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トルファン博物館にミイラ陳列館がオープン
2011年 8月 23日17:39 / 提供:新華社
 トルファンで出土したミイラと関連遺物の展示がこのほど、新疆トルファン博物館で始まった。展示されたミイラは3000年前のものから、清代のものまで多岐にわたる。専門家によると、展示品にはトルファンのほぼすべての時代のミイラが含まれており、全部が自然に形成されたもので、中国の他の地域で出土したミイラやエジプトのミイラとは根本的に異なるという。

 トルファンは世界で最も多くのミイラが見つかっている地域で、発掘されたミイラの中で最も古いものは3200年あまり前のものだという。考古関係者はこの地域で、春秋戦国、漢、魏晋、南北朝、唐などの時代に埋葬された古代のミイラを発見している。

 記者は19日、開館と同時にミイラ陳列館に入った。あるガラスケースには、体を曲げた男性のミイラが低い木のベッドに寝かされており、体の中央部は白い布で覆われていた。「彼」は今から約2000年前に生活していたという。

 ミイラ館の丁蘭蘭館長は次のように説明した。このミイラはトルファン地区ピチャン県の海古墓地から出土した有名なシャーマンのミイラだ。2003年、考古関係者は海古墓地で緊急発掘を行い、この変わった衣服を着て、副葬品とともに埋葬されていた神秘的な男性のミイラを発見した。

 このミイラの年齢はだいたい40歳で、出土時に毛織の服とズボンを身につけていた。表情は穏やかで、貝殻で装飾した色つきの毛糸の帽子をかぶり、メノウとトルコ石で作られた首飾りをつけていた。左手には木の柄がついた青銅製の斧を握り、右手には銅片が埋め込まれた木の棒を握っており、原始的なシャーマンの様子を色濃く残していた。

 2006年、考古関係者はミイラの衣服を脱がせ、多くの貴重な歴史的情報を手に入れた。

このミイラの隣のガラスケースには、方形や円形の穴が開けられた3個の頭蓋骨が収められていた。

 考古関係者は次のように述べた。頭蓋骨への穿孔は、先史時代の巫術と医術が結び付いた可能性が高い。しかし、このような頭蓋骨は、この博物館だけに見られるものではない。

 世界各地の考古学者は、さまざまな遺跡で穿孔が施された頭蓋骨を大量に発見している。それらは主に強い頭痛、こん睡、神経痛、けいれんなどの症状を治療するために行われた。中国では、先秦時代の医学書の中に、これらの症状の記載がある。

 新疆考古研究所の呂恩国教授はかつて、頭蓋骨穿孔は先史時代の人々の巫術と医術が結び付いた結果であり、治療を施すためだけでなく、一種の宗教的な意味合いが含まれていると考えた。頭蓋骨穿孔にどのような秘密が隠されていたのかは、歴史考古学の研究を待つ必要がある。しかし今日、人々は穿孔頭蓋骨の存在を自分の目で確認することができ、病を治すためだったのか、原始崇拝に関係したものだったのか推測することができるようになった。

 トルファンにはどうしてこれほど多くの保存状態の良いミイラが残されているのだろうか。トルファン文物局局長で、歴史学者の李肖・博士によると、乾燥と高温が必要条件だったという。

李博士は次のように説明した。トルファン盆地は世界的にみても極端に乾燥している地域の一つである。年間の水分蒸発量は3000ミリを超えるが、降水量は十数ミリにすぎず、埋葬後の死体は急速に脱水状態になる。また先史時代の埋葬は地表から浅く、墓室と地表の距離は約1メートルにすぎず、上部の土は薄い所で数十センチしかなく、床面には草が敷かれ、棺も使われず、死体は埋葬直後に脱水状態となった。加えてトルファンは非常に暑く、墓室内の温度も高く、細菌が繁殖しにくいため、腐敗が進まなかった。これらの理由からトルファン地区では、死体が容易にミイラ化した。

 さらに次のように述べた。世界的に有名なエジプトのミイラとトルファンのミイラとの最大の違いは「エジプトのミイラは人工的に作られ、死体を埋葬する際は鉱物、塩、油を使って脱水し、その後に体内に多くの薬物を入れて虫の発生を防いだ。一方、トルファンのミイラは自然にできたものだ。

 広さ約400平方メートルの展示ホールには9体のミイラと1体の骨格が展示されている。この中には、2基の夫婦合葬墓が含まれている。展示ホールは「権杖と戦斧(権力を示す杖と戦争用の斧)―洋海古墓のシャーマンの神秘のベール」、「火焔山中腹のスバシ人」、「崖崩れで埋もれた墓地―勝金店人の発見」、「高昌故城の社会的変化を導いた人―高昌郡から唐代にかけて」、「火焔山で『焼かれた』死体―清代のミイラ」の五つの部分に分かれている。

 展示館の関係者は次のように説明した。展示されたミイラはすべて、それぞれの時代を最もよく反映し、当時の生活を反映したものが選ばれている。ミイラが中心だが、墓室の壁画の複製、大型の絹画の副葬品、大量の出土遺物なども展示されており、できる限り多くの埋葬情報を提供している。