Home > ニュース > 社会  > 大学入学準備費用、20年で約100倍 中国
大学入学準備費用、20年で約100倍 中国
2012年 8月 30日9:37 / 提供:人民網日本語版

 大学入学を控えた子供がいる家庭では、本人も保護者も入学準備に忙しい時期が訪れ、「入学準備消費」ブームが起こっている。授業料、寮費、交通費、生活用品費から電子製品購入費に至るまで、大学新入生の入学費用は一体どれほどかかるのだろうか?人民日報海外版が伝えた。

 ▽主な出費は携帯電話代とパソコン代  

 ある調査によると、中国の大学の学費は、年間5千元(約6万1500円)が相場で、新年度が始まる時に支払う必要がある。このほか、新入生の入学準備のための費用は、基本額として7千元(約8万6100円)前後、これに交通費や生活費などを加えると、最低1万5千元(約18万4500円)ほどかかる。大学新入生の必要経費がわずか数百元(数千円)だった1990年代初めに比べると、入学準備費用はこの20年あまりで約100倍に膨れ上がったことになる。  

 大学新入生の入学準備グッズのうち、出費の大きな割合を占めるのは、携帯電話やパソコンなどのデジタル製品だ。入学準備品はここ数年、絶えずグレードアップを続けており、デジタル製品についても、2年前は携帯電話、MP4、ノートパソコンの「三種の神器」だったのが、今年はデジカメとゲーム機を加えた「五種の神器」に進化している。さらに注目すべきは、高級電子製品が新入生に持てはやされている点だ。中関村地区にある多くのアップル製品販売店によると、店の売り上げは軒並み、7月に入り大幅に増加しているという。アップル製品は、大学新入生にとって最も人気のある入学準備グッズとなっている。

 ▽変わりつつある保護者の消費観  

 「入学準備消費」がこれほどまでに盛んになっている背景について、南京大学社会学院の胡小武 准教授は、「このような現象の背景には、さまざまな原因が隠されている。時代の移り変わりに伴い、子供の大学入学に伴う出費は避けられない。日常必需品の種類も拡大し続けている。大半の家庭は、子供が一人っ子であることから、子供に対する両親の関心と愛情が、入学消費の高まりをもたらす最も大きな要因となっている」との見方を示した。  

 保護者の朱秀華さんはこの問題について、「子供は12年間必死に勉強して、やっと大学に受かった。ご褒美として好きなものを買ってやりたい。子供が遠く離れた場所に行ってしまうとなると、親としては心配。身の回りの必要なものを一通り揃えてやれば、少しは安心できる」と話した。  

 各家庭の生活水準や購買力が高まったことも、入学準備消費ブームを後押しした。大学入学時の必需品の中身は、昔とは比べものにならない。新入生は入学時に、6-7千元(約7万3800-8万6100円)から多い場合は1万元(約12万3千円)使う。数種類の電子製品のほか、経済的に豊かな家庭では、子供に車まで買ってやる。北京師範大学の王英傑教授、「家庭の可処分所得が増加の一途をたどると同時に、市場経済が発達する状況で価値指向性が転換したことから、現在のような保護者の消費観が生まれるに至った」と指摘している。  

 また、各商店の販売合戦も、入学準備消費ブームの高まりと直接関係がある。胡准教授は「ネット上で盛んに売り出されている『入学大特価』であれ、実店舗の『新入生コーナー』売場であれ、いずれも消費を促すための商店の販売手法だ。商店のブランドマーケティング戦略は、保護者の購買意欲をかなり刺激している」と話した。

 ▽「新入生は節約入学を」と提案  

 胡准教授は「電子製品の中にはすぐに必要でないものもあり、入学時に全てのものをまとめて準備する必要はない。必需品を全て良いもので揃える必要もない」と指摘。そして、現在の消費ブームが生み出し得る良からぬ風潮をけん制する立場から、「社会は、新入生に対し、節約して入学し、身軽な装備でキャンパスの空気に馴染むよう促す必要がある。一方、大学も、適切な方法を講じ、学生の人格育成に力を注ぎ、学生に正しい学習態度を身につけさせ、困難を乗り越え質素なやり方を貫くよう指導すべきだ」と提案している。

関連記事