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「大都市への憧れ」を捨てた中国の大学生
2012年 4月 18日9:42 / 提供:人民網日本語版

 「2011年中国人力資源(マンパワー)サービス業白書」がこのほど北京で発表された。白書によると、仕事を選ぶ際に、北京・上海・広州の大学生のうち、社会の基底部を選び、二線都市(省都や地方中核都市)に目を向ける学生が増え続けているという。特に、出生地や大学所在地で就業チャンスを得ようとする人が目立つ。既卒者ははさらに広い視野で仕事を探しており、就業地の選択もより現実味を帯び、もはや「大都市への憧れ」は彼らの中にはない模様だ。人民日報海外版が伝えた。

 中国の大卒者はここ数年、年間600万人から700万人に上っている。合理的なマンパワー配置という観点から見れば、卒業生がこぞって大都市に集まると、マンパワー資源の過剰がもたらされ、二線・三線都市(一般地方都市)や社会の基底部がハイレベル人材不足に陥ることは必至だ。そこで、二線・三線都市で働くことを選択する大学生がますます増えており、これにより地方経済の発展が促され、大学生の「就職難」問題が緩和されるという一挙両得が実現する。

 都市化プロセスにおいて、多くの大学卒業生が大都市で働こうとする傾向はごく自然で正常な現象だ。世界のどの国でもこのような傾向が見られ、海外にも「蟻族(大都市に群れて住む高学歴ワーキングプア集団)」現象が起こっている。また、中国社会では、大学生は「天の寵児」であるという伝統的な観念が広く行き渡っており、田舎出身の大学生の多くは、両親の大きな期待や一族のメンツを一身に背負っている。「蟻族」として大都市に住み続けるという選択を彼らに迫っているのは、とりもなおさず「北京にベッドがあれば、田舎の家など要らない」という考え方なのだ。

 大都会で夢を追い求めることは、永遠に若者を動かすエネルギーとなることは否めない。大卒者が、大都市ゆえに生じる生活?仕事など多くの圧力に黙って耐え、二線・三線都市に移り住むことを拒む原因は、産業構造上の非合理性にある。特に、都市化プロセスの初期段階で、大学生が卒業後、大都市に住み仕事をする選択をすることは、極めて自然だ。しかし、都市化が進むにつれ、二線?三線都市と大都市の間の生活?就業環境面での格差が縮小し、二線・三線都市での成功チャンスも増える一方だ。彼らがそこでより自分をグレードアップすることは十分可能であり、より大きな伸び代を得ることができる。

 多くの大卒者が、大都市で一定期間仕事に打ち込み、キャリアを蓄積し、実務能力を鍛えた後、二線・三線都市にさらなる成長の機会を求めて移動するケースが、最近ますます増えている。彼らが社会に貢献し、自身の価値を実現することが、新しい土地ではより簡単にできるのだ。このため、大都市のマンパワーが飽和状態に達し、生き残るための競争圧力が高まるにつれ、学生が卒業して大都市を離れ、二線・三線都市で職業生活を始めることは、彼らの理性的に判断した当然の結果と言えよう。

 各個人が持つそれぞれの才能を存分に発揮できることが、人材活用にとって理想的な形態だ。大卒者が二線・三線都市で仕事に就くことは、極めて優れた選択といえる。しかし、二線・三線都市や地方の基底部は、このような変化をきっかけに、人材育成や管理の長期的計画を万全に行い、より公平?公正な競争を可能とする環境を整え、より規範化された社会ムードを提唱し、大卒者により大きくより質の高い就業・創業が実現できるステージを仕立て、彼らをその地にしっかりと根付かせることは、関連部門が当面取り組むべき重要課題となっている。