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安倍談話への三つの論評

2015年 8月 17日15:24 提供:人民中国インターネット版

 文=中国社会科学院日本研究所副所長 楊伯江 

1.圧力の下で安倍首相は一部妥協

安倍晋三首相は誤った歴史観を一貫して堅持してきた。2013年4月には参議院予算委員会で「侵略の定義は定まっていない」と述べ、また「村山談話」を変える必要があると繰り返し表明してきた。しかし、今回の談話は広く国際社会の注目する四つのキーワード「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」が全て書き込まれている。どうであれ、これは安倍首相がもともと持っていたかたくなな立場からは一種の譲歩だ。

戦後70周年に際し、日本の主流の民意は隣国との国際関係を和らげるよう安倍政権に望んでいる。この点は日本メディアが最近実施した世論調査でも非常にはっきりしている。安倍首相への圧力は与党自民党内の穏健派や連立政権を組む公明党からだけでなく、日本国内の政治動向からも一層かかっていた。衆議院で安全保障関連法案を強行採決した後、安倍内閣の支持率は下がり続けている。さらに前後を見渡せば見渡すほど、原発の再稼動や参院選、消費税率アップなどの難題がますます山積している。安倍首相にとって「悪材料」は「好材料」よりもはるかに多い。今まさに安倍首相は有権者の視線を急いでそらす必要があった。対中国か対ロシアか、あるいは対朝鮮民主主義人民共和国かを問わず、たとえムードだけだとしても、関係の緩和と改善はしっかりつかむ必要のある「カード」だった。

2.言葉をもてあそび、心中に「やむを得ない気持ち」

「安倍談話」は「村山談話」の約4倍の分量を使い、19世紀にアジアへ押し寄せてきた西洋諸国の植民地支配の波から説き起こしている。その目的は日本軍国主義の侵略という犯罪行為を一般化し、戦争の性質と戦争責任という2大焦点への世の人々の注目を分散させることにほかならない。ちょうどこの二つのキーワードの問題では意を尽くさず、極力ごまかしている。談話は3分の1近くを使い、日本が「進むべき進路を誤」った時代と国際的な背景について詳しく述べている。その意図は対外侵略戦争があの時代の弱肉強食、ジャングルのおきての下における自然な選択だったと強調することにある。これは「同罪論」の印象を感じさせる。談話の中の「反省」「おわび」も同様に、日本の「歴代内閣の立場」を「繰り返し表明」する文脈の下で現れる。

安倍首相の「やむを得ずしている」態度はまず、彼自身の戦争歴史観と談話内の「反省」「おわび」などの内容が直接衝突していることから来ている。次に、恐らく彼の周辺の政治的支持者に対する「配慮」の気持ちから来ている。そうした人々は安倍首相の2度にわたる首相就任を支持した土台であり、さらに彼の政治理念の同調者でもあるということは周知のとおりだ。

3.ひとまず言葉を聞いておき、行動を観察する必要

談話は安倍首相の国際的な広報活動のようだ。戦後の各国が日本の国際社会復帰を受け入れたことに感謝し、中国人が寛容な心で約3000人の日本人孤児を養ったことに感謝し、日本は二度と国際秩序への挑戦者にはならず、いかなる紛争も平和的·外交的に解決することを堅持すると述べた。しかし、これらの全ては実際の行動で約束を果たし、証明する必要がある。集団的自衛権の行使容認と「いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」という言葉の間で、安倍首相がどのように整合性を保つのかを私たちは特に注目している。

安倍首相に注目するほか、彼の背後にいるグループにも注目する必要がある。積極的な挑発と有言不実行は歴史問題における近年の彼らの特徴だ。20年前の8月15日、「村山談話」が発表されたその日、日本の右翼保守勢力は『大東亜戦争の総括』を発表し、侵略戦争を美化し、南京大虐殺を否定した。「安倍談話」の後、日本の一部の人々はどんな行動を起こすだろうか? 私たちはそこに注目している。