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SMAP北京コンサート、その中身は?
2011年 9月 16日16:57 / 提供:人民網日本語版

 ▽中国語バージョン3曲を披露、20回を超える衣装替え

 SMAPコンサートの内容に関しては、担当の斎藤ディレクターとスタッフ全員が機密保持合意書に署名、どんな些細な情報も外部に漏らすことは許されていない。現時点で明らかになっているのは、20数人のバックダンサーが、コンサートのオープニングからエンディングまでずっと5人の後ろで踊ることと、「夜空ノムコウ」「世界に一つだけの花」など持ち歌3曲を中国語バージョンで歌うことだ。3曲はいずれも最近発売された中国語版シングル曲で、中でも「世界で一つだけの花」は400万枚という驚異的な売り上げを見せた。今年5月に5人が温家宝首相と面会した時に歌ったのがこの歌だった。

 観客のボルテージを維持するため、コンサート全体は、隙なく、テンポよく流れるよう構成されている。5人は20回以上ステージ衣装を替えるが、衣装替えのスピードは一秒の狂いもないよう精確に計算されており、タイヤ交換スピードのF1戦略方程式を採用したという。

 ▽打ち合わせに次ぐ打ち合わせ

 コンサート運営を担当する中国対外演出公司(以下「中演公司」)は、20人から30人の専門スタッフをコンサート要員に指名、日本側スタッフは打ち合わせのために3、4回北京を訪れた。

 SMAP中国コンサートの中国側プロジェクト責任者を務める袁正氏にとって、コンサートの内容詳細が決まった5月末から、史上最大の緊張極まりない「戦争」が始まった。まず、SMAP5人の普段の芸能活動はバラバラで、番組・ドラマ出演やCM撮影の予定が各自埋まっているため、5人の予定をうまく調整して開催日を決定することは困難を極めた。調整を重ねた結果、ようやくコンサート開催日程は9月16日に決定した。中演公司マーケティング部は20-30人を、今回のSMAP中国コンサート専属要員として指名した。

 SMAPのデビュー20周年記念にあたる今年、SMAPは当初、東京で大型記念コンサートを行う予定だった。しかし、東日本大震災後の電力供給ひっ迫という事態に直面したため、東京で予定していたコンサートと中国コンサートを一緒にすることにした。これに伴い、公演の規模、舞台美術、曲目などの内容詳細が調整された。日本側スタッフは、北京に3、4回飛び、中国側スタッフと打ち合わせを行った。会場の選定だけでも一苦労だった。北京の鳥の巣、工人体育場、五薯?松体育館、首都体育館など各候補地を軒並み一通り見学し、最終的には、規模が大きく、交通の便が良い工人体育場に決まった。

 中国国内でのコンサートの宣伝もかなり骨が折れた。SMAPは、日本では「大物」で「控えめ」なことで知られており、この20年、チケットの売れ行きについて心配する必要は一切なかったため、日本側主催者は、今回の北京公演でも、わざわざ宣伝は不要との姿勢を取っていた。また、SMAPが所属するジャニーズ事務所は、所属芸能人のイベント参加、取材、イメージ写真、映像資料などに関し厳しく制限している。木村拓哉さんが8月に北京に来た時に記者会見を開いた以外は、中国国内メディアがSMAPコンサートのより詳細な情報を得ることは至極困難で、中国側の取材希望に対応することもほぼ皆無だった。

 SMAP北京コンサートでは、計3万枚のチケットが販売された。発売開始後1週間で50%が売れ、現在は90%以上が売れた。これは、中国国内のコンサート市場ではかなり優れた成績だ。しかし、袁正氏は「日本で彼らのコンサートチケットは、発売開始後1時間で完売、先を争うように買われる状況と比べると、決して売れ行き上々とは言えない」と指摘、中国の状況は日本とは異なり、もっと積極的に宣伝すれば、チケットの売れ行きもさらに良かったとの見方を示した。

