞。2013年にはニューヨーク・タイムズとCNNに「中国で最も有名な日本人俳優」と紹介されました。また、矢野さんの勤勉な仕事ぶりと中日の相互理解に寄与する姿が母国の日本でも評価されるようになり、2015年、日本の外務大臣表彰を受けました。そして、2016年になると日本の大手芸能事務所「オスカープロモーション」と契約し、3年連続で「警視庁捜査一課長」にレギュラー出演するなど、日本でも活動の幅を広げつつあります。

一方で、中国国内でも2018年に「鷹猟長空」、「画霊師」など6本の作品への出演を果たしました。役どころも医者や漫画家など様々な人物があります。「常に新しい役にチャレンジしたい」と話す矢野さん。中国と日本の撮影現場の違いについて、「日本では、主演俳優たちは皆一つの大きな共同控え室を利用している。中国ではそれぞれ個室を利用するのが普通。一つの部屋を利用する場合、役者間の互いの交流にプラスとなる。中国のやり方はおそらく個人のプライバシー保護への配慮からだろうと思う」と語りました。さらに、中国は「より人情味に溢れている」と評価しています。当時、娘の誕生を控えて、ドラマの監督に「出産日当たりのスケジュールを空けてくれないか」と懇願したところ、出産日前後の約二週間のスケジュールをあっさり空けてくれたということです。しかし、日本ではこのような個人的な事情で他人に迷惑をかけてはいけないと空気を読んでなかなか言えないそうです。

矢野さんは2019年1月からNHKの中国語インターネット配信サービス「NHK華語視界」に番組の案内役として出演するようになりました。「日本の文化を中国に紹介するなど、ずっとこのような番組に出演したかった。夢を叶えることができて嬉しかった。より多くの中国人視聴者に見ていただきたい」と矢野さん話します。

中日合作による映画、ドラマが増え、多くの日本の大物芸能人も中国市場への進出に興味を示したことについて、矢野さんは、「お客さんの身分で短期的に中国に行き、仕事を終えたら日本に戻るのではなく、中国語をちゃんと覚えて、中国で実際に暮らした方が、普通の住民と緊密に触れ合うことができ、中国の観客により受け入れられるのではないか」との見解を示しました。

「観客にいつも暖かく応援していただいている。それは努力する原動力だ」といつも謙虚な姿勢で臨む矢野浩二さん。現在、矢野さんは中国と日本を行き来し、両国で同時に事業を展開しています。今後もますますの活躍が期待されます。(取材・文:ZHL)