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中国のネット小売産業は世界一 3億人が利用
2014年 6月 4日13:59 / 提供:人民網日本語版

 家から出ずにネットでショッピングを楽しむという人がますます増えている。商務部(商務省)電子商務・信息化司の蔡裕東副司長によると、中国はすでに世界最大のネット小売市場であり、2013年の利用者は3億200万人に上り、取引額は1兆8500億元(約30兆3571億円)に達し、社会消費財小売総額の7.8%を占めた。電子商取引(eコマース)は戦略的新興産業として、経済成長モデルの転換、産業のモデル転換?バージョンアップの推進、流通の現代化の促進で重要な役割を発揮しており、国が内需を喚起し、消費を拡大し、雇用を促進する上での重要なルートの一つになっている。

 ▽8割世帯がネットショッピングを利用

 ネット小売というインターネットを媒介とした商品取引活動が中国で急速に発展している。関連の統計によると、03年から11年にかけて、中国ネット小売市場の平均増加率は120%に達して、世界一になった。

 中国中央テレビ(CCTV)が発表した「中国経済生活大調査2013-2014年」によると、13年にネットショッピングをしたことのある世帯は81.52%に達し、18-25歳の若年層が特にネットショッピングを好むことがわかった。都市別にみると、ネットショッピングへの意欲が高いのは海南省、西蔵(チベット)自治区、江蘇省。よく購入される商品は衣類、書籍、デジタル家電製品だった。

 ネット小売を含むeコマースが中国経済を後押しし、促す役割を果たしている。蔡副司長の説明によれば、ネット小売は全国津々浦々に触手を伸ばし、消費の牽引作用がますます顕在化している。また一方で、eコマースの発展は雇用や起業を力強く促進しており、全国のネット店舗で働く人や起業してネット店舗を開設した人は962万人に達した。

 蔡副司長は、「eコマースと伝統的な商業とが融合して発展し、伝統的な小売企業のインターネットを方向性としたモデル転換の歩みが著しく加速しており、ネット小売産業の重要なパワーになりつつある。eコマースは物流?配送サービスの水準向上を一層促進し、ネット金融が伝統的な金融業のイノベーション?発展を促進した」と話す。

 業界関係者の予測によると、20年には中国ネット小売市場の規模は最大で4兆2千億元(約68兆9299億円)に達し、現在の米国、日本、英国、ドイツ、フランスの市場の合計に相当するという。

 ▽時間や空間に縛られない強みを発揮

 ネット小売産業の急速な発展は、中国市場の需要と大いに関係がある。商務部研究院消費経済研究部の趙萍副主任によると、中国は人口の規模が大きく、ネット利用者が多いため、市場ニーズも全体的に大きいという。

 実体店舗の小売産業と比較すると、ネット小売には時間や空間などの制限がなく、このことが消費者を強く引きつける力になっている。趙副主任は、「現在の実体店舗の小売産業には配置が不合理、情報サービスが不足、商品が相対的に少ないといった問題があり、特に遠隔地の農村や中部?西部地域では実体店舗の少なさ、サービスの不十分さが問題になっており、ネット小売産業はこうした不足点を補っている」と話す。

 科学技術の進歩もネット小売産業の発展を後押ししている。「中国電子商取引発展報告(2013年)」によると、技術イノベーションはeコマースが急速な伸びを維持するための重要な動力であり、モバイルインターネット、クラウドコンピューティング、ビッグデータといった新世代情報技術の革新?応用がeコマース発展の新たな注目点になっているという。

 趙副主任は次のように指摘する。スマートフォンの急速な発展が、買い物に不便だった地域の消費者の買い物を便利なものにした。これまでは農村に暮らす人々が町に行かなければ買えなかった商品も、今では携帯電話を開けばどこでも手に入る。またネットの小売価格は安く、低所得層のたくさんの人々のニーズに応えている。

 ▽徐々に環境整うネットショッピング

 中国社会科学院(社会科学アカデミー)がこのほど発表した「流通青書:中国商業発展報告(2013-2014年)」によると、現在の中国のビジネスはオンラインとオフラインが深く融合する時代にさしかかっており、中国ネットショッピング市場の増加率は今後3年間に鈍化して、市場は相対的成熟期に入るという。

 成長期にあるネット小売産業とeコマースはさまざまな問題に直面している。電子商務?信息化司の李晋奇司長の指摘によると、中国のeコマースは急速に発展すると同時に、一連の矛盾点や問題も抱えており、法治や信用の面でまだ十分とはいえず、地域の発展がバランスを欠き、支援システムの発達が後れ、eコマースの人材が相対的に不足しているという。

 趙副主任の指摘によれば、第一に、現在のeコマースのサービスには、商品の交換が難しい、カードが利用できない、物流のスピードや発送日時や商品の品質が保証されていない、消費者の権利保護が難しいといった問題があり、支払いの安全性、製品の品質、サービスなどの面で、規範化を一層進めることが必要だという。

 趙副主任は続ける。第二に、eコマースにみられる市場の乱用や資源の独占といった行為を規範化する必要がある。一連のeコマースプラットフォームは取引量が多く、利用者の占有率が高いことから、資源を独占しており、他の社会サービスへの開放度が低い。eコマースプラットフォームの開放を推進し、中小企業の利益を守り、消費者の権利を高め、市場の公平な競争を維持し、インターネットの良好な発展環境を整えなければならない。

 また趙副主任によると、eコマースの発展には外部の優れた支援が必要になる。たとえば物流産業の向上を促進すること、第三者決済や保険の刷新を含む金融サービスの刷新を促進することが必要だという。

 蔡副司長は、「今後われわれは流通体制改革の深化を踏まえて、政策?法規システムを不断に改善し、中国eコマース産業の発展が直面する産業環境、市場秩序、ネットワークセキュリティ、消費者の保護といった各方面の問題を段階的に解決し、eコマースの持続的で健全な発展を誘導していく」と話す。

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