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中国の演劇の王様といわれて、中国の代表的古典演劇で各地方で発生した地方劇が清朝中期(18世紀後半)以来、首都北京に集まり、都会的に洗練され、集約体制されたものである。
歴史上有名な唐代の玄宗と後唐の代(紀元923〜936年)の皇帝荘宗は、いずれも中国演劇界の元祖と見なされてきた。その主な理由は、二人の皇帝が音楽を深く理解していたからである。唐の玄宗にいたっては、宮廷内に「梨園子弟歌舞楽隊」という歌舞団まで作っていた。そのため、後に芝居は「梨園業」と称されるようになり、役者も「梨園の子弟」と呼ばれるようになったのである。京劇の脚本は大きく二つに分けられる。一つは、歌や踊りをおりまぜた叙事詩のような形の歴史物語や民間伝説を素材としたもので、悲劇と喜劇の特色が混在しているものが多い。もう一つの素材は、日常生活に近いせりふと動作?表情で、ユーモラスに現実を反映し、社会を風刺したもの。こちらは高い教育性と娯楽性をそなえている。
京劇は演技、舞踏、音楽、芸術、文学など、あらゆる分野の芸術を融け合わせた総合芸術である。その演技は「歌唱」(唱)、「台詞」(念)、「動作」(做)、「立ち回り」(打)の四つに分けられる。
京劇は歌劇であるので、「歌唱」が重要な位置をしめている。曲調は「二黄」と「西皮」が主となり、歌唱には七字句と十字句がある。
京劇の台詞は北京語をそのまま用いた「京白」と韵のある台詞「韵白」の二種であるが、特に「韵白」は京劇の主な台詞である。
動作には「身段」(身振り)と「派」(表情)とがある。役者の舞台上のすべての動作は音楽の伴奏により、行われるが、見た目に綺麗で板に合うのが肝心である。
立ち回りは舞踏と武技を混合したもので、音楽の伴奏や板にあわしている。
- 京劇の役は、性別年齢、性格などによって、「生 旦 浄 丑」の四つに大きく分けられる。
「生」は男性の役。これはさらに「老生、小生、武生」の三つに分かれている。「老生」は、ひげを蓄えた中高年の人物。歌やせりふは重厚なのがよいとされている。「小生」は、上品でおっとりした若い男性。たいていロマンチックな恋人役を演じる。「武生」は、武芸にたけた者。神話劇の中の宙返りや戦いの上手な孫悟空や金銭豹なとの役柄を演じる。 「旦」は、女性の役、いわゆる女形だ。「老旦 青衣 花旦 刀馬旦 武旦」に細かく分かれている。「老旦」は老女で、歌、せりふともに「老生」と似通っている。「青衣」は貞操が堅くしっかりしていて理性的な中年あるいは若い女性。「花旦」は、無邪気で活発な少女。また浮気っぽくてあくどい若い女も演じる。「武旦」は、立ち回りを得意とし、神話の中の妖径を演じることが多い。
「刀馬旦」は、「花旦 武旦」の中間で、勇ましく活発な文武両道にたけた女の将軍である。
「浄」は、性格が剛直、豪放磊落、あるいは陰険な男の役。役柄を強調するため、誇張効果の大きい隈取りをする。一目でその役の個性を読み取ることができるようにするためである。 隈取りの色は全て決まった意味を持っている。例えば、赤は忠勇、黒は豪放、青はもくろみ、白は悪賢さ、金?銀は神々を表すのに用いられる。構図が整っていて整然としているのを「整臉」と呼び、図案が複雑なものは「砕臉」と呼ぶ。これらは装飾がおもしろいだけではなく、人の個性や心境をも表している。
「丑」は、ひょうきんで風刺的な小人物で、劇中に滑稽なしぐさやせりふを入れて観客を笑わせる、いわゆる道化役。それだけでなく、時には劇の中から抜け出してきて、客観的な立場で批評したりもする。「丑」は京劇独特の伝統的な役柄だ。
京劇の隈取は色の使い分けによって役柄の身分、性格、善悪などを現す。例えば、赤は忠臣義胆で気短な人、黄は才能あり、落ち着きのある人である。
京劇役者の舞台衣装は、「行頭」と呼ばれ、主に400年前の明代(1368〜1644年)の服装が基礎となっている。踊りの身のこなしがうまくできるようにと、さらに「水袖(そでの端に付けた白く長い薄地の絹)」を付け、鎧の背中には四本の三角旗あるいはキジの尾を立てて、演技に厚みを加え、律動感を強調している。京劇の服装は美しいだけでなく、劇中人物の身分や境遇をも象徴している。そのため、必ず決まりにのっとって身につけなければならない。昔の役者は、舞台の上では「着間違えるよりは破れたのを着たほうがまし」というほど、着付けを大切にしたのである。
中国五千年の歴史の縮図とも言える京劇は雄大かつ豊かな中国文化から長所を取り入れ、強靭な生命力を見せている。
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