Home > ニュース > 中国  > 新華視点:第18回党大会報告における改革の新しい方向性
新華視点:第18回党大会報告における改革の新しい方向性
2012年 11月 13日15:06 / 提供:新華綱日本語

 【新華社北京11月13日】第18回党大会報告は、「改革と革新の精神を政治の各プロセスに徹底して具現化する必要がある」と提起し、これを重点分野と重要プロセスの改革方針としている。改革と革新を強調した報告書の文字と行間から、改革の新しい方向性が伝わってくる。

 行政体制改革:指導管理職を減らし、行政コストを削減

 「人口わずか73,188人の県が正県長1人、副県長16人の大きな指導管理陣になっている。」このインターネットへの投稿文に各界が注目したが、調査を経て、同県人民政府実際の管理職の数は県長1人、副県長9人で、政策で定める範囲の配置数だったことが確認された。しかし、これに関する論議は止まらない。

 第18回党大会報告はまた、「行政体制改革をより一層推進する」ときに、各機関の組織編成を厳正に控え、管理職を減らし、行政コストを削減するように明確に求めている。第18回党大会の代表を務める広東省佛山市順徳区委員会の梁維東書記は、管理職の数を減らすことで、行政コストの削減だけでなく、行政の効率を向上化できるうえに、政府が行政サービス型へとスムーズな転換を図るために現実的に必要となるとの見方を示している。「経験からみると、数を減らした後に『復活』することがよくあるので、検査と監督を強化し、改革の効果を維持することが大切です。」と指摘した。

 戸籍制度改革:農村移転人口の都市戸籍への切り替えを秩序正しく推進

 国家人口計画生育委員会の統計によると、昨年の中国の流動人口は総計約2億3千万人に上った。この数は世界で人口5番目の国に相当し、2億4千万人を抱えるインドネシアに次ぐ規模となっている。流動人口の平均年齢は28歳で、「80年代生まれ」の新世代の農民労働者が就労年齢流動人口の約半数を占めている。農村出身者による都市戸籍の取得は、中国の都市化と現代化の未来に係わるだけでなく、公平と正義を実現し、社会の安定を維持するためにも必要である。

 「出稼ぎ労働者の都市部への流入を解決するカギは、教育、就業、医療などに関する権利を均等化することだ。これらはすべて戸籍制度と深く関係している。」第18回党代会の代表で農民労働者の洪剛さんは「幅広い農民労働者特に、新世代農民労働者は、第18回党大会報告が提出した要求から希望を見ることができた。」と語った。

 農村土地制度改革:農地転用、土地開発による農民への利益配分比率を引き上げ

 第18回党大会報告では、土地徴用制度を改革し、農地転用、土地開発による農民への利益配分比率を引き上げる方針を打ち出した。

 近年は、工業化と都市化を推進に伴い、土地の徴用による農民への利益侵害が発端となった社会問題が多発している。「土地は農民の生活基盤であり、貴重な収入源である。報告で提起された政策によって、土地を徴用される農民の利益がより効果的に保護され、無秩序な農地転用を防ぐことができる。」第18回党大会代表を務め、浙江省安吉県の農村で暮らす宋昌美さんは、「多くの農民がこの政策を心待ちにしていた。具体案が早急に発表されて農民の権利が守られることを願う。」と話した。

 民生分野の改革:公共サービスを「より多く、より公平に」

 第18回党大会報告では、「公平」という言葉が頻繁に使用されている。特に、民生の改善という章節における頻度が最も高い。例えば、教育の公平性を促進するとか、初回配分と再配分でいずれも効率と公平性に配慮し、再配分ではさらに公平性を重視するとか、公平性を高め、流動性に対応し、持続可能性を保証することに重点を置き、都市部と農村部住民をカバーする社会保障システムを全面的に構築するなどである。

 2009年から上海市松江の郷鎮級政府が農村集団資産改革を推進し、鎮級農民集団経済連合社を組織した。これにより、連合社の構成員である地元農民に、集団資産を経営、管理する権利及び利益配当を受ける権利が与えられ、集団資産が透明化された。農民を「株主」に変えるこの改革政策は、土地を失った農民が長期的に利益を受けることを保証している。このうち、ある鎮の連合社は過去2年だけで、約6,000万元の利益を農民に配当している。

 「民生建設では公平性をより重視し、政治指導の理念の転換だけでなく、制度の保障が求められる。」第18回党大会代表を務める上海市松江区委員会の盛亜飛書記は、「報告で提示された民生政策によって、すべての人民がより多くより公平に恩恵を受けることができる。」と話した。

 生態分野の改革:資源利用の有料化制度と生態補償制度を確立

 生態環境の悪化と資源制約に社会各界が高い関心を示している。第18回党大会報告は、生態文明建設に関する専門の章節を設け、特にエネルギー資源を消費する製品の価格及び税制改革を強化し、市場の需給バランスと資源不足の度合いを反映し、生態価値と次世代への補償を体現した資源有償使用制度及び生態補償制度を確立するとしている。

 「価格は効果的な調節の手段だ。廉価、ひいては無料で使用される生態資源が汚染され続けるという悪影響に対して汚染者が責任を負うというやり方に変えていかなければ、生態環境が悪化する事態を改善できない。」と第18回党大会代表を務める中石油副総裁兼長慶油田分公司の冉新権総経理は指摘した。

 幹部人事制度改革:クリーンで公平な制度を確立

 第18回党大会報告では、競争式の幹部選抜方式を改善し、人選、任用の公信度を向上させ、正直者が損をしないように、投機的で上手に取り入る人に利益を得させない制度を確立することを掲げている。

 幹部には事業のリーダーとしての資質が問われる。「正直者が馬鹿をみないように、投機的で上手に取り入る人が利益を得られない制度を確立してこそ、廉潔な政治の気風を作り上げることがでる。これは、清廉潔白な党員幹部チームにとって重要な基準であり、第一の条件である。」第18回党大会代表の上海浦東新区区委員会徐麟書記は、「人選と任用の公信度を高めることが要で、民主的で誰もが参加できる競争によって、優秀な人材を選ぶという目標を達成できる。」と語った。

 前出の洪漢英さんは、これらの2つの「禁止事項」を着実に実行することによって、各方面に多くの優秀な幹部が登場し、それぞれが適材適所で才能を発揮できるという認識を示した。

関連記事