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今年の大学卒業者数、過去最高の700万人 深刻な就職難に直面
2013年 5月 22日16:56 / 提供:新華網日本語

 2013年5月20日、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、史上最高となる約700万人の大学卒業生が間もなく社会へ羽ばたく中国では、学生が2008年以降最大の就職難に直面していると報じた。就職できない大量の大卒生の出現が社会不安のきっかけになるのではないかと、各地方の行政上層部は憂慮しているという。

 中国ではかつて、一般市民が出世するための数少ない手段の1つが大学を卒業し、学士の資格を得ることだった。大学を卒業することは、満足できる仕事と安定した生活の獲得だけでなく、名声や家族の栄誉も意味した。しかし近年は、経済の発展などに伴って大学への進学者が急増し、競争が激化している。報道によると、今年の新卒者数は約700万人となり、史上最高を記録するという。

 一方で、今年の大卒予定者の就職状況は、2008年以降で最も厳しい年になると見込まれている。北京市では4月の段階で大卒予定者の就職内定率は28%にすぎない(注:中国では7月に学期末を迎える)。各地方自治体は、大量の未就職者の出現が社会不安定のきっかけになる可能性を憂慮し、就業機会の創出に力を入れている。ただし、現在の中国経済は成長率が減速中でもあり、思ったような成果を上げられないままでいる。

 一方、中国全体で見ると、就業機会が足りないどころか、人手不足で困っている地域さえある。珠江デルタや長江デルタでは工場労働者が集まらないため、人件費の高騰や待遇の改善が続いている。

 しかし、多くの親にとって、大学まで卒業させた子供を労働条件の芳しくない工場で就業させることは選択枝に入っていない。親の理想は依然として、都市部の役所や国有企業、外資企業への就職である。ただし、この種の“理想の職場”では新卒者に対する雇用ニーズが減少しつつある。それでも、地方の小都市や民間企業へ子供を就職させるよりは実家に残ってもらおうとする親が増加傾向にある。

 こうした状況は、現在の中国経済の不均衡を映し出している。中国政府は経済成長モデルを内需主導型や民間企業主導型に転換しようとしているが、その成果は依然として表れていない。

 しかし、やがて多くの親が「無職よりはスターバックスでアルバイトするほうがまし」という残酷な現実に向きあわなければならないことになるだろう。

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