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【観察眼】農村環境の整備が若き“鳳凰”を呼び戻す

2021年 3月 10日20:18 提供:中国国際放送局

「鳳凰は梧桐(ゴトウ)にあらざれば栖(す)まず」という言い伝えがある。鳥の王である鳳凰は、木の王とされる霊樹の梧桐(=アオギリのこと)にしかとまらないという意味だ。中国では「鳳凰」は優秀な人材のたとえに、「梧桐」は優秀な人材にふさわしい環境のたとえに使われることが多い。ふさわしい環境がなければ、ふさわしい人材が留まることはない――それは古来から変わることのない真理の一つと言えよう。

このほど、国連のグテーレス事務総長が習近平国家主席に書簡を送り、中国の貧困脱却の成功を祝福した。中国の人口は世界人口の約20%を占めており、この成果は中国のみならず、世界のものでもあるということを物語っている。中国では2020年末までに、現行基準下で9899万人の貧困者、832の貧困県、12.8万の貧困村がすべて貧困から脱却した。貧困脱却への堅塁攻略戦に危なげなく勝利できたと言える。しかし習主席は全国貧困脱却堅塁攻略総括表彰大会の中で、「貧困脱却は終点ではない。新しい生活、新しい奮闘の起点である」と強調した。では、新しい生活と奮闘とは何だろうか。

中国の発展に興味がある人ならば、今年の一号文書(中国政府が発行する年間で最初の文書)が「農村振興の全面的推進と農業及び農村の現代化加速に関する中共中央と国務院の意見」であることに注目しているはずだ。また、今年1月に国家農村振興局という部門が設立されていることも見逃せない。同局の設立は、農村振興の全面的な推進こそが新たな歴史的起点であることを示している。農村振興こそが、「第14次五カ年計画(十四五)」期間において――さらにはその先に続く長期目標においても――最も重要なキーワードであると言ってもよいだろう。そんな農村振興戦略の実施上の重点は農村環境の整備にある。

今年の「政府活動報告」では、「農村部の基本公共サービスと公共インフラ整備を強化し、県域内の都市と農村の融合発展を促進すること」と、「農村部の居住環境整備の向上に関する五カ年行動の開始」が示された。実は、農村環境を整備する取り組みはすでに始まっている。昨年末には、農村振興戦略の第一陣として「農村居住環境整備の三年行動」が完了した。これにより、中国東部と中西部の都市近郊の農村ではトイレの改造が基本的に完了し、90%以上の行政村に生活ゴミ回収処分システムが構築され、30%近くの農家の生活汚水が効果的に管理されるようになった。

農村部に生まれた若者の多くは、就学や就職のために都市に出た後に故郷に帰りたがらない。都市部では仕事のチャンスが多く、情報が手に入りやすいという点が大きいが、生活環境の違いも否定できない原因の1つだ。しかし、先述のうち、情報格差の面についてはインターネットの普及が完全に解決してくれる。中国青年報社社会調査センターが行った「2021全国青年の両会議への期待」という調査によると、回答者の69.0%が農村部のインフラ整備を希望し、66.8%が農村経済に適した新しい職業の創出を望んでいる。調査の結果、条件さえ整っているなら、より多くの若者が農村振興の活動に参与する意欲を持っているのだということが分かった。

鳳凰を呼びたければ、梧桐を植えねばならない。優秀な人材にはふさわしい環境が必要だ。農村環境の整備は農村と農業の現代化建設を支え、農民の獲得感、幸福感と安心感を高めるだけでなく、より多くの若者を農村振興のために舞い戻らせることにつながる。若き“鳳凰”たちの力はさらに農村環境を整える好循環を生み出すことだろう。