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上海近郊の村に建てられた人材マンション

2021年 2月 2日17:03 提供:東方網 編集者:曹俊

張江新豊村にある人材マンション

  割と狭い賃貸アパートに住み、都心部にあるオフィスビル内のパーティションに座り、地下鉄に乗って通勤する。これが地方から上海に来て働く若者のイメージだ。上海が若者を引き付けるのは、都心部の賑わいと華やかさのようだ。

 だがこの2年、マイノリティのような「逆都市化」のライフスタイルが現れつつある。それは村の人材マンションを住まいとして、仕事以外の時間は上海農村のお年寄りや一戸建て、畑を友とするホワイトカラーの姿だ。

  村の人材マンションの需要と供給の背景には、新世代の青年のどんな潜在的価値観があるのか。彼らの都市と田舎に対する理解には、どのような潜在的変化が起きているのか。これらを探ろうと、上海近郊の田舎にある人材マンションを訪れた。

  90後(1990年以降に生まれた若者)である東北出身の于東さんは、朝8時に通勤バスに乗り、30分後に地下鉄張江路駅に到着すると、10分歩けば張江科学城にある生物医薬会社に着く。今の住まいは于さんが上海に来て借りた3軒目の部屋だ。前の2回は会社近くの分譲住宅で、家賃は約2500元だった。昨年夏に今の張江鎮新豊村に引っ越し、家賃は月900元ほどに下がった。于東さんは出勤すれば「ホワイトカラー」で、帰宅すれば「村民」だ。

新豊村の人材マンションは明るくて施設も完備している 

  新豊村が11棟の一戸建てを人材マンションに改築すると、約100人の若者が于東さんと同じ選択をした。宝山区羅店鎮天平村には113軒の人材マンションがあり、約250名の企業人材の入居ニーズを満たすことが可能だが、昨年9月時点で入居率はすでに70%を超えている。青浦区重固鎮徐姚村でも昨年5月、周辺で働く20数人のホワイトカラーを初めて受け入れた。奉賢区南橋鎮華厳村にある86棟の村の人材マンションもすでに満室だ。

  これらから分かるように、このようなニーズは人々が想像する以上に大きい。公開資料によると、張江科学城の国有資本が主管する人材マンションと市場の賃貸住宅供給数は3.89万軒あるが、ここ5年間で5万軒も不足している。これらを解決する実行可能な手段として、政府と社会が提供する村の人材マンション開発がある。

  統計によると、上海には行政村が所有する使われていない大量の住宅地がある。現在の土地政策により、これらの住宅を村に貸して村が組織を管理し、賃貸用に利用することが可能となった。しかし農村が若者を引き付ける上では、さらに解決しなければならない技術的問題もある。

  第一に場所である。新豊村は張江科学城まで6キロ離れていて交通が不便だ。そこで張江鎮では人材マンション向けに通勤バスを用意し、マンションから地下鉄まで一本、20分乗れば着くようにした。奉賢区華厳村人材マンションの場合は、歩いて15分で会社に着けるよう、産業パークに近い村が選ばれた。

  第二に品質である。村の人材マンションは、インテリアに工夫がされている。例えば華厳村の人材マンションは北欧風のデザインが採用され、エアコン、洗濯機、24時間使える給湯器、無線インターネット、独立キッチン·衛生施設などが全戸に設けられていて、外には駐車スペース、充電スポット、宅配ボックスも完備している。新豊村が開発したマンションの場合、キッチン、洗濯機、閲覧室、活動室、庭、駐車スペースといった共有施設があり、パスワードを入力して入るドア、24時間監視プローブ、電子フェンスなどのセキュリティも完備している。

  そして比較的難しいとされる新村民と地元村民の交わりについてであるが、上海の場合には都市と村のリソースが流動する過程で、人と人の相互交流は相対的にし易いと言える。

  華厳村に住む家主の瀋さんは、自家の2階と裏庭を華厳村の村委員会に貸した。そして鎮に所属する企業がそれを5人が住める人材マンションに改築し、現在5軒とも満室になっている。瀋さんは朝起きると、いつも彼らの部屋の前を掃除する。雨の日には外に干してある服もついでにしまってあげる。果物や野菜をおすそ分けしたり、宅配便を預かってあげたりする瀋さんのような家主は多い。

  上海の農民がホワイトカラーを歓迎するもうひとつの理由は、家賃収入が手に入るからだ。天平村の場合、村の人材マンションとしての農民住宅で、一戸当たり年に3~8万元の増収になる。華厳村では住宅を人材マンションに改造してから、収入が平均で30%増加した。

  新豊村にある人材マンションの責任者の陳健氏は、このマンションプロジェクトによって村民の賃料収入が顕著に増えたとは言えない、と語りながら、「しかし家を改修すると、賃金収入はより安定します。特に新型コロナの間、村民は自分の部屋に借り手がいないことを心配しないで済んだし、水道や電気の修理など面倒なこともやらなくてよかった。村民にとって魅力のある事業です」と述べた。

(編集:曹 俊)