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「万能パスポート」への中国の長い道のり
2014年 1月 19日11:10 / 提供:人民網日本語版

 春節(旧正月)が近づき、中国の多くの家庭は旅行計画を立てている。海外旅行を考えている人も少なくないが、大きな問題はやはりビザだ。中国大陸部のパスポートは「使えない」との恨み言が常に聞かれる。香港や台湾のパスポートと比べると大きく劣り、ビザを免除してくれる国は貧困国ばかりで、先進国はほぼ1カ国もない。このためわれわれの海外渡航は極めて不便で、国民の自尊心が深く傷ついているのも確かだ。(環球時報社説)  

 先進国が中国のパスポートをビザ免除対象としないのは、中国社会の発展水準に対する真の評価の反映であり、普通の中国人に対する真の信頼と尊重の程度を示してもいる。われわれ自身にとっては、手中のパスポートは国を見る1つの物差だ。中国は近年急速に発展し、総合国力も高まっている。だがパスポートは輝かしいGDPと相反する鏡だ。  

 先進国が中国国民へのビザ免除を拒む最大の理由は、これまで中国からの不法移民の問題が繰り返され、今後も起き続ける可能性が高いからだ。彼らにとって中国人にビザ免除待遇を与えないのは、中国からの不法移民を防止する有効な手段だ。  

 急速な発展によって中国は多くの沿海地区が豊かになり、海外旅行のできる人々、海外旅行を望む人々が大量に出現した。先進国にとって中国人観光客の誘致は観光業を振興し、雇用を創出する重要な選択だ。この現実的ニーズは中国経済の成長に伴い急速に増大しているが、中国人不法移民の防止というもう1つのニーズとのせめぎ合いが常にあり、これがビザ免除をめぐる状況を決定する。

 先進国の懸念は現実的であり、われわれにとっては嬉しくないことだが、われわれの考え方や感情によって先進国の姿勢を変えることもできない。だが中国は完全に受動的なわけでは決してない。中国人観光客に対する西側観光業の依存度を引き続き拡大すると同時に、自らの発展によって比較的貧しい中国人の不法移民への願望を弱めることができる。こうしたカードはわれわれの手に握られている。  

 フランスは27日の中仏国交樹立50周年から、中国人に対する観光ビザ発給を48時間で処理する制度を始めると発表した。これは記念式典を盛り上げる措置であると同時に、中国人観光客の獲得に向けて一方先んじるものでもある。中国人観光客に便宜を図るこうした競争が西側諸国間で次第に展開されるのは必至だ。  

 関係国に対する外交部(外務省)の交渉と働きかけによって、ビザ免除のプロセスは加速するかもしれない。だがこの加速は技術レベルのものでしかなく、対外不法移民の減少と海外旅行の実力の強化こそが最も有効だ。  

 先進国にビザを免除させるのは容易ではないが、決して非現実的ではない。このプロセスはすでに進行中であり、成果が上がるのは遙か先とは限らない。中国の多くの事は突破口を開く前段階にある。外的障害が多いように見えるが、真のテコと推進力は歴史的にわれわれの側に移ったのであり、われわれは今日ついに中国の未来を創造する機会と能力を得たのだ。  

 次世代の「万能パスポート」はわれわれの世代の奮闘によって作り出すほかない。もし順調に進み、しかも運が良ければ、われわれにも間に合うかも知れない。

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