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(人物伝)女子バレーボールのエース・朱婷

2021年 7月 27日17:49 提供:中国国際放送局

  このシリーズでは現在活躍中、あるいは中国のスポーツ界に大きな影響を残したアスリートたちにフォーカスしてお伝えします。

  

  生い立ち

  朱婷さんは1994年、中国中部・河南省周口市の村に生まれました。5人兄弟の3番目の朱さんは小さい時から背が伸びるのが早く、2007年の13歳の時には身長はすでに170センチを超えました。

  中学生になった朱さんに父は家計を助けてもらいたいと考え、2人の姉と同じように学校を中退して、出稼ぎに行ってほしいと言いました。

  しかし、朱さんは「私は勉強を続けたい。中学、高校を卒業したら、開封市、鄭州市あるいは北京市のような大都会に行って、大学に入りたい」と主張しました。

  担任の助言でスポーツの道へ

  朱さんは中学卒業後の進路について、担任の先生から聞かれた際、「高校に行きたいけど、父は早く働いてほしいと言っている。先生の意見を聞きたい」と話しました。

  すると先生は、「一つ、あなたに適している道がある。苦労するかもしれないが、大丈夫か」と尋ねました。朱さんは迷うことなく「大丈夫です!」と返答しました。

  先生は朱さんを連れて、周口市立のスポーツ学校に向かいました。どれくらいの高さ、どれくらいの距離を飛べるかのテストを朱さんは受けました。テストを見ていたスポーツ学校の副校長は、朱さんの担任の先生にこう言いました。「どうして、早く連れてこなかったの」

  スポーツ学校の副校長は、以前はバレーボール選手で、朱さんがきっと優れたバレーボール選手になると判断しました。そして、朱さんはスポーツ学校で練習に励むことになります。毎日厳しい練習が続きましたが、いつも真面目で、生まれながらの恵まれた資質も持つ朱さんは、技術をぐんぐんと伸ばしていきました。

  1年後の2008年、朱さんは河南省のスポーツ学校に推薦入学しました。そこでも習得は早く、どんな技でも1回教わっただけで身につけることができました。絶対に優れた選手になると見込まれた朱さんの厳しい練習が始まりました。

  父からの励まし

  ある時、家にいる父に一本の電話がかかってきました。それは朱さんからでした。「毎日激しい練習で体のいろんなところが痛いし、つらい。辞めたい」と泣きながら言いました。

  それを聞いた父は、「プロになろうと決めた以上、我慢するしかない」と励ましの言葉をかけました。

  その当時、父は朱さんの学費を賄うため、農作業をするかたわら、農機や農用三輪車の修理店を開いて仕事に励んでいました。ある日、農機が突然倒れ、腰を強く打ってしまい、家で横になって休養せざるをえなくなりました。

  ある日、朱さんが荷物を持って家に帰ってきました。やはり、つらい練習に耐えられず勝手に辞めてきてしまったのです。横になっている父を見て、泣き出しました。父のためにも、自分のためにも、まずは河南省の代表チーム入りを目指して、練習に励もうと心に決めました。

  国家代表、そして海外移籍

  2年後、朱さんは見事に省のチームに入り、心に決めた目標を達成しました。その後、腕を磨きながら徐々に頭角を現していき、2010年には中国の少年代表チーム、2012年には中国のユース代表チームに入りました。2013年に行われた世界ジュニア選手権ではチームを引っ張って8戦全勝、18年ぶりの優勝に貢献し、最優秀選手、ベスト・アタッカーに輝きました。同年、郎平監督に抜擢され、国家代表チーム入りを果たします。

  郎平監督の指導を受けながら、198センチの高い身長と抜群のジャンプ力、力強いスパイクを活かして、チームのエースアタッカーに成長しました。

  クラブでは、国内リーグで3シーズンプレーした後、2016年にトルコのプロリーグの強豪チーム・ワクフバンクに移籍。同年の世界クラブ選手権でチームを3位にけん引し、朱さん自身はベスト・アタッカーに選ばれました。

  2017年、トルコ移籍後の初シーズンを迎え、チームはリーグ3位で、朱さんは同リーグのベスト・アタッカーとなりました。また、欧州チャンピオンズリーグではチームを優勝に導き、朱さんは最優秀選手に選ばれました。その後、2017年の世界クラブ選手権優勝、2018年のリーグ優勝、2017-18シーズンの欧州チャンピオンズリーグでの2連覇など、数々のタイトルに貢献しました。

  一方、国家代表としても、チームメンバーと一緒に2015年のW杯、2016年のリオ五輪で優勝。2019年のW杯で再び優勝して2連覇を達成し、朱さんはバレーボールW杯史上初のMVP連覇を果たしました。

  東京五輪でチームをけん引

  朱婷さんは2017年から代表キャプテンを務めています。東京五輪では開会式の旗手も務めました。今月27日までに1次リーグの2戦目が行われており、中国は2連敗。腕を故障している朱さんは試合中、いつも手首や腕を揉んでいます。その様子がカメラマンに捉えられています。メンタルもコンディションも調整が必要とされる朱婷さんと中国代表はどこまで実力を発揮できるのかが注目されています。

  (鵬、星)