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日本電機業界の中国での迷走(三)
2006 -9 - 6 16:31

 董晨悦

2、技術狂人の代価  

 「技術狂人」は日本電機業界を凝縮していると同時に日本の企業家の誇りでもあるが、残念なことに全ての日本電機業界各社の経営者は高級技術生産路線を信奉した結果、自らを中国市場のニーズに合わない場所へ追いやってしまう形となった。

 しかしながら、日本企業はこのまま前進することも簡単でない一方、高級品というイメージを捨てたとしたら単なる大衆品になってしまうというジレンマに陥っており、高級路線を維持すればシェアを維持することができず、大衆品に転化すればブランド価値が減少してしまうこととなる。

 3年前から大衆家電路線を捨てた日立は高級家電路線に転換、自らの技術を発揮して背面投下式テレビなどを投入したが、液晶テレビに代表される高級家電製品は2005年下半期になって漸く市場が拡大した段階であり、国内カラーテレビ市場全体の売上高に占める割合は僅か1%に留まっている。また国内外の家電大手が相次いでフラットテレビ市場に参入する中、日立は大衆品マーケットにおける国内家電メーカーのブランド力の高さなどにより、厳しい戦いを強いられている。

 70年代から80年代にかけて日本企業はアメリカを超え、その後の10年で世界における電子製品における勝ち組となったが、現在では日本企業の持つ技術的な優勢は失われつつある中、ソニーは多くのノートブックPC価格を8,000元以下に値下げし、低級商品の生産及び研究開発を中国にシフトしたほか、高級路線を維持してきたソニーエリクソンも1,500元以下の低級携帯電話を中国市場に投入するなど、日本電機業界各社は中低級品市場への進出を目論み始めている。

 しかしながら、これは日本企業にとって容易な事ではない。中国市場ではユーザーは日本電機製品に対して、高い価値感や商品満足度、ブランド信頼度を持っているが、日本企業が高級路線を放棄した場合、製品価格が下落し赤字に直面することを加え、ブランド育成や市場開拓、技術向上のための資金が不足し、長期的に見れば日本電機は「大衆品」になってしまう可能性が高い。

 技術力に裏づけされて長い間トップに君臨した日本企業は、技術の機密保持に対して特に敏感な一方で、廉価な労働力による価格競争力を確保するため生産拠点を中国にシフトしたものの、製造拠点の国外シフトによる競合相手の台頭を防ぐべく、技術については自我閉鎖の道を選択した。注目に値するのは、技術漏洩を防止するため、中国へ派遣する日本人管理スタッフに対して三年に一度の交代制度を実行してきた点である。これは職員の忠誠度に対し多大なるダメージを与えると同時に、管理スタッフが自らの任期内における自身業績を重視するため、会社のマーケットにおけるイメージも犠牲してしまうといった短期行為を誘導することにもなる。 

 今のデジタル技術市場は閉鎖から開放に前進している。Microsoftのような新たにデジ市場に入る商業巨人にとって、開放性の戦略を通じて更に多くのソフト、ハード技術開発商と研究人員を同盟陣営に集めることができる。日本企業は大きな挑戦に直面している。

 
 
 

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