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労務派遣問題に関する外資企業調査報告=上海開澤
2012年 11月 1日13:06 / 提供:

前期の法律情報で労働契約法改正案における労務派遣問題の規定について述べましたが、多くの日系企業が同問題に関心をお持ちなので、このほど外資企業(日系、欧米系企業を含む)の従業員、管理層の労務派遣問題への見方、意識、対策などについて、小規模な調査を行いました。

今期は調査結果を纏めましたので、ご参照下さい。 

 

1.      調査方法

1)     直接面談

2)     アンケート用紙への回答

3)     セミナー

 

2.      調査の結論概括及び分析

1)     労務派遣という雇用形態を継続することについての態度

態度

比率

理由

賛成

80%

人事管理に有利

反対

5%

管理費用を軽減したい

どちらでもよい[1]

10%

完全に企業自身のリスク軽減を考慮

労働契約法修正案が正式発効してから決定

5%

現状維持、成り行きを見る

 

労務派遣は実際には大部分の外資企業の習慣的な雇用方法になっているようですが、これにより特有の労務派遣人事管理パターン(すなわち、外資企業の人事部門は現場人事管理の責任を持ち、労務派遣会社は法定の労働契約関係を確立し、これに関する人事対外請負に責任を持つ)が形成されている。当管理パターンのうち、企業、従業員、人事管理職、派遣会社が各自で必要な部分を選択し、一種の暗黙の管理パターンとなっている。

n  企業は労務派遣会社を利用することで、雇用と労働契約関係を完全に分離させ、現場人員の管理負担を軽減することを実現する。

n  従業員は派遣会社と労働契約を結ぶが、待遇及び福利は十分な保障を得られる。相対的に言えば、派遣会社は定額外の福利待遇を付与するため、従業員は十分な実益が得られる。

n  人事管理職はより多くの精力を現場で発生した労務トラブル解決のために費やすことができ、煩雑で細々としたことを処理する必要がなくなる。実際に仲裁、訴訟が発生したときにも、派遣会社の力を借りて、共同で対処することができる。

n  派遣会社が管理費などの利益を獲得できることは言うまでもない。

上述の既成の管理パターン、利益パターンに基づき、大部分の外資企業は已然として労務派遣という雇用形態(これは労務派遣会社のリスクがない状態で企業の要求を満たすことを求めている)を維持する傾向がある。従って、労働契約法改正後、派遣問題への対応は当然ながら労務派遣会社[2]がその解決について責任を負う(率直に言えば、労務派遣会社は顧客を引き止めたいことと、顧客の法律リスクも増やしたくないため、解決方法を考えなければならない)。

 

労務派遣の雇用形態を続けるつもりのない外資企業であっても、雇用形態の変更により経済補償金問題に直面した時には躊躇するはずであり、結局、労務派遣携帯を続ける可能性もある。

 

当所の調査によると、従業員の人数が100人以上の会社、或いは多くの投資性の会社は、基本的に労務派遣雇用形態を放棄したくないと考えている。その最大の理由は、現有の人事管理パターンを変えたくないこと、そして経済補償金又はそれに類似する補償への恐怖がある。

 

労働契約法改正案の正式発効後に決定を出すことを考えている会社にとっては、中国政府が労務派遣問題に関する実施細則を再公布することを期待していると思われるが、この成り行きを見る態度はやや危険であると考える。中国政府が外資企業に対して単独で専門の実施細則を出すことはありえず、実務においては、外資企業が法律のグレーゾーンにおいて如何に対策を練るかということが本当の意味でのリスクヘッジとなるからである。

注意すべき点は、今後多くの小規模労務派遣会社は合併されると思われ、これも上述労務派遣会社と提携している顧客の利益に直接的に影響することになる。

 

2)     労務派遣会社との現有関係の処理について

n  契約継続:75%

n  労務派遣会社が提供した新サービス案により契約継続を決定する:15%

n  重要な条件について、労務派遣会社と改めて協議する:10%

 

相対的に言えば、契約継続を選択した企業と提携している派遣会社は、多くがFESCO、中智のような大企業である。もちろん、中には重要条項の修正願いを申し出た企業もあったが、大部分は失敗している。これについては、外資企業は集団協議の方法で、これら規模の大きな派遣会社に対応することを勧める。一方では外資企業間での情報共有に有利であり、一方では集団で圧力をかけることができる。

 

以上、労務派遣問題は法律問題を含み、また実際の管理問題にも関わるため、労働契約法が今後改正されたとしても、実務においては現有の派遣パターンが大幅に変わることはないと考える。 

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[1]  小型企業に集中している

[2] 派遣会社の対応方法、前期ですでに初歩的な紹介をした

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