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安倍晋三氏の新しい政治
2006 -10 - 26 14:00

(孫立堅)

中国に、完成品需要のある主力市場が出現し始めた。例えば、自動車、サービス業界などである。これらの商品は、日本経済の持続的成長の動力源である。安倍内閣はもちろんこうした要素をおろそかにはできない。近日、日本の新しく内閣総理大臣に選ばれた安倍晋三氏が提出した一つの主張に関心が集まっている。つまり、日本経済成長の重心は、中国に代表されるアジア経済との協力関係に置かれている。

 安倍内閣は、外部からは政治的に小泉時代よりもっと保守的であると見られている。しかし、その安倍内閣が、どうして中国との問題で、小泉より積極的になるのだろうか。日本が当面直面する国内外の政治・経済の情勢は分析を行う必要がある。小泉時代の経済政策が、安倍内閣に残したマイナス面の遺産はとても大きい。日本の少子高齢化は、内需の発展を制約しており、日本経済の蘇生は、しばらく外部の需要に頼って支えるしかない。しかし、その他の経済が低迷する先進国と、有限な外部需要を奪い合うことになる。成功するかどうかのカギは、日本企業自身の創造的能力、良好な市場環境にかかっている。政府はどのように有効に、企業の優位性の展開を支援できるか、それが日本経済の持続的成長ができるかどうかを決める一つの重要な要素になっている。

 安倍内閣が確信している政策面における改革路線は、日本経済の回復の需要と合致する。しかも弱者グループ問題の深刻化は、安倍氏もはっきりと意識している。経済成長と社会保障体系の支援がなければ、市場第一主義だけでは、これらの問題を解決することができないのである。安倍氏は、財政収支のアンバランスを引き続き改善することを主張している。例えば、公務員規模の削減と収入レベルを削減は、安倍氏が首相になった後も自らの経済改革路線として外部に示していることである。そのほか、財政赤字管理の効率向上を主張する。例えば、中央と地方の不必要な公共支出の削減などである。税収体系の改編は、一刻も猶予できない。安倍氏は適当な時期に消費税をアップするかもしれないが、それによって脆弱な税金の基礎がもたらした社会福祉のボトルネックを乗り越えることになる。

 安倍氏はさらに社会保障体系の改善によって、労働力市場の供給構造と効率化をより一歩改善することにつながるよう計画している。小泉首相時代の最大のマイナスの遺産は、構造調整によって弱者グループにもたらされた就業問題である。企業就業構造の変化(非正規社員、パート労働者の比率の上昇)に対応するため、再教育の機会は増加し始めている。産業構造調整に必要な再研修計画を提供して、就業指導計画はますます重要になっている。そのほか、日本の労働力市場の対外開放も少子高齢化問題を解决する一つの方法である。

 もちろん、政府主導の経済改革政策は、社会的需要の力を軽視するものではない。これも今の内閣が、前内閣の経済綱領と区別される一つの新しい特徴である。政府の改革過程の中で、きっと新しい需要が出て来る。例えば、経済発展によってもらたされる環境を改善するという需要、高齢化によって福祉を改善する需要、経済開放によってもたらされる異文化に対応する需要である。新しい需要を絶えず満たすことが、企業が永久に衰えないキーである。

 この意味から見ると、現政府は、需要で目の前の経済的なアンバランスを解決するだけでなく、政策で構造的アンバランスを解決するだけでなく、同時に、ダイナミックな発展の需要も政策面の構造変化に重要な動力をもたらすと考えている。日本は政策的な経済構造調整を経済改革の突破口する方法を採用した。内需の拡大・開放は比較的に長い調整期間であり、また少子高齢化の社会構造は、内需拡大にとって、その規模は有限である。このため、安倍氏の政府は、経済成長の重点をアジアに置くということをはっきりと打ち出している。この問題において、右寄り保守の安倍政治体系でも、小泉氏のやり方を改め、経済成長のために、早い時期に同じアジア各国との関係を修復しなければならない。特に潜在的な中国の大市場を争奪するためには。

 実は、この何年かの日本経済の景気回復には、かなりの部分を中国の廉価な労働力資源を頼っている。同時に、この国際分業において、中国は既に最終商品を必要とする主力市場となって来た。例えば、自動車、サービス業などである。これらの物はみな日本の経済成長を持続させる動力源である。安倍内閣は、もちろんこの要素をなおざりにすることはできない。しかし、中日経済関係は日本政府の態度によって根本的な変化が起きるだろうか?現在、見た限りでは断言するのは時期尚早だろう。中日経済は多くの不確実な要素に直面している。靖国神社問題では、安倍政権の保守的な政治理念では「譲歩」できても、どのような「限界」になるだろうか。中国政府は今まさに産業のレベルアップを進めている時期であり、日本産業の移転戦略実施にある程度影響するであろう。為替レート制度とドル建ての支払い方式の改変にどの程度あるいは、どの方式によって、為替レートのリスクを分担できるだろうか?金融協力は、どのような方式で、産業チェーンが保証するのか?亜元(アジア統一通貨)又は人民元の国際化を、どの程度、双方で受け入れることができるか?アジア債券市場の双方の提携は、どのような段階まで進展することができるか?などなどである。

 安倍内閣にとって幸いなことは、日本経済が強靭さを回復させている段階で、財政赤字が増えていき、かつ弱者グループが絶えず拡大しているという低成長の経済社会を引き継いだという点である。政策面の構造改革は、まだ責任が重大で前途は遠い。特に持続的な経済成長政策と外交方針、政治理念の間に実質的な衝突が起こる可能性がある。現内閣は新しい局面を開けるかどうか、また日本経済の過去の輝かしさを再現させることができるかどうか、大部分の問題が安倍氏個人の政治理念と閣僚たちの間における協調能力をかかっている。第二次世界大戦の後、「負けたのは国で,国を興すのは民だ」という一般大衆の観念は、安倍氏が政権を握る間で変化が起きるかどうか。私達は、しっかりと注視して期待している。

(実習編集:周生傑)

 
 
 

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