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作者:広部知子
上海の日本人駐在員の奥様方の多くが、「阿姨」(あーいー;家政婦の通称)を雇っている。週に数回、必要なときだけ頼んでいる家庭もあれば、住み込みで家事は全てあーいーにまかせ、毎日ゴルフにエステ、お花に英会話と家事以外のことにお忙しい奥様もいらっしゃるようだ。ただ、あーいー選びは大変で、あたりはずれが大きい。ある知り合いの奥様は、一年のうちに5人もあーいーを換え、未だに満足のいくあーいーに出会えないという。その5人の中にひとりだけ上海人がいたらしいが、毎日のように「本当は家政婦の仕事はしたくない。」とぼやいており、一ヶ月ほどで自分からやめていったという。実際、上海の人にとって、他人の世話をする家政婦の仕事はプライドが許さず、明日の米にも困ったときの究極の選択肢のようだ。
実は私も以前、月に一回だけ我が家の大掃除にあーいーに来てもらっていたことがある。そのときのことを思い出すと???。
ある休日の午後、50歳近いあーいーは約一時間かけて自転車でやってきた。私は、上拭き用と下拭き用の二枚の雑巾を用意しておいた。そしてしばらく見て見ぬふりで掃除の様子を観察しているうちに、ゲゲッと体が固まることに???。なんと、さっきテーブルの上を拭いた雑巾でそのまま床をふき、さらにはその同じ雑巾を手に便器のフタまで辿りつこうとしているではないか。「ちょっと待った〜!」
事前に受けた指導の中で、雑巾は二枚=一枚は水拭き用、もう一枚は乾拭き用、と教えられたと阿姨はいう。後日、他の上海人に聞くと、それが普通の掃除の仕方で、「キレイなもの用」、」「バッチイもの用」という分け方はしないのだとか。最初にまず、習慣の違いをとことん説明しておく必要があった。
そこで2回目、彼女が来てくれたとき、日本式のやり方に慣れてもらうため、ずっと一緒に掃除をした。彼女は初め、自分が受けた指導とやり方が違うことに戸惑いを感じていたようだが、少しずつ理解してくれるようになり、3回目からはまかせられるようになった。
その後1年ぐらい掃除に来てもらっていたが、彼女が故郷に帰ることになり、今では月に一回、自分で夜中までかけて大掃除している。
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