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「日本と中国、お互いを知ることは、今後より一層重要になってきます」【新年展望】(6)
2006 -1 - 23 9:50

 ここ数年、特に05年には、中日関係に深刻な状況が現れた。一方、中日の民間レベルの交流は活発になった。新年にあたり、元毎日新聞編集委員、現上海華東師範大学講師の福永平和氏に中日関係への展望などを聞いた。

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――ここ数年、特に昨年は中日関係に深刻な状況が現れましたね。

 最近の内閣府の世論調査結果では、中国に「親しみを感じる」と答えた人は、わずか32.4%で、前年を5.2ポイント下回り、過去最低となっています。日中関係を「良好だと思う」人は、19.7%しかおらず、逆に「良好だと思わない人」は72.1%にもなっています。やはり、昨年の反日デモ、特に北京の大使館や上海の総領事館への投石が大きく影響したのでしょう。投石シーンは、繰り返しテレビで放送され、日本の人々の脳裏に刷り込まれていった結果だと思います。

 また、小泉首相の靖国神社参拝によって、首脳会談が開かれないという「政冷」状態が続いている点も、より「良好だと思わない」意識を広げているのでしょう。

――福永さんは、日本におられた時、毎日新聞記者だったそうですが、中日関係を改善させるため、今の日本のマスメディアに何を望みますか。

 テレビで繰り返し、投石シーンを放映したため、日本人の多くが「上海は危ない」と思ったようです。また、テレビでは「不安におののく在留日本人」という表現もありました。そのため、日本の友人・知人から「大丈夫ですか」という10通近いメールを受けました。日本に帰国した時も、会う人のほとんどが、そうした反応だったのです。もちろん、「不安な状況はまったくない」と否定しましたが、一部のメディア、特に雑誌の一部は執拗に「反日」を取り上げ続けました。もし、在留日本人が不安におののいていたなら、駐在員は別としても、帰国する家族が出たはずです。原稿を書いた記者も、そんな事実はないことを知りながら、筆をすべらせたのでしょうが、テレビニュースなどを見て、同じマスメディアにいた者として、悲しい感じがしました。上海の街に溢れる「日本」、それを受け入れている中国の姿をもっと報道してほしいと思っています。

 ――大学で教鞭を執っている教師の立場で、中日の若者の交流のポイントについて教えてください。

 日本と中国は、相互に最大の貿易相手国となっているのです。もはや、運命共同体と言っても良いでしょう。その現実からすれば、お互いを知ることは、今後より一層重要になってきます。まず、お互いに知り合い、そこで良い点も悪い点も含め相手国の事情をもっと知ること、そしてできれば相手国を訪問し、直接自分の目で見ることです。私もその一助になればと思い、教えています。

――新年の中日関係への展望は?

 残念ながら、政治の面では好転は望めないでしょう。「政冷」の元になっている首相の靖国神社参拝は、次期首相の有力候補とされている人たちも、止めるとは言わないのですから。むしろ、より悪くなる可能性もあります。しかし、経済関係も、民間の人的交流もより深まるでしょう。日中関係を決めるのは、一部の政治家ではないのです。

 (聞き手:章坤良 写真も)

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            上海の目抜き通りを散策する福永氏(左)

福永平和氏略歴

 1968年〜2000年、毎日新聞記者。東京社会部デスク、サンデー毎日編集長などを経て編集局編集委員。「21世紀に架ける」「隠されたエイズ」などの著書・共著書、「日本軍占領下のシンガポール」「残夜行」などの共訳書

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 

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