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藤田康介:中国に25年根を下ろした「上海の婿」、中医を世界にPRしたい

2021年 12月 31日14:09 提供:東方網

  清潔で明るい診察室、優しくて穏やかな医療スタッフ。藤和クリニックの壁には、新しい一年のカレンダーが掛けられた。藤田康介医師にとって上海での26年目がまもなく始まる。

  藤田医師は日本人として初めて中医博士を取得した人物だ。妻は上海人なので上海の婿でもある。この25年間、上海という都市の発展を物語り、日増しに変化するこの都市と共に成長してきた。 

  「上海とは不思議な縁で…」と藤田医師は述べる。彼の心の中で、上海はすでに第二の家なのだ。

  その縁は中医に始まるという。

  藤田氏が高校生の時に祖父が肺癌になった。末期で各種治療を試みてもはかばかしい効果は見られなかった。そんな時、ある中国人留学生の紹介で中医治療法を知り、半信半疑で飲用したところ、祖父の病状が改善したのだ。それで中医に神秘的なものを感じ、中医を勉強しようと心に決めた。

  「90年代の日本には漢方(日本伝統医学)はありましたが、中医治療に関してはほとんどの人が目にしたことがありませんでした」。中国の有利な学習環境と豊かな実践資源を考えた結果、「中医はいったいどういうものかと思って」、藤田氏は単身上海にやってきた。 

  1997年上海師範大学招待所での藤田康介氏

  藤田医師は、「上海の文化は非常に有名で、経済的な文化も先進的でした。私の実家は奈良県ですから、帰省するにも便利でした」と東方網の記者に語った。1996年に中国に渡って上海師範大学で1年間中国語を勉強した後、上海中医大学で11年間学び、中医博士号を取得した。勉強を続ける中、上海ですばらしい都市造りがどんどん進んでいくのを目にした。そして医療条件も着実に向上し、市民の健康意識も徐々に強まっていることなどを考えて、「上海に残るほうがいい選択だ」と考えたという。 

  上海に足を踏み入れて、あっという間に26年。 

  「中医の根は人々の生活にある」。これは藤田医師が信じる言葉だ。これまで機会を見つけて地方へ行き、地元のベテラン中医や市·村民とひざを交え、中医の発展を現地で理解してきた。北部、南部、内陸など、それぞれの場所ごとに中医療法や人々の生活習慣がある。これらは上海にいただけでは分からないことだ。

  藤田医師は草薬の研究にも熱心に取り組んでいる。浙江、甘粛などへ行って、薬を採取する農民と一緒に山に登って薬を採取し、薬剤の栽培を体験する。「農民は草薬をよく知っています。それらは本では勉強できない知識で、現場で行かないと分からないものです」と述べる。中国での生活は、様々な中医薬を深く勉強するチャンスも藤田医師に与えている。 

  2021年3月、武漢を訪れた藤田康介氏

  藤田医師にとって、医学と文化の関係は切り離せない。一般の人々の生活を全方位で理解していないと、病気に対する適切な予防措置が取れないと考えている。これまでの研究から藤田氏は、中国人の保健養生スキルをまとめた『中医養生のすすめ』という本を日本で発行した。飲食·運動の習慣から始まって中医と漢方の違いまで、さらには、現代技術が中医の煎じ薬に与えた固有の能力や針灸の新しい応用などまで、最も先進的な中医を日本の専門家や患者に伝え、多くの日本人に向けて中医の本質と発展を理解できるチャンスを提供した。

  2021年はもうすぐ終わるが、藤田医師は新型コロナの影響で日本に帰国をしていない。その理由で最も重要なのは、「中国は新型コロナの予防·コントロールを重視し、有効的な措置を講じました。私は『いいね!』をしなければ」だからと述べた。

  今年の初め、藤田氏は中国産の新型コロナワクチンを優先接種した。今は第3回接種の予約を待っている。上海にいる外国人として、中国人と同じ待遇を受けている。「われわれのコミュニティには外国人が多いですが、ワクチン接種の案内には中国語だけでなく、英語、日本語、韓国語も書いてあります。多くの外国人が接種に行って、非常に便利です」と語った。

  また現在、藤田医師は、中国の新型コロナに対する予防·コントロール手法、新型コロナの治療における中医の効果を紹介する新しい本、『上海清零』の出版を準備している。

  「人々の中医への理解はまだまだです。特に若者。日本で中医の治療といえば慢性疾患に用いるものと思われていますが、この2年間の新型コロナを通じて、中医は伝染病の治療にも役立ち、中国の中西医を合わせたやり方が非常に効果的なことも判明しました」と述べた。日本中医薬協会副会長として、本の出版を通じて、中医の海外展開に助力を惜しまないつもりだ。

  来年は中日国交正常化50周年なので、日本中医薬協会は交流イベントを開催して中医をPRしたいと計画している。同時に、日本の漢方を伝えるルートも確立して、中医と漢方の間の架け橋を整備したいと藤田氏は抱負を語った。

  (編集:曹 俊)