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「輸入神戸牛事件」が発する警告
2015年 6月 23日11:49 / 提供:チャイナネット

音楽を聴き、ビールを飲んで育ったという「神戸牛」。美食家たちに愛されるこの最高級牛肉は、ハイエンドで優美な生活の代名詞ともなっている。

だがご存知だろうか。2001年に日本でBSE(狂牛病)が発生した後、国家質量監督検験検疫総局(品質管理部門)は、牛肉を含む畜産品の日本などからの輸入を禁じ、この禁令はまだ解除されていない。つまり市場で現在、日本産の牛肉として売られている商品は、産地を偽装しているか、密輸品だということである。

上海市公安などの部門がこのほど明らかにした食品密輸特大事件では、密輸業者は日本から商品を出荷した後、様々な隠れみのを使って、カンボジアやタイ、ラオスなどの国を通じて商品を中国に持ち込んでいたことがわかっている。

2014年10月、上海市長寧公安分局は、管轄エリアの日本料理店「響家」が「日本の神戸牛」を売っているという広告を出していることを発見し、すぐに調査に乗り出した。

警察は調査によって、「日本産輸入牛肉」をこの料理店に提供していた日本企業が、松江や黄浦などの10数軒の高級レストランや日本料理店にも商品を販売していたことを突き止めた。その規模の大きさは驚くべきもので、昨年10月から今年3月までの半年だけでも、この企業が密輸·違法販売した「日本産牛肉」は少なくとも100トンにのぼり、金額は3000万元余りに達することがわかった。

調査によると、密輸の主犯は、「日本東蔵株式会社」の責任者である日本国籍の山内某容疑者で、犯罪グループのメンバーを日本から指揮していた。密輸の手口はこうである。日本産の牛肉はまずカンボジアに輸出され、包装を解いた後、タイのチェンマイに運ばれる。タイからは果物に混ぜてコンテナに入れられ、「果物」や「副食品」の名義でラオスに運ばれる。さらに中国側の人員によって西双版納(シーサンパンナ)国境から中国に持ち込まれ、昆明から「ハム」の名義で上海や北京などに空輸される。

 

警察は今年3月、このグループの犯罪の全過程を確認した後、取り締まりに乗り出した。上海や昆明などで容疑者30人が捕らえられ、牛肉などの冷凍品13トンが押収された。すでに17人の容疑者に対する強制措置が取られ、主犯と目される山内某容疑者も身柄を拘束された。

これほど面倒なルートを使って牛肉が持ち込まれていたのは、警察の取り締まりを回避するためだが、暴利が犯罪グループを誘惑したという要素も見逃せない。

「彼らが日本市場で買う牛肉の価格は1キロ200元から300元にすぎない。だが中国に持ち込まれるとその値段は2000元から3000元に跳ね上がる」と上海市公安局食品薬品犯罪捜査総隊の銭洪偉·副支隊長は指摘する。「さらに末端に行くと、『日本産最高級輸入牛肉』として100グラム300元から500元で売られ、その価格はキロ3000元から5000元にも達する」

これほどの暴利に目をつけた冷凍肉密輸ネットワークは近年、またたくまに成長し、密輸や販売の状況は日増しに深刻化している。上海市公安局の警察官の陸峰は、「検査や検疫を受けることない密輸牛肉には、『狂牛病』や『口蹄疫』などのウイルスが感染しているおそれもある。こうした商品が家庭やレストランに届けば、公衆の健康が直接的に脅かされる」と注意を呼びかけている。