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日本電機業界の中国での迷走(四)
2006 -9 - 7 15:34

董晨悦

3、人材本土化の弱さ

 人材本土化は多国籍企業経営のキーであり、日本電機業界各社もその重要性を認識しているにもかかわらず、中国市場での実績と比べて人材本土化の方はほとんど進んでいないため、中国市場との対話やコミュニケーションの機会を喪失しており、結果として当然のように重いツケを払わなければならないことになる。

 欧米企業がR&DセンターやHQを中国にシフトする中、日本電機業界各社は依然として人材本土化に躊躇している。例えば、中国企業が外国企業と商談をする際に、米系企業であればそこにいる人全てが中国語を話せるのに対し、相手が日系企業の場合、中国語を話せるのは通訳一人という状況となる。また昨年に至って漸く単独の地区本部を設立した日立をはじめ、ソニーも2年前に上海テクニカルセンターを設置したものの、独立法人資格を持ったR&Dについてはやはり去年設立という状況で、中国に進出してから20年も経つ東芝は、今年の6月にようやく初めての東芝製品総合展示会を開催するような状況である。

 また、中国の日系企業は、管理スタッフを本社から直接派遣、高級管理スタッフも基本的に日本人であり、欧米企業が中国人スタッフを本社へ研修派遣することが珍しくないことに比べ、日本企業はそのような情況は非常に少ない。このような唯我主義の人事制度の影響から、日本企業は中国において優秀な人材を雇用することが難しくなっている。

 中華英才ネットが中国の大学生向けに実施したアンケートによれば、大学生が就職先を選択する際の主な要素は給与でなく発展のチャンスとのことで、この点アメリカ企業が最も人気があり、日本企業はすべて10位以下に留まっているほか、求職者に対する吸引力の面からも日本企業は欧米企業に比べ魅力に欠けている。

 そのほか、技術保守の観点からも、日本企業は中国人スタッフの忠誠心育成や工場の投資持続性などを行うことは困難であり、一部企業が生産拠点やR&D拠点を中国にシフトしてはいるものの、コア技術とコアとなる生産は引続き日本に留めながらも、コストが中国人スタッフに比べ10倍も高い日本人スタッフを大量に起用しているため、日系電機製品のコストが上昇、結果製品価格も上昇し、製品の競争力が弱くなっている。

 人材の本土化へ対応していく過程で、日本企業は中国市場に対する理解を自ら細らせてしまったことから、携帯電話販売で失敗したように、日本電機業界各社は結局中国市場での製品販売を行うに際して、日本国内の慣習に習う形で対応してしまっている。

 
 
 

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