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蘇州医療用品場:小さい針にも大きい市場がある

2019-5-8

By:王笑陽

 1971年、ニューヨークタイムズのコラムニスト·ジェームズレストン(James Reston)は、中国を訪れた時に受けた急性虫垂炎の手術で、術後の鼓腸の際に鍼灸治療を受け症状が緩和したという体験を記事で発表した。

 ジェームズは記事の中でこのように描写している。「…(医者は)私の右肘の外側と膝の下に細長い鍼を3本挿入して動かした。腸を刺激し、鼓腸と胃への圧力を和らげるためだったという。間欠的に手と足に痛みが感じたが、その痛みは少なくとも、私の注意を胃の苦痛から逸らす効果があった。それと同時に、医者は燃え尽きそうなタバコに似たもぐさと呼ばれるものを2つ持ってきて、私の腹の近くに置いて燃やし始めた。そして時々鍼を動かして……。1時間も経たなかったが、腹部の膨満感と胃の苦痛が著しく緩和された。その後再発したこともなかった」。

ジェームズレストンの記事『今、北京で受けた虫垂炎手術の体験を教えよう』

 この記事がきっかけとなり、中国の伝統的な医療法の鍼灸はアメリカで注目されるようになった。

 実際には鍼灸は宣教師によって1600年代に早くもフランスに紹介され、その後のヨーロッパの医学に影響も与えた。フランス、オーストリアなどの国では、鍼灸治療関連の医療·研究機関も設立されている。

2017年、習近平国家主席はWHO(世界保健機関)に青銅の鍼灸像を贈った

 現在WHOでは、鍼灸という治療法が、片頭痛、関節炎、頸部症候群、脳卒中後の麻痺など64種の病状に対して治療効果があると認めている。103の参加国が鍼灸治療の実施を許可し、中でもアメリカを含む18カ国は、鍼灸治療を医療保険の適応内にしている。

 鍼灸の発祥地である中国は、現在、鍼灸針の主要生産国でもあり、世界の鍼灸針需要量の50%を生産·提供している。

 そして蘇州医療用品場有限公司はその世界最大のメーカーだ。当社の「華陀」ブランドの鍼灸針は100カ国以上で販売されており、特にアメリカ、ドイツ、フランス、イタリアで人気がある。

蘇州医療用品場有限公司の曹煬理事長

 中国のほか、日本、韓国、ドイツ、ベトナムなどの国でも鍼灸針を生産している。特に日本と韓国は、世界市場シェアがそれぞれ10%と35%を占める。このような激しい競争の中で、蘇州医療用品場有限公司をはじめとする中国の鍼灸針生産会社は、どうやって優位性を保とうとしているのか?