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労働契約法改正案に関する最新情報=上海開澤
2012年 12月 25日13:07 / 提供:

20121224日〜1228日、第11期全人大常務委員会第30回会議において『労働契約法』改正案が再度審議される。法律案を審議する会議としては新体制となって初めてとなる。また、『労働契約法』改正案は再度審議対象に組み入れられ[1]、改正案が順調に通過するか否かが再度注目されている。

 

1.      年内に改正案が通過する可能性

中央政府は本来2012年中に改正案を通過させる計画であり、計画を予定どおりに進めるには、今回の会議で改正案を議決しなければならない。今回議決されると仮定すると、改正案は早ければ20137[2]に実施される。

事務所は、本会議で改正案が通過する可能性は70%と判断する。具体的には以下のとおり。

1)     改正案における労務派遣問題がさらに具体化されることはないと思われ、2012年中に通過する可能性が高い。

周知のとおり、改正案は労務派遣の前提条件を限定したが、具体的実現性に欠けるため、立法者としてはさらに具体化したいと考えている。しかし、労務派遣の恩恵を受けていた企業(特に独占業界に属する企業)[3]からの度重なる圧力があり、立法者は妥協案として改正案の内容をこれ以上は具体化しないことを決めたようだ。立法者としては、現改正案のままか、内容を若干調整することでも、中央政府が労務派遣問題を規範化するという決意と成果を十分に国民に示すことができるであろうと考えている。

従って、本会議で改正案が通過したときは、以下の結果が見込まれる。

n  今後労務派遣が大量使用されることはなくなるが、現在労務派遣を適用している職位を如何に調整するかについては、実施細則が直ちに公布されるわけではないため、この問題がすぐに解決されることはない。

n  外資系企業は労務派遣会社と運命共同体であり、外資系企業が提携している労務派遣会社が現地政府の圧力を受けなければ、外資系企業の労務派遣雇用方式もすぐに影響を受けることはない。

上述の通りこれ以上具体化しないことを前提とした場合、本会議で改正案が通過することは企業にとっては好ましいことである。原則的内容を規定したのみの法律であれば、企業としては、「曖昧な」状態で、「思うままに」運営できる。

2)     毎回の審議で通過する法律には一定の制限がある。つまり、同時に審議した法律の全てが通過することはない。通過率を保持するために争点の少ない法律を優先的に通過させる傾向にある。従って、立法者には、『旅行法』等の検討が既に機が熟した段階に達しているので、これら法律を先に通過させ、争点の多い『労働契約法』改正案はいっそのこと棚上げして、今後ゆっくり検討したいとの思惑があると思われる

 

2.      企業が労務派遣への制限を回避する対応としては、「アウトソーシングサービス」が主要な方法になりつつある。

調査の結果、中央企業、外資系企業を含む企業は「アウトソーシングサービス」を労務派遣への制限を回避する対応法としている。具体的なパターンは以下のとおり。

労務派遣会社が関連性のあるアウトソーシング会社を設立し、企業は労務派遣を適用している職位をアウトソーシングを通じて実施する(企業とアウトソーシング企業がアウトソーシングサービス契約を締結)。アウトソーシングする労働者の賃金は企業がサービス費としてアウトソーシング企業に支払う

この方法は、技術系の企業ではすでに採用されており、適用対象の労働者数は総従業員数の約3分の1を占めている。

 

以上、最新の情報から、労働契約法改正案は2013年に実施される可能性が高くなってきているが、日系企業にとって、2013年すぐに直接的影響が出ることはないと思っております

  

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