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日本語を選んだ理由

2015年 11月 20日10:44 提供:東方ネット 編集者:曹俊

  大学を卒業してあっという間に20年経った。相変わらず大学のキャンパスに留まり、毎日のように日本語と付き合っている。職業柄かもしれないが、日本語を専攻としている若者たちを観察し、彼らの考え方や行動パターンを理解するのが趣味となっている。

  数多くの専門の中で、大学生たちが日本語専攻を選んだ理由は一体何だろうか。三年前に上海にある六大学で日本語専攻大学生を相手とするアンケート調査を行ったことがある。同調査には、なぜ日本語専攻を選んだかという一項目が設けられた。選択肢には、「就職のため」、「留学のため」、「アニメやドラマが好き」、「日本文化に興味がある」、「日本語が好き」、「外国語を勉強したい」、「両親の影響」、「周りの親戚や友達の影響」、「学校による調整」などが挙げられている。

  上記の諸選択肢をそれぞれの性格に基づいてさらに分類してみると、目的志向(「就職のため」、「留学のため」)、趣味志向(「アニメやドラマが好き」、「日本文化に興味がある」、「日本語が好き」、「外国語を勉強したい」)、消極志向(「両親の影響」、「周りの親戚や友達の影響」、「学校による調整」)という三つのタイプに分けられる。試算した結果、「その他」や無回答の学生を除いて、目的志向、趣味志向、消極志向の学生はそれぞれ、15.3%、54.1%、24.5%となっている。やはり自らの趣味に合わせて、合理的な選択を行った学生が主流だ。

  より具体的に分析してみると、調査の結果には非常に興味深いものが見られる。諸選択肢の中で、一番の理由として選んだ学生が最も多いのは、「外国語を勉強したい」(25.6%)、「学校による調整」(18.7%)、「アニメやドラマが好き」(14.5%)という三つだ。外国語を勉強したいと考えている学生は別に日本や日本語自体に興味があるというわけではなく、外国語の専攻であればいいという感じだ。言い換えれば、四分の一ぐらいの学生にとって、大学で学ぶ言語が日本語かどうかには特に拘らない。また、二割近くの学生が自らの選択ではなく、不本意で日本語専攻に入ったのもちょっと意外だ。日本の方々ががっかりするだろうが、日本語専攻の学生の中で、大多数の者は進学した頃、日本や日本語にあまり興味を持っていなかったらしい。

  アニメやドラマが好きなために、日本語専攻を選んだということもよく考えてみると、大学教員にとってはそれほど望ましい答えとは言えない。流行文化はよくソフトパワーと見なされているが、日本文化における限られた狭い一面しか表現していない。中国社会では、日本に関する認識はまだまだ表面的で、非常に偏っているように見られる。ただ、それも近年日本政府、民間団体と企業が海外で流行文化の宣伝ばかりに集中した結果とも言えるだろう。


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