Home > ニュース > 経済IT  > ネット通販企業の「行事作り」、消費者の反応冷ややか
ネット通販企業の「行事作り」、消費者の反応冷ややか
2014年 6月 19日13:55 / 提供:人民網日本語版

 ネット通販各社が次々と、年度半ばのプロモーション合戦に乗り出している。18日に上場一周年を迎える「京東」は、前代未聞の特売を展開し、10億元(約160億円)に及ぶ「京東ボーナス」を打ち出して消費者を引きつけようとしている。上場を控えた「阿里」も全力の販促の真っ最中だ。「国美オンライン」は、他社サイトよりも高い場合は差額返金という措置を取り、キャッシュバックなどの販促活動にも乗り出している。「広州日報」が伝えた。

 「独身の日」と呼ばれる11月11日がネット通販の年末の販促ラッシュだとすれば、6月の大型販促はネット通販企業同士の業績競争。だが過去の価格合戦を振り返ると、ネット通販の大型販促は有名無実な「ネタ」という印象が強く、消費者にとっては様々な罠が存在している。このため今回の「6?18」の販促も、多くの消費者は「ネタ」として取り合っていない。ネット通販が行事にかこつけて年中販促を行い、行き届いたサービスを提供できていないことは、消費者の信頼失墜につながっている。

 ▽モバイルインターネットが焦点に サイト同士の「団体作戦」も出現

 今回の販促活動を見ると、販促の方法に変化が起きていることがわかる。各ネット通販大手は、モバイルインターネットを活用した新顧客の獲得に乗り出しており、「団体作戦」という手法も現れている。ネット通販の販売合戦はこれまでパソコンが主力だったが、今年はモバイル端末での販促がさかんとなっている。「京東」は、「微信」「モバイルQQ」「京東モバイルユーザー端末」を通じて、10億元に達する「京東ボーナス」をユーザーにプレゼント。このボーナスは現金として京東の商品の購入に使え、ボーナスの最高額は618元(約1万円)に達する。「淘宝」はモバイル端末の「2次元コード」を活用した販促を展開している。「当当網」は、モバイル端末で「最初の買い物に10元のキャッシュバック」を行い、モバイルユーザーの顧客の争奪をはかっている。保守的と言われた「国美」も、モバイルインターネットの活用を重視し始めている。「国美オンライン」の営業副総裁を務める黄向平氏は、国美のアプリのダウンロード回数が今年6月、昨年同期に比べて約8倍増となり、アクティベイト回数も5、6倍増となったと語った。

 ネット通販間の「団体作戦」も今年の新たな傾向だ。「淘宝」に対抗するため、「京東」は「騰訊」と提携して「拍拍網」を打ち出し、C2Cの争奪戦に参入した。国美は「天猫」との提携で家電ネット通販企業との競争を展開しながら、「百度」とも協力して一連のオフラインイベントを繰り広げている。

 ▽消費者は冷ややかな反応 信頼失墜の危機に

 ネット通販が勝手な「行事」にかこつけて販促を行っているのに対し、消費者の反応は冷ややかだ。毎年何度も様々な名目で行われる価格合戦を、多くの消費者が「行事の乱造」と見ている。また「気に入ったモデルはいつも在庫切れだし、価格を釣り上げてから割引している商品もある。このような手法は消費者を騙すものではないか」との不平も多い。さらにネット通販の販促券の使いにくさを指摘する声もある。「『京東』は最高618元のボーナスを出しているというが、携帯チャージやバーチャル製品購入には使えない。掛け声ばかりで内容は薄い」

 業界関係者は、過去のネット通販の商戦と比べても、最近の販促には確かに問題が目立つと語る。「割引商品の中にはずっと在庫切れのものがあり、価格を釣り上げてから割引した商品や、原価を偽ったと見られる商品もあり、消費者に悪い印象を与えている。ネット通販の販促で割引がなされていること自体を消費者が疑い始めている」

 「2013年度中国電子商取引ユーザー体験?苦情モニター報告」によると、オンラインや電話、メール、インスタントメッセージなどで2013年に全国各地のユーザーから届いた電子商取引関連の苦情は、前年比4.0%増の9万7350件だった。一部の販売サイトは製品が「規格品」であると言いながら、全国一律の保証を提供していない。「内部ルート」で仕入れたとする商品に、メーカーの正規の証明書が欠けていることもある。こうした状況は消費者の購買意欲を減退させている。また販促期間には配送が遅れることも多発し、消費者の不満を高めている。

 「国美」の担当者によると、インターネット消費は消費体験の面で劣っており、オンライン購入で届いた商品がサイトの写真や説明と食い違っていたりする場合がよく見られる。家電小売の分野とりわけ大型家電では、商品やサービスが約定と合致しないという消費者の苦情が特に頻繁に起こっている。オンラインで特売されている家電商品は、オフラインで売れないものだったり、流行をすぎた旧型の商品だったりする。メーカーは、オンラインの消費者の低価格を好む傾向を利用し、特価でこうした商品を売り払う。

 ▽頻繁な「行事作り」は消費疲労につながる

 ネット通販が「行事作り」を繰り返していることについて、中国電子商取引研究センターネットワーク販売部の莫岱青部長は、オンラインとオフラインの消費が6月からオフシーズンに入ることが原因の一つだと指摘する。ネット通販が「行事」を作り出す目的は、ユーザーの注目を引き付け、消費への欲求を引き出し、オフシーズンが始まる前に一稼ぎすることにある。とりわけモバイルインターネットという新市場を前に、各販売サイトは、市場シェアやユーザー、アクセス数の争奪に必死となっている。もしも売り手が販促時の消費者の体験を重視しなければ、「消費疲労」を形成し、業界全体に対する消費者の信頼を損なうことになる。

 ネット通販企業間の価格合戦について、専門家は、ほとんどすべてのネット通販企業が損失を出し、うまく収益を上げられていないと指摘する。ネット通販が行事にかこつけて派手な販促合戦を行った結果が「ネタ」で終わってしまうのはいただけない。目先の利益にとらわれたネット通販が「行事作り」合戦に負け続ければ、いつかは市場のシャッフルによって主流市場から追い出されてしまうことになりかねない。

関連記事