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丸紅中国最高管理者の平澤順氏:第二の故郷の上海に力を尽くす

2020年 10月 3日8:57 提供:東方網 編集者:範易成

 1986年、丸紅株式会社は上海で渉外住宅プロジェクト·虹橋ヴィラの開発を開始。このプロジェクトの一員として上海に来た時から、平澤順と上海との縁が始まった。それから数回、中国に滞在し、2014年に上海に常駐すると、丸紅中国副総代表、総代表などを務めた。今年3月、平澤氏は日本に戻って、丸紅株式会社常務役員、生活産業部門CEOとなり、中国市場を管理する最高管理者になった。平澤氏は帰国したが、中国との縁は今も続いている。

 時代の歩みと共に海外で最大の旗艦会社を作り上げる

 平澤氏が最初に中国と縁を結んだプロジェクトは住宅開発事業だ。虹橋ヴィラに始まり、丸紅株式会社と上海泰路実業発展有限公司の合弁不動産会社である好世置業まで、中国市場を理解しながら上海での発展にしっかりとした基盤を築く過程では、数多くの友人ができた。平澤氏は記者に「『歓楽頌』のロケ地·好世鹿鳴苑を知っていますか?」と尋ね、記者が「知っています」と答えると、「それは弊社が開発した上海で初の内装付きのマンションなんですよ」と誇らしげな表情を浮かべた。「このプロジェクトのために、社の薜暁通董事長は日本に何度も勉強に行き、私とも力を合わせて達成したプロジェクトです。この間、彼とはいい友達になりました。仕事のパートナーではありますが、ここ数年来、各方面でいろいろ援助や示唆を与えてくれて、私にとって家族のような存在です」と語った。

 2014年、平澤氏は上海に常駐して一連の重大プロジェクトに関わることになる。日系企業が中国国際輸入博覧会に出展するのを積極的に推し進めるなかで、平澤氏の後押しにより丸紅本社は二つの新しい戦略的な投資を決定し、運営センターを上海に置いた。投資の一つは復星集団との復紅合医薬江蘇有限公司という合弁会社の設立で、中国で幅広い消費者に好まれる日本医薬品を中国市場にもたらした。もう一つは中国のG7会社と協力して、冷凍冷蔵トレーラリース(コールドチェーン)のハード·ソフトウェアサービスを提供する合弁会社の設立で、中国市場で成長著しいコールドチェーンのニーズを満たすことを目指した。

 また、丸紅は輸入博に2回とも出展している。第2回輸入博では、分解できないプラスチックを酸化型分解可能のプラスチックに変えるという最新技術を展示。平澤氏は第3回輸入博では、前回の輸入博にならってライフスタイル関連のサービスと商品、たとえば、育児塾や子供の靴、輸入ビーフなどを展示したいと語った。

 平澤氏は、輸入博には中国の開放がさらに拡大し、世界各地との交流もさらに多くなっているという強いメッセージを感じるという。会場では出展だけでなく、山東省、湖北省、吉林省などの関係者と積極的に交流した。このように輸入博には交流の場としての意義と作用が非常に大きいという。 様々な事業を通じ、平澤氏は丸紅(中国)を丸紅の海外で最大の旗艦会社に作り上げたと言える。

 日本の資源を調達 中国のコロナとの戦いを積極的に支援

 2020年の初めに新型コロナが起きた際、武漢卓爾集団の高級管理者は平澤氏に支援の要請を出した。そこで氏はただちに日本から緊急物資を調達。丸紅のネットワークと組織力を利用して、日本からアメリカに輸出する予定だった貨物を急きょ武漢に運ぶことを東京本社と調整することで、最高級の防護服とマスク9万セットを武漢に届けることができた。

 その後も平澤氏は丸紅の販売チームと共に世界での力を動員して、グローバル供給チェーンと国際物流のトンネルを通じ、武漢に緊急物資を寄付することを積極的に推し進めた。そして2020年3月には、パートナーである上海復星医薬集団を通じて、丸紅上海は復星集団傘下の武漢済和医院に30万元の人工呼吸器2セットを寄付した。

