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「集落は民俗文化の宝庫」、10年間で90万カ所の減少に著名作家が警鐘
2012年 6月 11日14:45 / 提供:新華網日本語

 【新華社北京6月10日】2012年6月5日、中国の作家で国務院(政府)参事の馮驥才(フォン・ジーツァイ)氏は、民俗文化の宝庫ともいえる集落が10年間で90万カ所も減っている現状に警鐘を鳴らした。レコードチャイナが伝えた。 

 5日に山東省済南市で開催された「中国北方村落文化遺産の保護事業に関するフォーラム」(山東工芸美術学院主催)で発言した。馮氏は「古い集落は我が国にとって貴重な文化遺産。民間の伝統文化を今に伝える『博物館』であり、『生きた化石』でもある」とした上で、「近代化の波が押し寄せ、古い集落がものすごい速さで消え去っている」と警鐘を鳴らした。

 馮氏は民間文芸家協会の主席も務め、長年、中国の民俗文化の保護活動を行っている。フォーラムでは専門家約20人と中国北方地域に点在する集落の保護活動について、意見交換を行った。同氏は中国各地の集落に足を運び、その実態を世間に伝え、保護の必要性を訴えてきた。

 中国北方では主に山東省、河南省、河北省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区および東北の一部に古い集落が残っているものの、若者は都会に出稼ぎに出てしまい、お年寄りと子どもだけが残される現象が近年急増しているという。

 同氏が独自に行った調査によると、2000年には中国全土に360万カ所あった集落が、2010年には270万カ所にまで減少。10年間で90万カ所も消滅したことが分かった。「こうした集落の価値は非常に大きい。万里の長城にも匹敵する。このままでは、貴重な民俗文化を継承できなくなる」と同氏は危機感を募らせている。