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第十五回  日本で見たきらびやかな上海
2004 -1 - 14   11:3

                             広部知子

 正月を日本で過ごすため、一時帰国した。久々に大好きな雪を目にすることができた。元旦には三年ぶりのおせちを口にし、こたつに入り、だらだらとテレビを見て過ごした。テレビはどのチャンネルでも着物を着た女性がにこやかな笑顔をふりまき、お正月気分をかもしだしていた。

 同じようなテレビ番組に飽きてきて、あれこれチャンネルをかえていると、ふと、馴染みのある光景が映し出された。それは、帰国前に上海初心者の知り合いと訪れた外灘の夜景だった。どうも、上海を紹介する番組らしかった。日本で紹介されている上海を見るのは初めてだったので、そのあと約1時間半、その番組を見続けた。

 テレビに映し出された外灘の夜景は、私が実際に見たものよりもずっとキレイだった。まるで絵葉書から抜け出してきたような「完ぺキ」な夜景だった。次に紹介されたのは、ある高級レストランのカニ料理。真っ赤なチャイナドレスを着た美人女優とネクタイを締めたスマートな男性がカニのコース料理を紹介している。優雅な雰囲気の中で女優の手から口元に運ばれる料理は、上海がには泥臭くて苦手な私にさえ、今すぐ食べたい、という気を起こさせた。 そして次に「新天地」が紹介された。オシャレなバーでグラスをかたむける欧米人や、ステージで流行りのポップスを演奏するバンドが映し出される。モデルのような男性がカウンターの中でシェイカーを振ってカクテルを注ぎ出す姿は、映画のワンシーンのようだった。

 そのあとも、豫園の有名茶館や准海路のショッピング風景、南京西路のブランドショップが集まる百貨店など、上海の名所が次々と紹介された。 そして番組は終わった。見終わった後、なぜか不思議の館でも見たような感覚に陥った。私が住んでいる上海の特集だったのに、私がいつも見ている上海はそこにはなかった。私が普段生活している上海ではなく、まるで夢の中で作られたCITYを見たような気分だった。

 多くの日本人が上海に興味を持ち、訪れるように製作された番組なのだから、上海のいいところを紹介するのは当然だとは思う。しかし、地元上海人の生活がみえる場面も紹介してほしかったなあと思う。 あくまでも私の感覚だが、バスに乗って、屋台で手打ちのラーメンを食べ、市場で見慣れない野菜を物色し、ぬるいビールを出されて怒っている方が、ずっと楽しくていい思い出になるのだから・・。

 
 
 

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