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中国外交の新たな征途を開くー王毅外交部長のシンポジウム「新しい起点・理念・実践‐中国と世界2013」における講演
2013年 12月 23日10:16 / 提供:中華人民共和国駐日本国大使館

 李肇星会長 外交使節、友人の皆さん、こんにちは。

 今回のシンポジウムのテーマは新しい起点、新しい理念、新しい実践ですが、この三つの言葉は今年の中国外交の主要な特色を的確に、生き生きと説明しています。中国の外交をもっとよく進められるよう、皆さんと一緒に、1年間の中国外交の総点検をして、考えを交換し、経験を総括し、共通認識をまとめられることを期待しています。

 2013年は国際情勢の展開の非凡な年でした。各国が注目したシリア問題は戦争の瀬戸際から政治解決の道へ引き戻され、化学兵器の廃棄と政治移行案の協議という二つのプロセスが相互に促進しあいました。イランの核問題は10年の難しい交渉を経て、ついに最初の合意に達し、問題の平和的解決の第一歩を踏み出しました。朝鮮半島情勢は一度一触即発となった後、相対的緩和に転じ、各国は6カ国協議をどう再開するか、模索を急いでいます。先ごろ、世界貿易機関(WTO)で18年ぶりに貿易協定が誕生し、この世界的貿易体制に新たな活力を与えました。新たな科学技術革命、産業革命、エネルギー革命が世界経済の大きな調整の中で満を持しています。

 2013年は中国の発展の征途における非凡な年でもありました。習近平同志を総書記とする党中央が13億中国人民を引っ張って万民が一丸となり、意気軒昂として、「二つの百年」〈注1〉の奮闘目標をめざす歴史的征途を始めました。中国共産党第18期中央委員会第3回総会(18期3中総)は改革の全面的深化のラッパを吹き鳴らしました。中国経済は厳しい試練に耐えて、安定の中での好転、安定の中での前進によって、健全な発展を維持し、明るい見通しを示し、日増しに世界経済の回復を牽引する重要なエンジンになっています。

 2013年はさらに、中国外交の歩みにおける非凡な年でした。新中国の外交の伝統と大方針を受け継いだうえで、習近平同志を総書記とする党中央は主動的に企画し、積極的に進取をはかり、勇敢に引き受け、開拓革新によって、中国外交の好スタートを実現しました。中国の国際的地位は一段と向上し、中国の戦略的影響力は一段と強まりました。新しい情勢下の中国外交は、より広い視野、より進取に富む姿勢で、全世界的に展開されています。

 この1年、中国外交はたえず新しい理念を打ち出しました。民族の復興という中国の夢のために尽力することを提起して、新しい情勢下で中国外交が追求する根本的なものを明確にしました。平和的発展の理論を豊富にして、平和的発展の道を歩む決意、道筋と原則をはっきり説明しました。中米の新しいタイプの大国関係を築いて、中米の協力?ウィンウィンという積極的信号を発しました。親、誠、恵、容の理念〈注2〉を実践して、周辺外交の基本方針を充実させました。正しい義利観〈注3〉を打ち立てて、中国外交の親和力と感化力を高めました。

 この1年、中国外交は相次いで新しい提唱をしました。シルクロード経済帯の建設、21世紀の海のシルクロード、中国ASEAN自由貿易圏アップグレード版の構築、アジアインフラ投資銀行の設立、バングラ?中国?インド?ミャンマー経済回廊、中国パキスタン経済回廊など一連の大きな協力を提唱しました。関係各国の共通利益にかない、時代の潮流に沿ったこれらの提唱は、地域協力の方向をリードし、地域と世界で強い反響を呼びました。

 この1年、中国外交は全力をあげて新しい局面を切り開きました。全国「両会」〈全国人民代表大会と政治協商会議の全国大会〉後のわずか8カ月余りで、習近平主席、李克強総理がアジア、アフリカ、欧州、米州4大陸の22カ国を訪問するほか、訪中した64人の外国元首?政府首脳を接遇し、300人余りの外国政府要人と会見、交流しました。またわが国と各国が800近い協力の合意に達しました。これらのことは中国と世界各国の関係発展を力強く促進しました。