 また、SMAPの中国訪問は今回が初めてで、中国国内の各種審査?検査手続について理解が乏しかった。双方のスタッフは数カ月にわたり打ち合わせを繰り返し、細部の細部にわたるまで、お互いの了解を得る必要があった。例えば、中国国内では、コンサートを行う場合、スポンサー企業や協力メディアのロゴマークをポスターや広告に載せることが一般的なやり方だ。今回のSMAP北京コンサートの場合、その数は約100社に上る。日本側が配慮し、ポスターには、メディア各社のロゴは載らなかったが、スポンサーのマークは掲載された。

 中日双方が最も神経を尖らせたことに、安全確保の問題がある。中国国内には、SMAPの熱狂的ファンが大勢いる。主催者は、5人の中国到着日や宿泊場所に関して徹底的に機密保持を貫こうとしていた。しかし、今月10日、SMAP掲示板に、「SMAPが14日に北京に着く」との情報が書き込まれ、さっそく「空港への出迎えファンチーム」が結成された。また、アイドルを一目見たいと熱狂する人々が、建国門にある某ホテルの外に詰め掛けた。さらに、16日のコンサートには、1200人の日本人ファンが北京にツアーを組んでやってくる。中国主催側は数十台の大型バスを用意して日本人ファンを出迎え、特別パーキングエリアを設け、多くの中日両国ファンが入り乱れて予想外のパニックを起こさないよう配慮した。

 ▽超巨大ステージを設営

 今回のコンサートのステージは長さ60メートル、幅40メートル。コンテナ約40個が運び込まれ、作業者280人による8日間に及ぶ施工作業が行われた。コンサート会場作業チームのスタッフは計500人を上回った。

 SMAP北京コンサートの中国側顧問・馬◆氏(◆は馬へんに華)は、コンサート企画・運営のベテランだ。2002年9月には、日中国交正常化祝賀の大型記念コンサートを担当・指揮した経験がある。それでもなお、SMAPコンサートの規模や状況に、馬氏は思わず動揺したという。馬氏は「今回の舞台は、極めて精密であり、機械化操作や複雑な制御システムが採用されたステージだ。業界の友人達はこぞって、ステージの組み立てを見学し、最後まで見届けたいと希望している」と述べた。

 斎藤ディレクターに押し寄せる重圧はかなりのものだ。一般的な状況では、国内のコンサートでは、50人から80人のスタッフで全ての事務が賄える。斎藤氏は今月6日、日本側スタッフ130人と大型コンテナ約40個を率いて中国にやってきた。日本のコンサートで使われるステージ、音響、照明の各設備は、全て分解?梱包して運んできた。北京で150人の現地作業スタッフを集め、翻訳スタッフ約20人も加え、全員で協力してステージを設営した。ほかのスタッフも加えると、コンサートに関わるスタッフ陣営は500人を上回った。

 斎藤氏はスタッフを指示し、日夜作業に励み、雨など天気の突発的変化に対応可能な臨時の天蓋形ひさしを取り付けた。工人体育場では最近、球技の試合が度々開催されたため、ステージ設置は予定通りのスピードでなかなか進まなかった。そのようなやむを得ない状況のなか、斎藤氏は、球技試合が夜に終わるのを待ち、徹夜を重ねて作業に取り組んだ。多くの作業員が積み重なる疲労に襲われ、作業場の床で睡眠を取った。

 ステージ設営には8日かかった。完成したステージは、長さ60メートル、幅40メートル、高さ20メートル。会場の広さに限りがあるため、ステージの大きさはこれで最大限という。もし日本の会場なら、より大きな舞台ができた。SMAPメンバーも、舞台美術についてさまざまな提案を出した。

 コンサートの内容については秘密厳守の立場を守っているが、斎藤氏は舞台効果に絶大な自信を持っている。「今回のコンサートの最大の特徴は、テンションを極限まで高められることだ。観客はステージの5人と共に、2時間ぶっ通しで興奮の渦に巻き込まれる。ショー全体の雰囲気は、マイケル・ジャクソンのコンサートと比べても、決して見劣りするものではない」