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日本で批判される宮崎駿監督 反戦主義者が売国奴に!?
2013年 8月 9日13:33 / 提供:人民網日本語版

 日本が誇るアニメ映画の巨匠、宮崎駿監督の新作「風立ちぬ」が先月20日に日本で封切られ、本年度の公開作品中、最高のオープニング成績を記録した。また、その名声は国際映画祭にも轟き、28日に開幕するベネチア映画祭の最高賞「金獅子賞」を競うコンペティション部門に出品されることが決定した。しかし、これまで名声と興行成績の両方を手にしてきたアニメ巨匠、宮崎駿監督はこの映画によって、日本の「呪われた歴史」の魔法をかけられ、政治の渦に巻き込まれてしまったようだ。中国青年報が伝えた。

 ■災いは宮崎監督の口から生まれた

 アニメ映画「風立ちぬ」は9月に韓国で公開される予定だが、公開前から韓国メディアやネットで「戦争を美化している」とする宮崎監督への批判が出ていた。韓国メディアの強烈な批判に対し、宮崎監督は、「戦争の時代を一生懸命生きた人が断罪されてもいいのかと疑問を感じた」と作品への思いを語った。

 スタジオジブリは7月26日に韓国メディア向けの記者会見を行った。会見では、宮崎監督が新作「風立ちぬ」のプロモーションを行ったほか、「戦争を美化している」とする韓国メディアの批判に回答した。宮崎監督は、「東アジアはすべて仲が良くなければならないと思う、中国や韓国、日本は互いに戦ってはならないと思う」という考えを示し、慰安婦の存在については、「第2次世界大戦当時の日本政府は日本人をあまり大事にしていなかった。これはつまり当然他国の国民も大事にできなかった」と語った。また、「日本は早くに慰安婦の問題を解決するべきだった。日本は韓国と中国に謝罪するべきだ」として、「慰安婦問題は、それぞれの民族の誇りの問題なので、日本はきちんと謝罪してちゃんと賠償すべきだ」という考えを明らかにした。

 ■激しく批判する日本人 VS 絶賛する韓国人

 「読売新聞」の報道によると、記者会見の翌日、宮崎駿監督が取締役を務めるスタジオジブリの公式サイトに2000を超えるコメントが投稿された。このほとんどが宮崎駿監督の言論を批判する攻撃的なものだった。日本のメディアによると、宮崎駿監督の言論は「大きな災いをもたらす」もので、スタジオジブリがこの言論に加担したことは「非常に愚かなことだ」と批判した。

 一方、韓国メディアは「宮崎駿監督は敬服に値する発言を行った」という考えを示し、同アニメ映画を鑑賞した映画評論家やメディアはこぞって映画を絶賛した。韓国紙「朝鮮日報」は『風立ちぬ』には「宮崎駿監督本人と同様、見る者の心に静けさをもたらす力がある」と評論し、宮崎監督が慰安婦について発言したことを「日本の巨匠の信念を貫いた声明」と形容した。韓国のウェブサイト「mk新聞」も、「宮崎駿監督の大きな愛や世界平和を追求する考え方は敬服に値する」と賞賛した。

 宮崎監督は新作がさまざまな異なる反応を引き起こしていることを知っているが、これに対してあくまでも静観した態度をとっている。「社会制度や生活スタイルは共に大きく変化する時期を経てきた」として、朝日新聞に対して、「アニメが以前のようなファンタジーを作ることはもう不可能だが、我々は新しい方向に向かって歩くしかない」と語っている。

 しかし、これらの批判は映画の興行成績には何らマイナスの影響を与えていないようだ。米国の総合雑誌「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」は、「興行成績から見て、『風立ちぬ』が今年最も成功した日本映画であることは間違いない」と評している。

 ■平和憲法の改正に反対、「憲法改正などもってのほか」

 「風立ちぬ」の初日を前日に迎えた夜、宮崎監督はスタジオジブリが発行している小冊子「熱風」にある文章を発表した。これには、「大人のアニメ」を製作することを決意するまでの気持ちの変化や経緯が綴られている。それと同時に、日本の「憲法改正」の問題についてもかなりのボリュームを割いて意見が述べられている。

 宮崎監督はこの文章の中で、厳粛な政治の話題についても触れ、日本の政治家が平和憲法を改正しようとしていることについて反対の立場にあることを明確に表明しているだけでなく、「憲法を変えることについては、反対に決まっている」と明言している。このほか、「選挙をやれば得票率も投票率も低い、そういう政府がどさくさに紛れて、思いつきのような方法で憲法を変えようなんて、もってのほか」として、「考えの足りない人間が憲法なんかいじらないほうがいい」と書いている。宮崎監督は、歴史感覚や定見のない政府や政党のトップに対して、「国家の基礎を乱すべきではない」と痛烈な批判を述べている。

 ■作品の一貫したテーマとなってきた「反戦」

 小冊子「熱風」に掲載された文章で、宮崎監督は物心ついた時には敗戦がもたらした暗い影を感じ始め、愚かな戦争を起こした祖国を恥ずかしいと感じてきたことや、特に日本が中国大陸で行ったひどい暴行を知って、「馬鹿なことをやった国に生まれてしまったと思って、本当に日本が嫌いだった」ことを明らかにしている。

 宮崎駿監督の多くの作品には戦争の痕跡が見られる。多くの少年と同様に、宮崎監督は小さい頃からとりわけ武器が好きで興味を持っていた。宮崎アニメ作品にもいつも戦争シーンが登場する。

 「風立ちぬ」の主人公次郎のキャラクターには宮崎監督の多くの心血が注がれている。劇中の次郎は飛行機を純粋に愛する少年だが、戦争中という時代背景の中、戦闘機を設計することしかできなかった。宮崎監督は、「次郎を通じて、観客は戦争中に日本の国民がどのような重圧を受けたのかを感じることができる」として、「この国はこんなにも混乱していた」と語っている。

 アニメに反戦のテーマを盛り込むほかに、宮崎監督は生活面でも反戦を徹底している。1960年代、宮崎駿監督は戦争反対のデモに幾度も参加し、日本が新たに武装することについて抗議してきた。2003年、宮崎監督は「千と千尋の神隠し」で第75回アカデミー賞で長編アニメ?ション賞を獲得する。しかし、米国がイラク戦争を始めたことに抗議するため、宮崎監督はその際のアカデミー賞授賞式に参加することを拒否した。また、インタビューを受けたり、文章を発表する際には、かならず民族主義に対する批判を表明した。日本を批判し、戦争に反対する宮崎監督は恐らくいまだに戦争の暗い影から抜け出していないのだろう。

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