 2013年を回顧すると、中国の外交は誠意を示し、汗水を流して、友誼と果実を獲得しました。1年間の活動を総点検すれば、六つの際立った成果がある、と私は考えます。

 第一、中ロの全面的な戦略的協力パートナーシップが新たな段階に引き上げられました。今年3月、国家主席に就任した習近平総書記は、初めての外遊の最初の訪問先にロシアを選びました。中ロの元首は大変重みのある共同声明に調印しました。そして相手の発展?復興を揺るぎなく支持し、相手が発展の道と社会?政治制度を自主的に選択する権利を揺るぎなく支持し、相手が主権、領土保全、安全保障などの中核的利益を守るのを揺るぎなく支持することを明確に約束して、大国間の相互信頼と協力の手本を示しました。双方は「世紀の契約」と呼ばれる一群の協力取り決めに調印し、中ロ関係の戦略性と特殊性をはっきりと示しました。3月からこれまで、中ロの元首はすでに5回会っており、両国の経済、エネルギー、人文、地方、軍事などの分野の協力は新たな水準に引き上げられ、国際的な戦略的協調と協力は新たな高さに引き上げられました。中ロ関係は中国の対外関係においてレベルが最も高く、内容が最も豊富な戦略的パートナーシップであると言えます。

 第二、中国と米国が共同で新しいタイプの大国関係を築く新たな時期に入りました。歴史上、大国とりわけ新興の大国と既存の大国が競争から敵対に向かいさらには衝突することは、避けがたい宿命になっているようです。しかし21世紀の今日、急速に進むグローバル化を背景に、中国はこの宿命を信じずまた認めません。私たちには、米国との共同の努力を通じて、このいわゆる「法則」を打破する自信が完全にあります。今年6月、習近平主席は招きを受けて、オバマ大統領と米カリフォルニア州サニーランドで会談を行い、新しいタイプの大国関係構築について重要な共通認識を得ました。習主席は、第一に衝突せず敵対せず、第二に相互に尊重し、第三に協力?ウィンウィンをはかるという三つの言葉で中米の新しいタイプの大国関係の中身をまとめました。衝突せず敵対しないことは必要な前提です。つまり中米関係のマイナス予測を変えて、中米関係の将来に対する強い自信を築くのです。相互尊重は基本原則です。そうしてはじめて、中米は求同存異〈小異を残して大同につく〉により、さらに聚同化異〈小異を解消して大同のために結集する〉によって、調和?共存を実現できるのです。協力?ウィンウィンは必ず通らなければならない道です。終始協力を堅持し、たえず協力を強めてはじめて、中国と米国はウィンウィンを実現できるのです。このウィンウィンは中米両者のウィンウィンであるだけでなく、世界各国のウィンウィンでもあります。この1年、習主席とオバマ大統領が2回会談し、バイデン副大統領が訪中し、両国の第5回戦略?経済対話、第4回人文交流ハイレベル協議が成功裏に開かれ、中米二国間投資協定交渉が実質的段階に入るなど、中米の新しいタイプの大国関係の中身はたえず充実しつつあります。

 第三、中国の周辺外交の新局面が開かれました。周辺は身を落ち着け心を寄せる所で、中国の発展?繁栄の基です。新しい政権は周辺外交を外交全体の中で一層重要な位置にすえています。習近平主席、李克強総理は就任後初めての外遊の最初の訪問国に周辺国を選んでおり、中国は周辺の21カ国と国家元首、政府首脳クラスの交流を繰り広げ、ハイレベル交流の全面カバーがほぼ実現しています。この1年、中国は周辺を潤す、互恵?ウィンウィンの協力理念を積極的に実践し、一連の重大な協力を提唱して、周辺諸国との実務協力を大いに強化しました。中国は他人の身になって考え、誠意をもって接する付き合いの道を堅持し、周辺諸国との政治的相互信頼を深めました。中国は開放包容、求同存異の地域精神を大いに提唱し、10+1、10+3、東アジアサミット、上海協力機構(SCO)などさまざまな地域協力メカニズムによる相互補完、相互促進を推進して、地域の平和を守り、地域の発展を促すために重要な貢献をしました。今年10月、中国は建国後初めての周辺外交活動座談会を開催し、今後5‐10年の周辺外交の戦略目標、基本方針と全体配置を決め、周辺外交の一層明るい展望を開きました。

 第四、中国と広範な発展途上国の連携?協力が新たな段階に進みました。発展途上国は中国外交の基礎となるものです。今年、習近平主席はタンザニアなどアフリカ3カ国を訪問し、10人余りのアフリカ諸国の指導者と会見し、アフリカを支援する一連の新しい措置を発表し、40余りの協力文書に調印しました。これにはアフリカの国民経済に役立つ一群の大型プロジェクトも含まれています。アフリカ諸国の指導者は中国がアフリカで「新植民地主義」を進めているというでたらめな論調に強力に反ばくし、中国のアフリカ政策を称賛しました。習近平主席はメキシコなどラテンアメリカ3カ国を訪問し、24の協力文書に調印し、またカリブ地域8カ国の指導者とそれぞれ二国間会談を行い、カリブ諸国の経済?社会発展を支援する一連の新しい措置を発表して、各国に歓迎されました。中国の総合国力は確かに大きく強まりましたが、中国は依然として発展途上国です。中国にとって、発展途上国という位置づけを貫くことは、まず客観的事実に合致しています。同時にどんなに発展しても、中国は途上国のために物を言い、仕事をし、途上国の正当な権利と共通利益を揺るぎなく守るのだとつねに自分の注意を喚起するためでもあります。

