Home > ニュース > 社会  > 上海、「男子校」設立をめぐり熱い論議
上海、「男子校」設立をめぐり熱い論議
2012年 4月 6日10:56 / 提供:人民網日本語版

 「男子たちよ、どうすれば君たちを救えるのか?」-----。学習、発達、就業など各方面における男子の「気概」不足から起こる「男子の危機(ボーイクライシス)」や「男の娘(おとこのこ)現象」が、一種の社会現象となっている。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

 上海関連部門が初の「男子校」設立に向けて準備を進めていることが、巷で多くの議論を引き起こした。「男女別に分けて弱者層を鍛える」方法について、その効果を疑問視する声や逆効果になるのではと懸念する声も上がっている。反対に、上海市の試みを肯定する見方もある。

 ▽「男子の危機」対策として「男子校」設立を目指す上海

 華東師範大学と上海市黄浦区人民政府はこのほど、教育戦略協力枠組み協議合意書を取り交わし、「上海市第八男子中学(日本では高等学校に相当)の運営に向けたフィージビリティスタディ・プロジェクト」の立ち上げを決定した。上海第八高校はすでに、男子校設立・運営にむけた申請方案を提出した。同校の盧起昇校長は、「男子校を設立することで、『ボーイクライシス』に対処し、『肉食女子・草食男子』『男子の女性化』などの問題を解決することを目指しています」と話した。

 では、「男子校」では一体、どのような方法で、眠ったままの男子の「気概」を目覚めさせるのだろうか? 盧校長は、「長所を伸ばし短所を補う」をモットーに、男子が自分たちの特性や潜在能力を存分に発揮できるような環境作りに取り組む。また、関連した改革に向けて新たなコンセプトを提出する」と今後の意向を示した。

 盧校長によると、「長所を伸ばし短所を補う」は、次の2つの面で具体的に実現させる方針という。(1)教育。大規模な調査研究をベースに男子校のカリキュラムを設定する。男子生徒のウィークポイントに着目し、教育の的確性と有効性を高める(2)人格の育成。男子校は、男子のロジカルな思考力や実行力での優勢と意志の強さ・計画性・困難に耐える力での劣勢に基づき、運営コンセプトを調整・最適化する。長所を伸ばすことで男子の自信をさらに強め、短所を補う事で、全面的成長を促す---。

 上海第八高校の設立申請が認可されると、上海黄浦区政府による支援と華東師範大学専門家チームのサポートのもとで、設立にむけた全プロセスの進展状況が「透明化」される。黄浦区教育局と華東師範大学はいずれも、上海での「男子校」設立を賛成・支持しており、男子校という教育環境が男子の成長・才能の伸長を後押し、「地域-大学」連携発展という革新構造が十分に展開されるとの見方を示している。

 ▽疑問の声も 「全員男子」で一人前の男子が育成可能か? 

 多くのネットユーザが、「男子校」の実践は、教育面で新たに試みる価値があると考えている。ユーザネーム「プチパンのパパ」さんは、「個人的には、試してみる価値は大いにあると思っています。男子校・女子校は海外では珍しくなく、その中には名門校も多いです」と書き込んだ。教員である王軍栄さんは、「教育には実践が必要であり、もちろん科学的ガイドラインに基づいた実践と探求が必要です。旧態依然の方法に固執していては、教育のステップアップはとうてい望めません」とコメントした。

 とはいえ、「男子校」ができさえすれば、「ボーイクライシス」問題が解決され、「一人前の男」を本当に育成することができるのだろうか?多くのネットユーザは、「100%イエスとは言えない」と感じている。「午夜戦神」さんは、「男子校に進学した男の子は、同性ばかりに囲まれて思春期を送ることになる。男子校設立の主旨とは全く逆に、「偽娘」や同性愛が増える可能性もあるのでは?極めて限定的な環境は、一種の束縛とも成り得る」と指摘した。

 盧校長は、このような意見に対し、「男子校への応募は、完全に個人的な意思にもとづくものです。また、その道の専門家が『ふと気が向いて』あるいは軽率な考えで設立計画を起こしたものでもありません」と強調した。「男子校」設立方案は、高校三年生の男子生徒およびその保護者に対して大規模なアンケート調査を行い、研究を重ねた上で完成されたもので、一定の社会需要と設計コンセプトに依拠したものという。アンケート調査では、数々の問題が浮かび上がってきた。たとえば、男女混成クラスによる教育では、多くの男子の情緒や需要が軽視されており、彼らの優位性が存分に発揮されていなかった。このため、「男子校」では、専門家が資源を科学的に構築して完成した総体的な男性化教育モデルを可能な限り使用する方針で、特に男子の人格形成やメンタルヘルスを重視している。

 盧校長はまた、「高等学校教育の段階では、男子生徒の家庭環境や社会環境、友人関係はいずれも比較的安定しているため、高校3年間の環境が変化したからといって、異性との交際面で著しいマイナス影響が発生するとは考えにくい。また、女子との付き合いが減る分は、家庭教育や校外での交流によって補うことが可能だ。さらに重要な点は、男子と女子の付き合いを優先させることで、それよりも大切な教育改革の探求を放棄する訳にはいかない」との見方を示した。

 「男子校」模索の第一段階として、上海第八高校はまず、全員男子の実験クラスを2クラス設立する。学生募集数は約60人。拳法、中国将棋、男声コーラスなど「男気溢れる」カリキュラムを導入し、競争性、責任感、粘り強さ、協力性など男子としての特性を育成する。その後、実践の効果と学生からのフィードバックによって、さらなる規模拡張を目指す。

関連記事