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「2030年型ハイテク開発区」に移転=塩城市(中)
2014年 5月 20日17:08 / 提供:
塩城経済開発区を視察する畑沢徹氏

 春めいてきた、あらゆる花々が咲き乱れるごろ、上海から256キロメートル離れる江蘇省沿岸部に位置し、長江デルタ都市群における最大の土地予備資源を有す塩城市に足を運んだ。(上)、(中)、(下)に分けて報告する。

 同区を視察した上海艾麗投資管理諮問有限公司の顧問・畑沢徹(中国名:旗澤透)氏(69)氏は、「中国進出、工場移転の新たな流れ」という感想文を書き、「上海、広州周辺にある現在の工業地が数十年先には危機と想定した状況を読み、全世界でマーケットを拡大するなら、その成功例が徐々に出はじめている」と見ている。

 畑沢氏によると、日本国内の「特区競争」に見られる好条件を更に超えた中国独特ともいえる“一城〔都市の意味〕一企業“の新戦略が今後、各地で生まれてきそうだと分析し、人件費などの高騰ぶり、ストライキにいや気をさした日系大手企業は今後、数年間の内には上海、広州周辺、更にはアメリカから、この長江デルタ地域の「2030年型ハイテク開発区」に移転することになると予測。

  アジア諸国とこの地の違いについて、畑沢氏は、「常に時代の先を見通した経営者ならば、今後は中国内陸の長江デルタ地域を選んでいくでしょう。その最大の理由は、やはりその『労働者の質』と賃金の低さを前面に考えて判断すべき。特に、ハイテク製品を製造し、世界中に販売していく大企業、例えば、電子関連企業ならば、空港、湾口が完備されている長江デルタ地域の地方進出は考慮すべきだ」と強調。  

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海外を目指すポスター

 畑沢氏はさらに、「何といっても大きな魅力は上海に比べて、1/3以下の安い人件費と豊富なハイレベルの労働力だ。長江デルタ地域のハイテク地方開発地はこれからの10年先、20年先を見通したうえのグローバル製造業大企業向けの戦略的判断による経営判断が問われてくる」と語った。

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塩城市にある短大を見学する人々

 その理由は1)若手の高度人材に対して、スキルを習得するための職業訓練も完成ずみ。2)現場で活かせる技術を持ったブルーカラ―の人材育成もはじまっている。塩城市はその数、一万人規模で中国最大の専門学生数を誇っている。3年教育、正月明けに戻ってこない社員達の心配をしないですむ。この開発は20%ほど完成していて、これからガイドラインの編制を始め、財政・税制・金融政策面の支援強化、中央財政の特定資金による支援の拡大、海外の株式・資産などを担保にした融資提供の展開、企業の海外投資における融資面の後押しなど目白押しの好条件が待っている。日系企業は「企業城下町の建設」こんな発想をもち、この開発区から様々な分野で包含される、大きなパッケージディールを目指すべき。

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韓国企業

 一方、同区を視察した上海にある投資管理諮問有限公司の担当者が、「これまでの20年間の間に、マクロ面としては塩城経済開発区全体の企画、基礎インフラの整備、産業とセットになる上下流産業チェーンの育ち、そしてミクロ面では実際工場生産ニーズに合わせた各種技術者の養成、派遣及び安定生産定着に緊密な要素となる生活インフラの整備まで、一つの成功した産業の体系としては系統的に整えていることは確実に実感がある」とコメントした。

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自動車とその部品 

 塩城経済開発区の魅力について、同担当者は、「物、人、財の流通に有利になる、そして政府は進出企業の対応は細かい点から着手できることも見えるし、他の開発区の政府と比べ着実な実務的な態度は評価できる」と述べた。

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海外の見学者ら

 土地資源及び人力資源稀少な日本にとって、同担当者は、「さらなる発展を目指す日系大手企業があり、彼らの製品に係わるチェーン全体をこちらにも進出できる可能性があれば、ウィン・ウィンになるだろう」と見ている。

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 同担当者はさらに、「今後、力を入れていく産業としてはやはり、太陽ソーラー、エネルギー新材料などの産業を含め、2から3のメイン産業にある龍の頭に相当する大企業の進出は非常に重要で、開発区として大きな成功になれるかどうかには欠かせない」とアドバイスした。

(章坤良 写真も)

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