「ゴー」という轟音とともに、浙江省の寧波から送られた水が沖合に浮かぶ舟山本島に流れ出し、この瞬間、現場は喜びの渦に包まれた。舟山本島はこれを機に水問題と“画期的な別れ”を告げることになった。
舟山群島は浙江省でも水不足問題の最も深刻なところで、これが経済発展を阻む主因となっていた。当地では平均1.23年ごとに干ばつが発生しており、1967年と1996年には大干ばつに見舞われ船で水を緊急輸送するなど、およそ百万の住民や兵士が水不足に悩まされた。こうした状況を背景に大陸からの引水プロジェクト案が浮上、寧波市を流れる姚江の水を杭州湾の海底を通じて舟山本島に送る計画が1998年に始動した。輸送パイプラインは全長67キロ、海底区間は36キロ。総事業費約3億元。計画引水量は毎秒1立方メートル(1日換算8万6000立方メートル)、年平均引水日数は同250日、年平均引水総量は2160万立方メートルに達する。海底水輸送パイプラインとしては全国、また世界でも最長、最大。