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小豆島旅行記(一)

2017年 2月 3日13:58 提供:東方ネット 編集者:兪静斐

  作者:銭暁波

 忙中閑有り。先日、機会を得て四国の香川県と徳島県へ旅をしてきた。長く日本滞在歴があっても、四国へ足を運んだのははじめてであった。これは記念すべきことだと思って、旅のこぼれ話を少々記しておきたい。

 上海から高松空港へは約二時間ほどの空の旅であった。小さな地方空港とはいえ、揃えるべきものは全部揃えて、いつもどおりの笑顔と清潔さで迎えてくれた。空港からはリムジンバスに乗車し、ほどなくして高松築港へ到着した。旅の初日はフェリーで小豆島(しょうどしま)へ直行、そこで一泊することにした。

 瀬戸内海では淡路島に次ぎ、二番目の大きさを誇る小豆島は、日本最古かつ最大の生産量をもつオリーブの産地としても有名である。ほかに醤油や佃煮、そうめんの生産地としても知られている。

 小豆島出身の文学者壺井栄女史の名作『二十四の瞳』の舞台としても人々の記憶に深く刻まれている。「瀬戸内海べりの一寒村」を赴任先としてやってきた「おなご先生」と呼ばれた大石久子先生とあどけない十二人の小学生とのかたい絆を描くこの小説は、戦争の苦難を描き、何度も映画化やドラマ化されたが、残念ながらその記憶も次第に遠のいていくようである。

 島には潮の満ち引きによって現れたり消えたりする「エンジェルロード」という有名な観光スポットがあって、予約したホテルはちょうどその真ん前にある。水天一色の瀬戸内海に浮かぶ青き島々はまさに蓬莱の仙郷の如き、ほんの数時間前までは上海の澱みに包まれていたとは摩訶不思議であった。その清々しい絶景の前でしばらく立ちすくんだまま、すっかりと心が奪われ、うっとりになった。後小一時間で道が消えていくとホテルのスタッフがいうので、荷物を置いて急いで伝説のロードへ駆けつけた。

 おなじみの演歌歌手、天童よしみの名曲『珍島(チンド)物語』に歌われている「海が割れるのよ、道ができるのよ、島と島とがつながるの」のような景色を想像していたが、朝鮮半島の南端部に位置する珍島の海割れ現象よりスケールがはるかに小さいものの、「エンジェルロードの真ん中で手をつないだカップルは結ばれる」という口コミの噂が広がり、いまでは「恋人の聖地」とされ、縁結びの名スポットとして広く知られている。瀬戸内海のすばらしい夕焼けを眺めながらそこで立っていると、年不相応ながらも小生はおのずとロマンチックなサンセットに夢見心地になった。

 翌日は島を一周する島めぐりバスツアーに参加した。

 日本三大渓谷に数えられる寒霞渓や、『二十四の瞳』映画村、小豆島名物のオリーブ公園などをめぐるコースの中には、銚子渓自然動物園の「お猿の国」というスポットも見学先として組まれている。同じ霊長類として特にサルには興味を持ていない小生だが、否応なしにそれを見ることにした。

 しかし、最初にあまり興味がなかったこの「お猿の国」から、意外にある種の哲理を会得することができた。この話について、また次回報告したい。