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「英創安衆の金鋭の日記」
2015年 4月 28日11:15 / 提供:インテリジェンス上海(Intelligence)

説教·否定·押し付け

伝えようとしても伝わらない。伝えているつもりが伝わっていない。言葉は心を表し好意で話した態度や表現は時として自分が思ってもいない形で伝わります。今回のメールマガジンでは若手経営者との会食を通じた私自身の気づきをご紹介させていただきます。

■若手経営者との会食 
駐在員として赴任された渡辺さん(仮名)は若くして責任者として難しい中国ビジネスを任され奮闘されていました。権限を委譲されたったひとりの日本人として中国に赴任されていました。

共通の知人を介して知り合い会食の約束をしました。会食が始まり渡辺さんは中国における事業の将来や難しさ、また人員管理を含め意気揚々と様々なことを話してくれました。

話を聞いていく中でふと気づくことがありました。それは「同じような経験をしている」「解決策を含めた過程が見える」と言うことでした。

自分自身の経験を含め様々な方々との交流の中で見聞きしてきた過程や結果。それに伴うノウハウやナレッジを渡辺さんの話を聞いているうちに話したくなっていました。過程を含めた結果は必ずしも同じではないかもしれませんが心の中で「それはきっとそうなるのでこうすればいい」と思っていました。

■20年前の自分の思い 
話は少しさかのぼりますが中国に滞在して間もない頃総経理や董事長の方々とお時間をいただきお会いすることがありました。若手であった自分は何を話そう?どう話せばいい?といろいろ考えながら臨み商談をしていく中で事業の難しさや仕事の苦労話によくなりました。

全ての方がそうであったわけではありませんが中には「それはやり方が悪い」「間違っている」「こうすればいい」と意見やアドバイスをいただく事もありました。またご自身の苦労話しを交えながらお話ししていただくこともありました。まだ若かった自分は「苦労話しよりも具体的な解決策が聞きたい。必ずしもそうなるわけではない」と思ったりもしていました。

■説教しない。否定しない。押し付けない。 
会食の場で自らの経験を渡辺さんに伝えようとしていた時にふと20年前の自分が重なって見えたのです。渡辺さんの話を聞いていくうちに私は渡辺さんの話を遮り「それはやり方が悪い」「間違っている」「こうすればいい」と伝えようとしていた事に気づきました。

自分自身が感じていたことを渡辺さんが感じていたかどうかは定かではありませんが少なくとも話を聞くより経験や体験を伝えるのではなくこうすればいいと押し付けようとしていたのです。説教や否定、押し付けが全てだめなわけではありませんが話し方や伝え方によっては相手には違った形で伝わる事もあります。「それはやり方が悪い」「間違っている」「こうすればいい」ではなく「こんなやり方もある」と伝えるべきなのではないでしょうか?そんな事を渡辺さんとの会食で自らの体験とともに思いました。

伝えようとしても伝わらない。伝えているつもりが伝わっていない。は伝え方に問題があるのかもしれません。