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第八回 上海で学んだ値段交渉   
2003 -6 - 16   15:47

                                    山口早苗
 
 2000年の春、「ニイハオ」と「シェシェ」だけ頭に叩き込んで上海に上陸した。そして、これらのことばの次に覚えた中国語は、「太貴了、便宜一点」だった。これは会社で隣のデスクに座っていた同僚が教えてくれたもの。これは絶対必要だから、と。
 当初はなぜこのことばがそんなに大事なのかわからなかったが、上海の生活習慣を知るにつれ、この短い一言が、生活する上で非常に役に立つことを身をもって知らされた。
  例えば、私は今でもよく近所の市場で買い物をするのだが、来た当初はズラリと並ぶ食品の上に掲げられているその名前と値段が、いったいどれのことなのかわからない。だから、じゃがいもや玉ねぎなどを指差して、欲しいことを売主に伝えるしかない。売主は数個のじゃがいもをつかんで重さをはかると、指で値段を教えてくれる。私にはその値段が正しいのかどうかわからない。だから、とりあえず日本円に換算して安ければ買っていた。でも実は、その値段の10分の1ぐらいで買えることを知ったのは、「土豆=じゃがいも」だと知ってからで、すでにその市場に通い続けて1週間以上が過ぎていた。ずっとだまされていたわけだが、領収書があるわけでもないし仕方がない。そこで、次からは、売り主が値段を言った後に、同僚が教えてくれた「太貴了、便宜一点!」を使ってみることにした。すると、その効果は抜群!やっとホントの値段で買えるようになったのだ。
 でもその後、もっと効果のある方法を見つけた。それは、上海の人と一緒に買い物をすること。市場での買い物はたとえ安くなっても1元程度でたいしたことなはい。しかし、衣類やバッグを買うとなると、値段交渉できるにこしたことはない。あるとき、襄陽服装市場に服を買いに行くとき、上海友人に付き添ってもらった。そのときに、私ひとりで「便宜一点」というよりも、上海友人が上海語で言うほうがずっと安く買えることが判明した。ある時は、言い値の半分くらいの値段で買えたことがあってビックリした。上海人の商売上手は、買い手に左右されることを身にしみて感じたものだった。
  こうして、上海の生活習慣のひとつである値段交渉を学んだものの、日本ではほとんどこういう機会がないので、日本人は値段交渉が下手だ。私もはっきりいって苦手。だから今でも、日本の友達に頼まれて大量に買い物するときは、上海の友人につきそってもらう。私ならもうあきらめてしまいそうな状態でも、まだまだ売り主と戦い続ける上海人をみて、このエネルギーが、多くのビジネスチャンスをつかむ根源かな、と痛感している。

 
 
 

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