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日本の核燃料過剰蓄積が解消されたか

2016年 3月 24日17:02 提供:東方ネット 編集者:兪静斐

  上海外国語大学日本文化経済学院 須軍

 今月21日に、日本の茨城県東海村の波止場に止まったとあるイギリスの貨物船が、世界の注目を集めた。日本が冷戦の間に研究用の名目でアメリカから貸し与えられた331キロのプルトニウムをアメリカへ運ぶために出された船である。日本側は前々から返すと繰り返していたが、この日になってようやく決心が付いたようだ。

 今月末にアメリカで開かれる予定の第四回核安全サミットを前に、核燃料を返還することは歓迎すべき行動だが、日本の蓄積してきた核燃料の全体の量から見れば、331キロのプルトニウムなどほんの一握りに過ぎない。日本はこれまで年々外国から使った核燃料を輸入して処理している。中国軍備管理及び軍縮協会(CACDA)と中国核科学情報及び経済研究院の報告によると、日本はすでに47.8トンのプルトニウムと1.2トンの濃縮ウランを蓄積してきた。これほど大量でしかも年々増えていく核燃料は原発がまだ稼動していた時でも消費が生産に追いつかない状況なのに、3・11大震災の影響で原発が止められている現在、なおさら消費しきれないだろう。核燃料の消費と生産のバランスをとることは、核安全を保証する基本であるにもかかわらず、日本は使い道もない核燃料をあたかも何かの宝物のように、他国の使った核燃料から分離してまで入手して溜め込もうとしている。こう見ると、核燃料の返還は核安全サミットの前に日本が国際社会に示す誠意というよりも、より大量で危険な核物質の蓄積を国際社会から糾弾されないように自ら断ったトカゲの尻尾といったほうが適切だろう。

 そもそも核燃料の大量蓄積がなぜ国際社会から心配されるかというと、日本が大量に溜め込んだ核燃料は主に三つのリスクを孕んでいるからである。まず最初に、これだけ大量な核燃料はどこに保管されているか、何かの拍子で環境に漏れないだろうかという放射能漏洩のリスクが懸念される。福島の原発事故から分かるように、日本の核安全管理能力や核危機対応能力はお世辞でも高いとはいえない。地震など自然災害の多い日本でどことも知れない場所に大量な核燃料を溜め込むとなると、国際社会から心配の声が上がるのも無理はないだろう。次は危険な放射性物質がテロリストなどの手に渡るかどうかという放射性物質紛失のリスクである。これも不明瞭な保管と管理体制に関連する問題である。プルトニウムやウランなどの放射性物質はたとえ原子爆弾にせずに直接環境に環境に放出しても大きな被害をもたらすもので、隠し持っているような不明瞭な保管体制では紛失が心配されても当然であろう。最後はこれらの核燃料は核兵器へ転用されるかどうかという日本核武装疑惑の問題である。核兵器不拡散条約の締約国でもある日本が核燃料の供給バランスを無視して大量に核燃料を溜め込んでいったい何に使いたいか疑問である。

 本月18日の参議院予算委員会で内閣法制局長官である横畠祐介が核兵器の使用が違憲にあたるかとの質問に対し「わが国を防衛するための必要最小限度のものに限られるが、憲法上あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えていない」との見解を示した。内閣法制局は政府が何かをするときの法律顧問のような働きを持っており、大量な核燃料を持っている状況で、このような質問をするとは、何をしようとしているか、日本の行方がはなはだ心配である。