 第五、中国の責任ある大国の役割が新たに体現されました。国連安保理常任理事国として、中国はいつも自らが担っている国際的責任と義務を意識しており、この1年、大きな国際?地域問題の解決に積極的に参加しました。シリア情勢の戦争か平和かの重大な瀬戸際でも、イランの核問題交渉の前進か後退かの大事なときにも、中国は国際関係の基本的準則〈規範〉を揺るぎなく守り、公平?正義を守り、戦争と強権に反対し、シリア問題が再び政治解決の軌道に戻るため、また6カ国とイランが合意に達するために前向きの役割を果たしました。中国はアジアの安全と安定の担い手です。私たちは各国と共に努力して、朝鮮半島の緊張を緩和し、6カ国協議の再開を積極的に推進し、アフガニスタンの和平?復興のプロセスを支援し、地域の平和と安定の維持に極めて重要な役割を果たしました。中国は世界の発展への寄与者です。私たちはポスト2015年開発アジェンダの策定に積極的に参加し、気候変動対応など地球規模の問題のために中国の案を提出し、中国の力を捧げました。

 第六、中国の国益擁護面の努力で新たな成果が得られました。習近平主席は、中国は確固不動の姿勢で平和的発展の道を歩むが、決して中国の国益を犠牲にすることを代価にはしないと強調しています。この1年、私たちは中央の政策決定と部署配置を確固として貫き、わが国の領土主権と海洋権益を侵害する一部の国の不法行為を強力に抑えました。同時に、私たちは歴史的事実と国際法の十分な尊重を踏まえ、対話と交渉を通じて適切な解決方法を見いだすよう主張しています。中国はASEAN諸国と「南中国海各国行動宣言」実施の枠組み下で、「南中国海行動規範」協議をスタートさせ、またブルネイ、ベトナムと共同開発や海上協力について意見の一致を見て、南海の平和と安定を守りました。

 外交使節、友人の皆さん

 2013年、中国外交の滑り出しでは注目点〈ハイライト〉が相次ぎました。2014年は全面開拓の年であり、精彩に富むことが期待できます。私たちは以下の五つの大きな方向を重点にたゆまぬ努力を払っていきます。

 私たちはよい方向への相互作用〈インタラクション〉によって健全な発展をとげる大国関係の枠組みを一段と構築します。各大国とのハイレベル往来に力を入れ、戦略的相互信頼を深め、利益の融合を密にし〈利益の接点を広げ〉、相互関係の持続的で安定した健全な発展を促進します。中米の新しいタイプの大国関係づくりを掘り下げて進め、もっと多い協力の成果によって中米の新しいタイプの大国関係の中身をたえず充実させていきます。中ロの各分野の実務協力を拡大し、国際的な戦略的協力を強化し、中ロ関係が終始高いレベルに保たれるようにします。「中国EU協力2020戦略アジェンダ」を実行に移し、中国EUの発展戦略の奥深い結合を強めます。発展途上の大国との関係のレベルを引き上げ、重要な国際?地域問題における協調?協力を強化します。

 私たちは安定し、友好的で、繁栄した周辺のための戦略の拠点を一段と構築します。周辺外交活動座談会の精神を深く貫き、周辺諸国との善隣友好を固め、互恵協力を強め、緊密な運命共同体を築き上げます。朝鮮半島非核化の目標を堅持し、6カ国協議の再開を目指します。確固不動の姿勢で国家の主権と尊厳を守り、周辺の隣国との間に存在する領土と海洋権益の紛争を対話と交渉を通じて解決します。アフガニスタン問題イスタンブールプロセス第4回外相会合を成功させ、アフガンの政治和解と経済復興を促進します。