 新型コロナは丸紅の事業にも大きな影響を与えた。平澤氏は、「上海市政府は新型コロナの影響を受けた外資系企業を気遣ってくれました。市政府の各種支持策のおかげで、外資の投資環境が改善しました。3月には上海市政治協商会議の幹部が弊社に回復状況を見に来て、上海による企業支援策28条を詳しく説明し、その後、中国(上海)自由貿易試験区管理委員会陸家嘴管理局の幹部も来て、企業を全面にサポートすると表明してくれました。外資系企業に対する政府からの強い支持を感じます。弊社も新型コロナがもたらした損を最低に減少することに努力しています」と述べた。

 上海市が早い段階から復興政策、消費刺激策を出した結果、丸紅の一部小売業界は急速に回復し、売上げも徐々に伸びている。このように上海市の消費刺激策は、会社の売上げの伸びによい効果をもたらしているという。

 上海に根を下ろし 第三国での「双循環」の実現を期待

 新型コロナの影響をうけ、世界的な規模で経済の趨勢はまだ不透明である。これに関して平澤順氏は、「中国には政府の強い支持があり、まして上海は中国全国の発展で先頭的な位置を占めています。世界の他の国では新型コロナ第2波が発生する可能性はあり、世界経済はいまだ不安定ですが、丸紅は中国市場をしっかりと見据え、守っていくつもりです」と述べた。

 将来について問うと、平澤氏は丸紅には多くの面で発展のチャンスがあるという。特にライフスタイル、農業、環境保護、エネルギーと第三国の事業などだ。まず、人々のライフスタイルが変化するにつれて、消費は量からより良いものが欲しいという質に変わってきた。次は、現在の農業が変革の段階にあり、将来の高効率の農業発展の面において、丸紅は豊かな経験を持っている。また、環境保護とエネルギーに関しては、脱プラスチック、ごみ処理、汚染された土壌の改良、新エネルギーの利用などの経験もある。そのほか、丸紅は海外でのネットワークを利用して、中国企業の優れた技術とビジネスモードを備えて第三国の事業を展開でき、第三国で国内と国外の「双循環」を実現する可能性もあると指摘した。

 中国企業と第三国事業を共同で開発することについて氏は、「我々は復星集団と復紅医薬を設立しました。第三国に向けて医薬、医療サービスを提供することができます。中石化とも共同でカザフスタンに工場を建設しました。次は国内のパネルメーカーと一緒に、中東各国で太陽エネルギーの発電工事を行う計画です」と滔々と述べた。

 最後に平澤氏は、中国は世界第二の経済大国であり、上海は中国経済で活躍する都市のひとつであり、学ぶものも借りるものも多い、と述べた。40数年に渡る改革開放のうち、前の30年は中国が日本にいろいろ学んでいたが、ここ数年は日本が中国に学ぶことが多く、特に上海は学びと気づきの場である、と語った。

 もちろん氏にとって上海は中日経済交流の場所だけでなく、文化交流の場所でもある。毎年、中日映画祭の開催に協力し、日本の短期留学生が日本の丸紅社員の家に来てホームステイをする。また若い日本人の駐在員と上海人の社員を組織して上海漫歩のイベントを実施し、上海の歴史を学び、中日若者の間に交流の場を提供するという。

 平澤氏は上海にいる時は、小籠包や葱油拌麺、獅子頭を好んで食べた。そしてルーズベルト公館辺りを散策したり、歴史を象徴するバンドと未来を象徴する浦東を眺めたりした。上海は氏にとって、情熱を傾けて過ごした都市であり、そこから様々なものを得た都市なのだ。平澤氏は2014年に上海市外国専門家証明書を、2016年に上海市白玉蘭記念賞を、2017年には中国(上海)自由貿易試験区管理委員会陸家嘴管理局で取り扱った初の中国永久居留証を獲得した。さらに今年2020年は、上海市白玉蘭栄誉賞を受賞した。平澤氏は「上海は私を育ててくれた都市です。初心を忘れないで、使命を心に刻み、第二の故郷である上海のさらなる発展に力を尽くしたいです。気合を入れて頑張ります!」と述べた。 

 

(曹 俊  写真:丸紅)