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トキ 日本の山林で出会った中国の幸せの鳥

2018年 5月 11日11:42 提供:新華網日本語

柳の葉のように長い羽根、灰白の全身、えんじに染まった頬。記者はこのほど、日本の佐渡島にあるトキの森公園でトキの優雅で美しい姿を間近で堪能した。

トキの森公園に限らず田舎の田んぼでも野生のトキが見られるという。中国から贈られたトキがいなければ、野生のトキは1981年に日本から永遠に姿を消していたはずだ。同島はかつて日本の野生トキの生息地で、島の森林や河川、村落や稲田はトキの生息に良好な環境であり、村落付近の山林に営巣し、水田や湿地で餌を捕食していた。日本は明治維新以降、近代化をたどり、トキの生息環境は日増しに悪化した。また、日本の農業が戦後「農薬と化学肥料万能」主義をとったことでトキの食物は激減、日本各地の生息数は年々減少し、絶滅へと向かった。

絶滅の危機に瀕したトキを救うため、日本は1981年に佐渡島に残った最後の野生の5羽(雄1羽、雌4羽)を捕獲し、佐渡トキ保護センターに送り人工飼育を開始した。日本の野生トキは絶滅した。人口飼育されていた野生のトキの最後の1羽「キン」が22年後に36歳の高齢(人間の100歳以上に相当)で死亡したことで、日本産のトキは完全に絶滅した。日本の野生のトキが絶滅した1981年、中国陝西省洋県の山中で雛を含む7羽の野生のトキが発見された。中国の言い伝えでは、トキは幸運の象徴とされ、「幸せの鳥」と呼ばれる。トキは中国で保護され繁殖した。中国は1998年、2羽のトキを日本国民へ贈った。その後、更に3羽のトキが友好の使者として中国から日本へ送られた。佐渡トキ保護センターは中国から贈られたトキの人工繁殖に成功し、日本のトキ文化の継続という「トキの奇跡」を生み出した。

トキは日本の歴史と文化の中で早くから注目され、その記録は720年の「日本書紀」にまで遡る。かつては日本列島の多くの地方でその姿が見られ、いくつかの地方では害鳥とみなされたこともあった。環境学者の石弘之氏寄稿による「野生に戻ったトキ」によると、青森県の「八戸藩日記」の中に「トキがあちこちで田んぼを荒らして困っているという訴えが、代官所からあった」ため、藩主は代官に対し、被害のあった3つの村に「トキ以外の鳥は一切撃たない」条件で3丁の鉄砲を貸し出すことを許したとの記載があるという。トキの森公園の「トキふれあいプラザ」には現在、多数のトキが飼育されている。飼育員はこの貴重な鳥が自然環境でも生存できるようにするため、可能な限り自然に近い環境を作っている。同施設では、トキの飛翔や捕食、営巣に至る生態の全てを記録し研究に当てている。公園にはまた「トキ資料展示館」があり、パネルや映像、音声資料、標本等が展示され、トキの保護状況や野生復帰の状況も紹介されている。

試算によると、日本には合計284羽のトキがおり、そのうち281羽は佐渡島で、3羽は佐渡島から本州に渡っている。佐渡市役所の岩崎洋昭氏によると、佐渡市と陝西省洋県は頻繁に交流しているという。岩崎氏は「トキの飼育や繁殖は国が管轄しており、市は主にトキを通じた地方経済の発展をテーマとして交流している」と語る。トキは現在、同市の「象徴」として注目を集めており、トキをかたどった郵便ポストやキャラクターが島の随所で見られ、トキの名を冠した日本酒や牛乳などの食品が売られている。島民によると、大勢の観光客がトキを見にやって来るという。

3日、日本の新潟県佐渡島にある「トキの森公園」で撮影したトキをかたどった郵便ポスト。(新潟=新華社記者/馬平)岩崎氏によると、佐渡市の地方振興で最も成功したのは観光であり、「市では島を訪れる外国観光客数を2019年までに、2011年の延べ1510人から延べ5千人に増やす計画を立てたが、すでに前倒しで達成している」と語り、トキが地方経済の更なる発展をもたらし、更に多くの「奇跡」を生み出すことに期待を示した。(記者/胡俊凱、馬崢、沈紅輝)

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