 私たちは広範な発展途上国との伝統的友誼を一段と深めます。正しい義利観を提起することは、すでに中国外交の1本の旗になっています。私たちは中国アフリカの各分野の実務協力を拡大し、アフリカ援助のための措置を実行に移し、中国アフリカの経済?貿易分野の協力の新たな突破がはかられるようにします。中国アラブ協力フォーラム第6回閣僚級会議を立派に開催し、中国アラブ協力の新しい措置を発表します。中国ラテンアメリカ協力フォーラムの設立を推進し、中国ラテンアメリカの全体的協力を発展させるための新たな原動力を与えます。私たちはまた、正しい義利観の精神にのっとり、国際的に公正を守り、正義を伸ばし、平等を実践し、とりわけ発展途上国のために公正なことを言い、その幸福と利益をはかるようにします。

 私たちは経済外交を一段と強化し、国内の改革全面深化にしっかり役立てるようにします。シルクロード経済帯、21世紀の海のシルクロードという「一帯一路」の建設を大々的に推進し、「アーリーハーベスト」をめざします。多国間、二国間自由貿易圏戦略の推進を加速し、関係諸国と共に努力して、中韓、中豪自由貿易圏交渉を早期に完了し、中国ASEAN自由貿易圏アップデート版および地域包括的経済連携(RCEP)交渉で実質的進展が見られるようにし、中日韓自由貿易圏交渉を引き続き進めます。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などさまざまの地域および地域を越えた自由貿易アジェンダにオープンな気持ちで臨み、各国がすべてをまとめて受け入れ、手を携えて共に進めるようにします。私たちはさらに、世界の経済ガバナンス体制の改革に積極的に参加し、中国のルール制定権と発言権をたえず高めていきます。

 私たちはホーム〈グラウンド〉外交を一段としっかり進めます。来年わが国で開催されるアジア信頼醸成措置会議(CICA)サミットとAPEC首脳会議を舞台に、安全保障協力の強化と経済発展の促進という二つの大きな問題にしっかり取り組みます。国内で開かれるフォーラム、博覧会などの舞台を借りて、世界に恩恵の及ぶ中国の夢、平和的発展の堅持のほか、正しい義利観などの思想?理念の開放性、包容性について生き生きと説明し、わが国のソフトパワーを育て、高めていきます。シリア、イラン核など国際的地域的ホットポイントの適切な解決のためにもっと多く中国の声を発し、中国の提案を出し、中国の役割を果たせるようにします。

 外交使節、友人の皆さん

 中国共産党の18期3中総は中国の改革?発展の歴史の新しい段階を開きました。習近平同志を総書記とする党中央の指導の下に、鋭意改革を進める中国は引き続き互恵?ウィンウィンの開放戦略をとり、外部世界と一層緊密な利益共同体を結成するでしょう。鋭意改革を進める中国は引き続き世界の成長を牽引する重要なエンジンになり、世界の発展と繁栄により強い原動力を与えるでしょう。鋭意改革を進める中国は引き続き責任ある大国の役割を果たし、世界の平和と安定に一層大きな貢献をするでしょう。

 最後に、シンポジウムの成功を祈ります。

 ご静聴ありがとうございました。

 注1中国共産党創立100年までに小康社会〈わりあいゆとりのある社会〉を完成させ、新中国成立100年までに近代化をほぼ実現すること。つまり2020年までに小康社会を全面的に完成させ、今世紀中葉までに富強、民主、文明、調和に基づく近代的社会主義国を完成させる。

 注2「親」とは親仁善隣〈仁義を大切にして周囲の国や人と仲良くする意〉により、山河が連なり文化が相通じる伝統的友誼を伝承すること。「誠」とは、「誠を信の本と為し」、信義を重んじ、言ったことは必ず実行すること。「恵」とは、中国の発展を周辺に及ぼし、互恵?ウィンウィンを実現すること。「容」とは、「海納百川」〈大海は百川を受け入れる。包容力の大きいたとえ〉により、和して同ぜず、多様なものが共生する包容的開放的な発展を実現すること。(程永華大使の岡山県各界主催歓迎レセプションでの講演から)

 注3「義」と「利」の関係を正しく処理することは中国の優れた伝統文化の一つの精髄であり、個人の処世を導く重要な原則であるだけでなく、国による国際関係の処理を導く重要な原則でもある。習近平総書記は中華の文化と新中国の外交の優れた伝統を受け継ぎ、中国と発展途上国および周辺諸国の関係が新たな情勢を迎え、新たな任務を抱えていることを受けて、これらの国との関係を発展させる際、正しい義利観を打ち立てて、政治面では正義を貫き、公正を守り、道義を優先させ、経済面では互恵?ウィンウィン、共同の発展を堅持するよう強調した。(楊潔チ(竹かんむり+褫のつくり)国務委員の「求是」論文「新情勢下の中国外交理論?実践の革新」より)

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