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旧日本軍による中国侵略の公文書発掘 多くの研究者がうつ病に
2014年 4月 30日13:28 / 提供:人民網日本語版

 「旧日本軍の中国侵略に関する公文書の中で最も残虐な部分を研究?整理するなか、我々の多くの専門学者はうつ病を患い、その病状から抜けられずにいる」。吉林省公文書館の尹懐館長は、このように語り、吉林省公文書館がこのほど発掘・整理した旧日本軍の中国侵略に関する公文書には中華民族の最も痛ましく、最も苦難の歴史が記録されているほか、旧日本軍の暴行が再度明るみに出されたことを説明した。中国新聞網が伝えた。

 吉林省の長春市はかつての偽「満州国」の首都?新京であり、関東軍憲兵隊司令部の所在地だった。ここに大量の旧日本軍の中国侵略に関する公文書が残されている。

 吉林省公文書館には現在、約10万点を超える旧日本軍の中国侵略に関する公文書が収蔵されており、そのうち90%が日本語で書かれている。主に関東軍憲兵隊司令部の公文書、旧満州中央銀行の公文書、レコード資料、旧満州国、新京における重要建築物の設計図、横浜正金銀行北京支店および旧満州国各機関が作成した公文書などだ。

 1948年から吉林省公文書館に勤務し、歴史公文書処の処長を務めた趙素娟さん(81歳)は、旧日本軍中国侵略公文書の接収?整理の全過程を経験した。

 趙素娟さんは1953年11月に、人民解放軍某部駐長春部隊が地下の電線を修理し、配管敷設場所を探していた際に、偽満州国日本関東憲兵隊司令部跡地の地下に大量の公文書が埋められているのを偶然発見した出来事を振り返った。

 「当時、これらの公文書はトラック一杯に積まれていた。長く土の中に埋もれていたため、出土した公文書の大部分は付着し、一部は腐乱して固まりのようになっていた」と趙素娟さん。旧日本軍の戦犯、弘田利光の1954年の供述によると、1954年8月中旬に憲兵隊長・平林茂樹の命を受け、新京憲兵隊本部および憲兵隊司令部の公文書を本部の焼却炉で焼却処分し、処分が間に合わなかった文書を本部裏の地下に埋めたという。趙素娟さんは、発掘された公文書はこれらの焼却処分が間に合わなかった公文書であり、旧日本軍の中国侵略の動かぬ証拠であると説明した。公文書は発見された後、公安部に引き渡され保管?整理されたが、1982年に吉林省公文書館に移され、体系的な整理事業が開始された。

 吉林省公文書館が所蔵する旧日本軍の中国侵略に関する公文書の数はあまりに膨大で、公文書の基本的な保存状態もかなり悪かった上、多くの文字が古い日本語だったため、翻訳作業は困難を極め、これら公文書を受け取った後の文書整理はなかなかはかどらなかった。吉林省公文書館が現在の人員と能力でこれらの公文書を翻訳するには少なくとも70年以上はかかるという。

 しかし、時間だけが唯一の問題だったわけではない。公文書の整理に携わる研究者たちは、毎日公文書に記載されている旧日本軍による焼殺、略奪、婦女暴行、児童虐殺の残虐行為と向き合い、当時同胞たちが体験した悲惨な境遇を直接目にすることで、目に見えない大きな心理的ストレスを受けた。

 吉林省公文書館の研究員陶敏氏は2013年から旧日本軍の「731部隊への『特別移送』人員」の公文書の研究を始めた。これらの公文書には関東憲兵隊などの軍警察機関が法廷の審判を通さずに、捉えた抗日戦線兵士などを731細菌部隊に「特別移送」して、生きたまま人体実験を行ったことなどが記載されている。

 「この1年間、最も強く感じたのはショック、憤怒、抑圧の感情だった。中国を侵略した旧日本軍731部隊が中国侵略時に行った細菌戦や人体実験などの人の道に外れた獣行は、史上最悪の域に達していたと言える」と語る陶敏氏は、現在は一定量の仕事をした後、必ず休憩を取って、気持ちを平常心に戻してから仕事を続けているという。

 このような過酷な状況下でも、吉林省公文書館は公文書の発掘・整理を停止することなく、引き続き、関東軍による731部隊への「特別移送」に関する公文書や「731部隊」が新京や農安で行った感染症予防活動を反映した公文書、強制労働の公文書史料を継続して発表している。

 2014年4月、吉林省公文書館は近年整理した最新の旧日本軍の中国侵略の動かぬ証拠を再び発表した。これには、南京大虐殺や「慰安婦」の強制連行、731部隊の「特別移送」、残酷な強制労働、旧日本軍の暴行、中国東北地区で実施された移民の侵略、東北での抗日連合軍の鎮圧、英国?米国捕虜の取調べおよび虐待といった内容が含まれる。

 吉林省公文書館の穆占副館長は、現時点で発表したこれらの公文書は旧日本軍の中国侵略の事実の氷山の一角に過ぎないことを示し、多くの公文書の内容は今後の継続的な作業の中で改めて日の目にさらされるだろうと説明した。

 全国哲学社会科学計画指導グループに認可された「吉林省公文書館所蔵の旧日本軍の中国侵略に関する公文書の整理?研究」は2014年に国家社会科学基金の特別委託重大プロジェクトに指定された。吉林省公文書館は吉林大学と共同で40数名からなる専門研究チームを設立し、旧日本軍の中国侵略に関する公文書の整理?研究を進める。

 吉林省公文書館の尹懐館長は、「旧日本軍が中国人に対して行った虐殺は人類の歴史上、最も血なまぐさく残酷なものだ。公文書の整理・研究に携わる者の歴史的な使命は後世の人々にこの苦難の歴史を伝え、記憶に残すことだ」として、「公文書の整理?研究に携わる者は今後も旧日本軍の中国侵略の罪証を深く発掘?研究し、研究者として歴史的な責任を担わなければならない」と語った。

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